この先どうなる!?原油先物の未来|株式・資産形成講座メルマガ

  2007/12/19(水)  
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この先どうなる!?原油先物の未来

原油の動向を予測するうえで、必要な要素を一挙公開。原油の需要と供給の真実とは?

2004年から上がり始めた原油の価格は「どこまで上がるのだろうか」と不安に思う人が多いでしょうから、ここでは原油価格値上がりの背景について解説してみたいと思います。

まずは、原油がここまで上昇した主な理由についてお話しをいたします。 「原油は無限にあるわけではない」のは言うまでもないことです。

11月29日、石油工業連盟は2005年末時点の石油の確認埋蔵量は1兆1,138バレルであり、可採年数(採掘を続けることの出来る年数)は37.6年分に相当すると発表しました。

そのため、世界の石油「枯渇年数[(確認埋蔵量+新規発見量+既存油田の確認埋蔵量の増加分)÷現時点の消費量]」は68年分となり、2000年に行われた前回調査時の79年より11年短縮しました。

確認埋蔵量は5年前より20%増加しましたが、同時に生産(消費)量も16%増加したのです。

ところで、なぜ調査をするたびに確認埋蔵量が増えるのでしょうか? それには、大きく分けると2つの理由があります。

1)探鉱・採掘技術の進歩に伴い、以前までは不可能だった深い地層や深海での調査・回収が可能になり、世界の未知の地域で石油やガスが新たに発見されるようになったこと

2)圧縮した水などを注入して油田の隅々から原油を回収する技術が開発されたことなどにより、回収効率が上がったこと

可採年数は何年経っても「おおよそ40年弱」と言われていますが、再生不能の地下資源である以上、石油はいつか無くなる運命にあります。


ご覧の通り、2004年に北米を抜いて世界最大の石油消費地帯となったアジアが、そのままの勢いで今後の石油消費増加量の5割以上をも占めることになります。

石油の需要は電力ではありません。発電用には石炭や原子力が主流となっており、火力発電用の石油需要は減少の傾向にあります。
それでは石油の最大の需要は何でしょうか?

それは自動車です。


先進諸国では自動車保有率が飽和に近づいているため保有台数の伸びは緩やかなのですが、世界全体でみてみると、2005年に9億台だったものが2030年には18億台と2倍になり、アジアだけをみても1.8億台だったものが5.3億台の3倍にもなる見通しです。それを押し上げている国は中国とインドです。こうしたモータリゼーションが石油需要の増加をもたらし、原油価格上昇の主な要因となっています。

また、供給面で原油はあってもガソリン等石油製品に精製する設備が世界的に足りない点も挙げられます。これは1980年代から90年代にかけて石油価格が低迷したため設備投資が行われてこなかったという経済循環要因です。現状の石油精製設備は1970年代の物が多く修理期間が長く、また頻繁になっています。また、こうした老朽施設にはハリケーンが脅威となっています。

以上の背景を踏まえた上に、サブプライムショックに端を発する信用収縮により、企業や政府の信用に裏付けられた株式や債券投資の魅力が薄れ、投資先を失った投資資金が商品に入ってきたことが、2007年夏以降の原油価格高騰の主な要因となっています。

では、これからも「原油価格は上がり続けるのか」というと、私はそうは思いません。

何故なら今現在、どこにも"原油が不足している状況"は無いからです。


今年1年における世界全体の石油需要は8,570万バレルです。 その内、非OPEC生産分が5,020万バレルなので、黄色い部分の約3,150万バレルをOPECが供給できれば、需要と供給が成り立つといえます。

それでは、OPECの生産能力を見てみましょう。


ご覧の通り、アンゴラとイラクを入れれば3,445万バレルにも上り、需要を十分に補えていることがわかります。

この事実があるにもかかわらず、巷間では「石油が足りない」と言われていますが、現実には、ガソリンを求めて人々がスタンドに並ぶ姿は世界中どこにも見られません。需給バランスが少々供給不足になったとしても消費量に対する世界の在庫日数も85日分にものぼります。

つまり穀物価格と違って、原油価格が値上がっているのは多分に心理的なものなのです。

以上のことから、今後、原油が値上がりする要因や可能性についてみていきましょう。

<長期的視点からの要因>

強気要因
・ 石油の生産量は減少傾向にあること

弱気要因
・ 価格が高騰したため、バイオ燃料やオイルサンド等の代替燃料や、電気自動車の開発が進むと思われること

<短期的視点からの可能性>

原油価格が高騰することになる材料
・ 中東やアフリカ、ロシアなどの地政学的リスクが生じた場合
・ 米国経済がサブプライム問題で影響を受け、株価が下がり、商品投資が増えた場合
・ サブプライム問題に対する有効な対策が出されると、景気回復のイメージが生まれた場合

