ユーロ強固「サムライはどこへいってしまったのか?」|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/1/30(水)  
最新・最強・最高クオリティの
Message
第35回目発行!株式・資産形成講座メルマガです。
メルマガをご覧の皆様、こんにちは!
ビジネス・ブレークスルー 株式・資産形成講座事務局の一戸です。
このメルマガでは、皆さんの資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびにプロとして活躍している 一流講師陣の視点から、毎週リアルタイムにお届けしていきます。
あなたの理想とする資産運用、資産形成を実現するためのとっておき情報を、どうぞご覧ください。

本文タイトル
ユーロ強固「サムライはどこへいってしまったのか?」

地中海の島国キプロスとマルタが2008年1月1日、欧州単位通貨ユーロを導入しました。 ユーロ圏はこれで15カ国になりましたが、デンマークも今年、ユーロ参加の是非を問う国民投票に踏み切ると見られており、ユーロはドルに続く基軸通貨としの地位をさらに固めることになりそうです。

導入当初はうまくいかないと思われていたユーロですが、昨年末で13カ国が揃い踏みするほどにまでなり、それがユーロの強みにもなっていました。

そこに今度は、マルタ共和国(約40万人)とキプロス共和国(約74万人)が加わることで、ユーロの強さをさらに後押しすることになるでしょう。

では、ここでグラフを見てみましょう。


一番左のグラフは、世界の中央銀行が持っている準備通貨の推移を表しています。

ドルを見てみると、一時70%近くを占めていたものの、今では64.8%にまで落ち込んでいます。これがドル安の原因にもなりました。

一方で、ユーロは導入時にどん底であったものの、現在は25%を占めていてます。「円は?」というと、一時10%近くまで近づいたのですが、今や2.8%となっています。ドルとユーロを足せば「90%にものぼる」のであり、他の通貨はまさに「見る影もない」といったところです。

次に、真ん中のグラフを見てみましょう。

これは主要国の銀行が持っている対外資産残高の通貨別シェアですが、ドルとユーロが拮抗しているのがわかります。

準備通貨にはかなりの差がありながら、実際に銀行が保持している金融資産が拮抗しているというのは、民間では「お世辞がない」からです。ちなみに、円は過去に10%近くあった時期もありましたが、今は3.5%です。

それから一番右のグラフですが、これは国債の通貨別シェアを表しています。

米ドル債の減少を尻目に、ユーロ債が圧倒的に多くなってきているのが見て取れます。つまり、債券はかなり足が長いこともあり、将来性を考えての米ドル離れが進行しているということです。

円にもかつては「サムライボンド」などというものがありましたが、今では「サムライはどこへいってしまったのか?」といわんばかりの状態です。「国家の品格は武士道である」というようなことを言っている人もいますが、国債の通貨別シェアは「2.7%」!?!? その著者の本は日本ではベストセラーになりましたが、世界では円はもはやベストセラーではなく、サムライボンドもはるか昔といったところです。

このようなことからも分かるように、キプロスとマルタが加わって15カ国となったユーロは、より堅調な強さを維持していくことになると思います。

そして、この後にデンマークなどもユーロ導入を検討しているとなれば、いよいよイギリスでしょう。 今現在のイギリスは、ちょうど中間のところにあって漁夫の利を得ていますが、もしユーロを導入するようなことになれば、アトランティックは一気に広がることになるからです。

この点からも、イギリスの今後の動きが非常に注目されてくるでしょう。

講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

1月13日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第30回 『景気循環からみた経済状況』

景気は「底(→回復)→上昇→天井(→陰り)→下降→底」というように循環するとされています。そして、それぞれの局面では「金利水準」や「所得動向」、「物価に対する期待」などが違うので、それに対応して活躍する業種が異なることになります。

「底→天井」においては「取引量が増加」することにより、企業業績が回復し、それを背景に「所得が増加」するようになります。「取引量」が安定的に増加するようになると「物価に対する期待」から「低金利→高金利」になると考えられています。

