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悪い情報や暴落があったときに「株式投資のチャンス」と考える思考法。
題名の「風が吹けば、桶屋が儲かる」とは、どういうことでしょうか?
マーケットを土俵で例えて考えてみたいと思います。
相撲をとる時に、相手の力士が勝手に土俵に手を付いてしまった場合、こちらが全く何もしていなくても、おのずと「勝ち」になります。
それは、株式マーケットでも同じことが言えるのです。
ハウスウェディングで非常に有名なテイクアンドギブニーズという会社が決算を発表しました。決算自体はそんなに悪くない数字だったのですが、来期の予想が47%減(税引き後)という大きなマイナス予想であったことから、株価は急落しました。
一時は、84,300円もしていたものが、42,650円と、六日連続ストップ安となりました。
ここで、一つ考えていただきたいことがあります。
実は、この急落時の出来高は、344,814株であり、非常に大きな数字になっています。
これはどういうことなのでしょうか?
ご存知の通り、株式というのは、売りと買いが同数でない限り、値段がつかないことになっています。
したがって、当然、売る人も多かったものの、買う人も多かったので、344,814株という出来になっているのです。
実は、この会社の発行済み株式数は722,000株しかないので「1日で5割近くもの出来高になってしまった」ということになります。
ということは、「テイクアンドギブニーズを保有していた人は、ある程度売り切ってしまった可能性がある」という仮説が考えられます。
株価の値動きが非常におもしろいのは「下がれば上がる」ということが起こることです。
ボールに例えてお話しますが、ボールを「ぽんっ」と落とすと、少し跳ねて戻ってきますが、また落ちます。そして、また少し戻り、落ちるという現象が起こります。
株価でも同じ事が起こるわけで、それが「下がれば上がる」ということです。
そしてもう一つ。これは、別の会社の株価でもいえるのです。
一つの会社が良くなれば、一つの会社が悪くなる。またその逆もいえるわけです。
そこで本線に戻りますが、テイクアンドギブニーズが不調になったことで、上がった会社があるわけです。
それが、ワタベウェディングです。
つまり、「下がれば上がる」ということが起こったわけです。
これは同じウェディング関連全体が「冷え込んでいる」という場合には駄目ですが、「全体的に冷え込んでいるわけでない」のであれば、要注目すべき事柄です。
ワタベウェディングにとっては、テイクアンドギブニーズの不調の時に業績が良く、PERも低いということで非常に注目を集め、それが株価の堅調展開になったのだと思います。
このように、何か心象に悪い情報や暴落があったときに「株式投資のチャンス」としてみることが重要なのです。
このような事態が起これば、同じ業界の「もう一方の会社」が上がるかもしれません。
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マネックス証券株式会社 マーケティング部 副部長
藤本 誠之
6月22日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。 |
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ブレークスルー経済学 vol.4 |
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。 |
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第4回 『国内の企業活動と円キャリートレード』
一般の銀行が、日銀から供給された「銀行システム間だけで流通するローカル・マネー(これを「日銀当座預金」といいます)」を利用して、「国内企業に資金を貸す」のが通常の「金融メカニズム」です。
しかし現状、一般の銀行は「国内企業に貸す」のではなく、海外投資家に供給している可能性があり、このような取引のことを総称して「円キャリートレード」といっています。
ただ、日銀が「一般の銀行に大量に日銀当座預金を供給したから」といって、それだけで「円キャリートレード」が起こるということはありません。
銀行が誰かに「おカネを貸す」場合、借り手は銀行から提示された借入れ金利を上回る運用手段を持っていないと、銀行からおカネを借りることはないはずです。
つまり、「円キャリートレード」といっても、円通貨の「量」だけが問題なのではなく、そこには「企業の資金ニーズと金利の問題」が介在することになるのです。
現在、日本国内では一般の銀行が大量の日銀当座預金を保有しているので「おカネを貸し付ける能力」は非常に高い状態にあります。
しかし、日本国内では企業自身が「おカネを持っている(「キャッシュ・リッチ」な状態になっている)」上に、「金利を払ってまで行う価値のある事業」があまり存在しないため、そもそも「銀行から借りよう」という必要性がないのです。それゆえ、銀行が躍起になって「貸し出せる先を探している」というのが現状なのです。
つまり、国内企業が銀行から「おカネを借りてくれない」ものだから、おカネの価値をディスカウントする意味で、歴史的に類を見ないほどの「低金利状態」になっているのです。
このように「円」は「低金利である」のに対して、他の国の通貨(「ドル」など)は相対的に「円金利よりも高い状態」にあります。つまり、他の国では日本よりも、「借りてでも行う価値のある事業」が比較的多く存在するということを意味しています。そのため、「低い金利で借入れることが可能」であれば、「円資金」であっても、「借り入れたい」と思うのは「当然のこと」なのです。
しかし、日本では「円通貨」は使用できますが、他の国では「円通貨」のままでは使用が困難になります(「決済できない」事態が起こるからです)。
そこで、借り入れた円資金を市場で売却し、使用しようとする国の通貨(例えば、「ドル」)に替えることになります。ここで「円通貨を売って、ドル通貨を買う」という売買が行われれば、当然、「円安ドル高」になります。また、もし、借りていた「円資金」を返す時点でも「円安ドル高」のままであれば、結果的に「低い金利で借り入れた」のだから「非常に有利な取引であった」ということになります。
実際にも一般に、このようにして「円キャリートレード」という取引が行われているのです。
ただし、ここで問題になるのは「円資金を返済する時点(つまり、将来時点)」で「円高」になっていれば「有利ではなくなる」ということです。
つまり、円キャリートレードの期間において「円高にならないことが条件」なのです。ここで「ヘッジをすればいいのでは?」と考えるかもしれませんが、単純に「為替ヘッジ」すると「円キャリートレード」そのものの利益はなくなります。
したがって、「円キャリートレード」を行う業者は、「円に対する資金ニーズが強くならない」ということを見越して、このような取引を行っているのです。
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前田拓生(Takuo Maeda)
ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
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グローバルマネー・ジャーナル第7号、いかがでしたでしょうか。
アメリカでボーイング787がお披露目されましたね。
燃費、強度、軽量化と、基本要素全般に進化を遂げた同機。
ボーイング社はすでに600機以上の受注を、
世界中の航空会社から受けているそうです。
日本での導入は来年8月になるとの事ですが、
注目すべきは製造に関わった日本の技術力!
軽量強化の要部分を含めた、およそ35%が日本の重工メーカーの
製造によるものだそうです。
飛行機や新幹線など、日本にはまだまだ世界を凌駕する先端技術が
いくつもあります。
長期で運用を考えた場合、良い製品、良い技術にお金が集まるのは
当然の理。
日本が誇れるこうした分野の産業にも、日頃から資産形成するための
アンテナを張っておくと良いのではないでしょうか。
来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!
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