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資産運用はライフプランの一環なのだから、なるべく若いうちから勉強して、世界標準の技術を身につけてほしい
最後に図16の「年齢別家計総資産額の国際比較」を見てほしい。
イギリスもアメリカもイタリアも、定年前後の50代後半から60代前半に資産が一番多くなり、リタイア後はその資産を取り崩しながら老後を過ごしていく。ところが日本は、高齢になるに従って資産が増えていくのだ。
この図表は総資産(金融資産+非金融資産)の年齢別推移だが、貯金に限って私の知るところを言えば、イタリア人は死ぬ瞬間にほとんどゼロになる。彼らは死ぬ瞬間に貯金ゼロが人生の理想だと思っているのだ。対して日本人は死ぬときが人生最高にリッチな瞬間である。果たしてどちらが健全な人生なのだろうか、と考えさせられる。ラテン民族と大和民族の文化の違い、価値観の違い、では片付けられない
。
欧米人においてはライフプランとマネープランがリンクしていて、資産運用、資産形成をしながら思い描いた老後に向かって人生の歩を進めている。
一方、日本人は大半が明確なライフプランを持たず、従ってマネープランも計画性が欠如。そもそもマネープランを立てようにも、国と金融機関に騙されてイールドが異常に低いため、収入は高いのに資産形成は困難。購入したマイホームも資産というよりは借金の塊。自分の老後が思い描けずに、老後の不安を貯蓄と保険で埋め合わせるかのように貯め、殖やす頭も使う間もなく、残す相手すら決めないまま、世界一の資産を残して死んでいく......。しかも世界一の長寿国だから、不安ばかりでさほど楽しみのない人生が延々続くとなると、何ともやり切れない。
そんな人生を変えるためにも、資産運用、資産形成に真正面から向き合うしかないだろう。私の提供しているBBT大学院大学のオープンカレッジ「株式・資産形成講座」では、まずライフプランにおける人生のバランスシートをどうするか、から始める。人生哲学と言ってもいいが、これをしっかり確立することが重要だ。そして自分のライフプランに基づいたファイナンシャルプランを立てる。そうすると、かなりの人は年率10%以上で回さないと資産の形成ができないことに気がつく。
リスクの高い海外での運用も積極的にやらなくてはならないことに気がつくのだ。したがって、かなり時間をかけて商品の特性、受発注の仕組みとタイミング、為替の問題、税
金の問題、ポートフォリオの組み方などを勉強してもらわないといけない。「基礎編」半年、「実践編」半年、くらいの期間が必要となる。
こうして一年以上学んだ人々から最近朗報が届く。いわく借金を一掃した、今年に入って半年で30%を超えた、などなど。誰かのアドバイスではなく、自分の学んだことを実行に移している人々が、わずかながらも増えているのである。資産運用はライフプランの一環なのだから、なるべく若いうちから勉強して、世界標準の技術を身につけてほしい。
社会保障の負担が収入の四割近くに達したドイツでは、高い税金から資産を保全するために国民は世界トップクラスの資産運用能力をこの20年で身につけた。彼らは正味資産を殖やすため、少なくとも週のうち半日や一日を、そのためだけの勉強に費やしてきた。日本人もそのくらいの覚悟が必要だろう。
いまどき、一生懸命受験勉強して東大を出ても生涯賃金はいくらも変わらない。しかし、ドイツ人のように資産運用について猛勉強すれば、2倍、3倍は楽に変わるのだ。資産運用、資産形成に一生懸命な人間を、「守銭奴」だの「金に卑しい」だのと負け犬根性で謗っていられる時代ではないのだ。
(初出:「週刊プレジデント」2007年9月3日号【お金の新常識60】)
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著者:
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一
11月12日発刊の
「大前通信特別保存版 マネーハザード金言集」
より抜粋したものです。 |
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グローバルマネー・ジャーナル第24号、いかがでしたでしょうか。
ガソリンの高値がどんどん更新されていますね。
昨日入れに行ったスタンドでは、セルフにも関らず
なんとリッター140円!!
ガス欠寸前なのに一瞬ためらってしまいました。。
石油の枯渇については2050年とも、2030年とも言われており、
それに伴って燃料電池車や水素エンジン車の開発、また、
サトウキビを原料としたバイオエタノール燃料にも注目が
集まっています。
日本では先日、双日がブラジルでバイオエタノール生産に
着手する他、三井物産、伊藤忠商事なども計画・検討を
進めているそうです。
車好きの私としては、目先のガソリン代がこれ以上高騰しない
ことを願いつつ、こうした試みが次々と実現していくことに
大きな期待を寄せています!
来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!
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