原油価格が低下することになる材料
・ 米国経済がサブプライム問題で影響を受け、自動車等の売り上げが減少した場合
・ サブプライム問題に対する有効な対策が出されると株価が上がり商品投資が減る場合

<石油需給から今後注目される要因>

強気要因
・ 厳冬になり、寒くなると灯油が売れるという灯油(暖房油)主導になること

こうした要因などが織り交ざりながら、原油価格は上下動するでしょう。

私は「一方的に原油価格が上昇する時期は過ぎた」と思っています。今後はこうした要因に一喜一憂しながら、ボラティリティーの高い、変動の激しい価格となるように思います。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学 株式・資産形成講座講師
株式会社フィスコ コモディティー代表取締役社長
近藤 雅世

12月6日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、一部再構成したものです
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第25回 『景気回復から景気の山かけての相場展開』

景気が回復期を過ぎてくると家計所得も増加するため、力強さが見えてきます。但し、家計消費の増加に伴い、個人消費が伸びてくると、物価が徐々に上昇してくることになります。

このような物価の上昇は早期に経済を失速させる可能性があるので、中央銀行は矢継ぎ早に金利を上げるように調整してきます。したがって、設備投資関係の業種については業績が「芳しくない」ものも出てくることもあります。

とはいえ、この時の金利上昇は「経済を失速させる」ことが目的ではなく、全体的には好景気なので、相対的に多くの企業が良い業績である場合が多いと考えられます。

ここで「設備投資」などの「B to B(企業対企業)」の場合、付加価値の点では「高くない」のが普通です。なぜなら、企業同士であれば、ともに「利益の最大化」をはかることが目的なので、「コストの最小化」により、設備投資として売り上げる機械から上がる付加価値自体は(相対的に)少ないはずだからです。

しかし、回復期を抜けて景気が力強く上昇するような場合には、家計所得も増加するため、最終消費がけん引役となってGDPを押し上げることになります。このような「最終消費」の場合には「B to C(企業対消費者)」なので、付加価値の点では相対的に高くなります。

つまり、消費関連の企業の場合、付加価値が高いこともあり、業績の回復/上昇力が強いので、株価も値幅効果が狙える業種が多くなり、景気を力強く押し上げることになる場合が多いのです。

このような時期には、景気に対して多くの人が「楽観」した見通しを持つため、必要以上に規模を拡大させる傾向があります。そのため、物価は上昇スピードを加速させることになります。

こうなると中央銀行は「景気を持続的に拡大させるため」に、さらに金利上昇のテンポを上げ、景気を冷やす方向に調整することから、企業のいわゆる「本業」の事業収益率は相対的に徐々に悪化することになります。

このような場合、投資収益を求めて動き回る資金は、本業以外の投資対象に積極に向かうようになるため、資産等の価格が上昇するようになります(このような時期が「合理的期待によるバブル形成期」にあたります)。この時、今までに経験をしたことのないような「利益」を得ることが多く、資産市場や株式市場への参加者が急増することになります。

このようにして「バブル相場」が始まるのですが、その後、「上がるから買う、買うから上がる」という状態になり、多くの人がその「バブル」に陶酔するようになる頃、些細な出来事から「バブル」がはじけ、急速な景気悪化が始まると考えられています。



講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
 
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第30号、いかがでしたでしょうか。

地道な資産運用を考えたことのある方なら、 誰でも一度は複利運用シミュレーションを されたことがあるのではないかと思います。

自分で運用するにせよ、投信会社に任せるにせよ、 長期的スパンで投資を考えることはとても大切です。

例えば初期投資100万円で、以後毎月4万円を30年間、 年利10%で複利運用すると、なんと1億円が作れる 計算になります。

ただのタンス預金なら30年で総額1,500万円程度。

時間だけは長い年月を必要としますが、 年金問題に不安を覚えず理想のセカンドライフを 送るには十分な金額ではないでしょうか。

このメルマガを読んでくださっているみなさんには、 先々のお金に困らないためのライフプラン作り、 そしてそのプランの定期的な見直しによって、 「自分の人生でやりたいことを幾つも実現していって いただきたい、そう思っています。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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