このような経路から活躍する業種も「ベンチャー企業」または「ニッチ産業」→「設備投資関連」→「最終消費財関連」→「資産・コモディティ」などというように変化することになります(但し、活躍する業種は、景気の波及経路により様々であり、実際には「方程式のようなもの」は存在しません)。

「天井」というのは、幻想に基づいた「投資機会に対する期待」により、期待投資収益率または期待キャピタルゲインが過剰に高まっている状態であるものの、市場参加者の多くが「幻想である」ということに気づいていない(または「気づこうとしない」)状態であるともいえます。

このような状態は、所詮「幻想」なので、いつかは「醒め」、現実に戻るときが来るのです。そして、それは「突然」訪れます。

「天井→底」は、それまで「あったはずの幻想」を否定する過程であると考えられます。

したがって、この過程ではネガティブな感情に支配され、多くの産業で業績が低迷することになります。そんな中、安定性が保持されるものの「一攫千金」が可能な「医薬品」・「バイオ関連」が注目されることになる場合が多くみられます。

また、民需の低迷を食い止めるために、公共投資が行われたり、減税策が打ち出されたりすることが多いので、政府高官の言動が注目され、「今後打ち出される」であろう政策に乗った業種が注目される場合もあります。

このような中、「そう」「こう」している間に、金利はかなり低い水準になっていることもあり、高い金利では採算が合わなかった事業も活動を始めるようになり、局所的に取引が再開される業種が生まれ、次の景気の波が始まることになります(確定はむずかしいのですが、このあたりが「底」といわれる時点です)。

ここまでは「国内」を中心に見てきましたが、海外経済が好調である場合や為替レートが自国通貨安(つまり、円安)の場合、輸出が活発化するので、純輸出(=輸出-輸入)が増加し、GDPを押し上げ、国内所得が増加することから、当該国の国内景気を押し上げることがあります。

このような「純輸出」のことを、特に「外需」と言う場合が多く、その他の国内需要を総称して「内需」と表現することがあります。

つまり、「国内景気=外需+内需」ということになるので、内需が好調であっても円高などにより外需がマイナスに寄与すると、トータルとしての景気は「それほどでもない」ということもあり得ます。

しかし、外需はあくまでも「他力本願」の部分が強いので、一国の経済という場合には「内需主導型の経済が好ましい」という考えもあります。この場合、国内消費が中心の経済であれば、「円安」よりも「円高」の方が海外から安い商品(原材料)を購入でき、企業の競争力も高まることになるともいえます(あくまでも「国内消費が中心である」ということが必要ですが・・・)。

現状のように銀行の貸出余力が高い状況において、家計が金融資産を取り崩しても、国内全体で「(設備投資等の実物)投資が減少する」という可能性は極めて少ないと思われるので、「国内消費が増加する」ことにより、有効需要が増え、国内経済が活性化することが考えられます。

つまり、日本では「家計に消費をさせる」という方向に誘導するだけで「経済的に活性化させる」ということが可能になると思われます。この場合、「円高」は景気にとって支援材料になります。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第35号、いかがでしたでしょうか。

最近、新聞の経済面に目を通していると、 石油の枯渇が心配されるせいか、 エコカー関連の記事をよく目にします。

日本のほとんどの企業が着手しているのは 燃料電池車ですが、今の発電所数では 電力不足必死でしょうから、ここが新たな 課題といえます。

代わって注目されているのが水素カー。

今は水素を作り出すのにかなりのコストが かかるそうですが、先日テレビを見ていた ところ、将来はプラズマでゴミを分解して ゴミ処理と水素作りを同時にこなせるような 施設が出来上がるそうです。

ゴミから燃料なんて、夢のような話ですね。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

株式・資産形成講座
一戸

| 配信停止 | お問い合わせ | 個人情報保護方針 |

copyright(C)BUSINESS BREAKTHROUGH Inc. All Rights Reserved.

資産形成について少しでも知識を高めたい方はまずは無料講義体験へ。

  • 無料講義体験
  • 講座申込み