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海外の直接投資状況が世界的なM&Aブームで三年連続増加!
国連貿易開発会議(UNCTAD)が16日発表した2007年版世界投資報告によると、06年の海外直接投資は前年比38%増の1兆3059億ドル(約152兆円)に上り、過去最高だった00年に迫ってきています。
直接投資というのは、下のグラフの通り、一時的には冷えていました。
ITバブルが崩壊した後から、03年を境に少しずつ回復してきて、今は過去最高だった00年の1兆4110億ドルに迫って、急激に伸びてきているところです。
その内、注目すべき違いが出てきているのは、「先進国」の上にある「途上国」と「旧ソ連圏」です。以前だったら考えられないペースで途上国とか独立国家共同体であるCISなどが伸びてきているわけです。
これは、大きな世界経済の流れの中で、アメリカ一辺倒だったものが変化し、アメリカ以外の世界各国が非常に重要になってきている、ということを表しています。
そこで「日本は?」というと、80年代のように活発にやっていた時代とは打って変わり、世界のM&Aなど、直接投資に対しては非常に消極的です。
残念ながら、今回の海外直接投資の数字は、日本の投資状況やメンタリティの数字とはまったくあっていないものとなっています。
しかし、世界的にみれば、活発な直接投資と国境を跨ぐM&Aの時代といえるでしょう。
私が世界中から講演を頼まれる理由は、「ボーダレス経済」と「グローバリゼーション (Globalization)」という言葉を生み、いち早く注目していたからです。
ですから、世界各国で講演する時には「ボーダレス経済の大前研一」として紹介をされ、胸を張って壇上に立ちますが、「グローバリゼーションで日本の例をお願いします」と言われるとうつむいてしまいます。(笑)
たとえば、ロシアや中国、インドなどの国になるとたくさん例があるのですが、日本については、そういう例が少ないのが実情です。そういう意味で、私としても日本人として、さすがにさみしいものを感じますが、それも時間の流れなのでしょうがないことなのです。
下のグラフが、海外直接投資の受け入れ額の上位13か国と日本です。
米国に始まり、英国、フランス・・・と、どんどん下がっていけども日本はありません。そして、グラフを見てわかる通り日本に関しては、直接投資を受け入れるよりも出ているほうが多いという悲しい状況です。
もうすぐ発売の心理経済学にも書いておりますが、日本という国は、世界経済から見ると「何で?」と思うくらい不思議に違う方向を向いているのです。それは、日本の国会の議論も同じようなもので、日本は、向かなければいけない方向には向かずに、どこか違う方向を向く癖がついているようです。
世界のお金は敏感で、上記のように日本の事も知り尽くしていますから、もちろん世界のお金は来ません。
しかし、日本の置かれている状況を考えると、国内のかなり安い金利のお金を借りて、世界の会社をM&Aしていく流れが起こりそうなものですが、一向にその様子がありません。
日本国民というのは「一度した失敗したら二度としない」という、皮肉を込めていうならば、「すごく規律のきいた国民」ということができそうです。
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ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一
10月21日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。 |
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ブレークスルー経済学 |
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。 |
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第19回 『GDPと株価との関係』
「景気」と言っても、話している人によって、その意味するところは違うという時があります(自分の経営する会社の状態だったり、レストランの客の数だったりします)。しかし、経済学的には「GDPの変化」のことを「景気」と考えることが多いので、ここでも「景気」=「GDPの変化」と考えます。
でも、何故、GDPと景気が同じなのでしょうか?
GDPは「総生産額-中間投入」で求められます。つまり、「付加価値」を意味する概念です。ここで「総生産額≒売上」であり、「中間投入≒費用」とすれば「GDP=付加価値≒売上―費用=利益」ということになります。つまり、「GDP」とは「国内で生まれた利益の総額」とほぼ等しい概念であるということになります
ここでは「付加価値≒利益」と「GDP」が「ほぼ等しい」ということを言っていますが、実際には「GDP」でいう「国内で生まれた付加価値」とは、「企業の取り分(営業余剰)」や「雇用者の取り分(雇用者報酬)」などの他、海外からの財産所得等を含むので、一般的な概念としての「企業利益」とは違うことには注意が必要です。
しかし、以下では「ざっくり」と「付加価値≒企業利益」として考えてください。
このように考えた場合、「GDP成長率が前年に比べて高くなった」ということは、全体として「付加価値≒企業利益」が良くなったということを意味するので、「企業の業績やサラリーマンの給与の総額が前年に比べて高くなった」ということを表していることになります。
これは、あくまでも「全体として」ではありますが、「GDP成長率が高くなった」ということは日本全体の「懐具合」が良くなったということなので、「一般的な意味」での「景気が良い」と同じことになるわけです。だから、「GDP成長」=「景気」と考えることが可能なのです。
以上より、GDPは「ある期間に国内で生まれた付加価値」、つまり、「利益」であり、「企業の儲け」なので、これが成長し、今後も成長を続けるのであれば「今後も(全体としての)株価は上がる」ことになります。なぜなら、「株価」というものは当該企業の「将来利益の現在価値」に等しいからです。
ところで、「付加価値」や「企業利益」の分析は、企業数が多いことや企業同士の関連性などを考慮する必要があるので、分析が非常に困難になります。
そこで「三面等価の原則」に従い、GDPを「需要(支出)面で考えてみよう」とするのが一般的な経済分析なのです。つまり、経済学的にGDPは「生産面ではかっても、分配面ではかっても、支出面ではかっても同じになる」ので、「支出面(需要サイド)だけで考えてみましょう」ということです。
需要(支出)サイドとしては、家計の支出である「消費」、企業等が来期の生産等に必要なモノなどを購入するための支出である「投資(これは「設備投資」と「住宅投資」に分けられます)」、政府の支出である「政府支出」、海外からの支出である「純輸出(輸出-輸入)」に分けられます。
需要(支出)サイドの分析では、以上の項目をそれぞれ分析して積み上げれば、三面等価の原則より、「GDP」全体になるのです。
つまり、いちいち「個別の企業の業績見通し」を全て行って、それを合計する(この時、相殺項目を考慮したりする必要があります)ような手間をかけなくても、全体としての企業業績を概観するのであれば、需要(支出)サイドから「GDPを分析するだけでいい」ということになるのです。
したがって、例えば、他の需要項目は一定として「家計消費が増加する」ということになれば、GDPは増加するので、特定な企業はわからないものの、「日本全体としての企業利益は増加した」ということになります。そして、この動きが今後も続くのであれば、全体として企業の将来利益が増加することを意味するので、企業の「将来利益の現在価値」である株価は高くなることが予想されることになるのです。
しかも、需要(支出)サイドのそれぞれの項目は、ある程度、理論的に分析が可能であり、足元の見通しだけでなく、(あまり長くなければ)将来的な予想もできることから、エコノミストの多くは需要(支出)サイドからGDPを分析するのです。
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前田拓生(Takuo Maeda)
ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
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グローバルマネー・ジャーナル第22号、いかがでしたでしょうか。
先週、プライベートでカナダに行ってきました。
ふと宿泊先のホテルでテレビをつけたところ、
アニメの専門チャンネルが映ったのですが、
ガンダム、犬夜叉など、そのチャンネルに
日本のアニメが多いこと多いこと。
翌日バスガイドさんがおっしゃっていたのですが、
日本のアニメはクオリティが非常に高く、カナダでも
「オタク」という言葉と共に大変有名なのだそうです。
建設機械のコマツなどもそうですが、日本のクオリティが
世界の市場で大きな評価を得る場面が、これからもたくさん
ありそうです。
国内シェアだけでなく、
「この会社は将来海外でも通用しそうかどうか」といった
ことにも目を向けることが大切ですね。
来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!
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