地中海の島国キプロスとマルタが2008年1月1日、欧州単位通貨ユーロを導入しました。
ユーロ圏はこれで15カ国になりましたが、デンマークも今年、ユーロ参加の是非を問う国民投票に踏み切ると見られており、ユーロはドルに続く基軸通貨としの地位をさらに固めることになりそうです。
導入当初はうまくいかないと思われていたユーロですが、昨年末で13カ国が揃い踏みするほどにまでなり、それがユーロの強みにもなっていました。
そこに今度は、マルタ共和国(約40万人)とキプロス共和国(約74万人)が加わることで、ユーロの強さをさらに後押しすることになるでしょう。
では、ここでグラフを見てみましょう。
一番左のグラフは、世界の中央銀行が持っている準備通貨の推移を表しています。
ドルを見てみると、一時70%近くを占めていたものの、今では64.8%にまで落ち込んでいます。これがドル安の原因にもなりました。
一方で、ユーロは導入時にどん底であったものの、現在は25%を占めていてます。「円は?」というと、一時10%近くまで近づいたのですが、今や2.8%となっています。ドルとユーロを足せば「90%にものぼる」のであり、他の通貨はまさに「見る影もない」といったところです。
次に、真ん中のグラフを見てみましょう。
これは主要国の銀行が持っている対外資産残高の通貨別シェアですが、ドルとユーロが拮抗しているのがわかります。
準備通貨にはかなりの差がありながら、実際に銀行が保持している金融資産が拮抗しているというのは、民間では「お世辞がない」からです。ちなみに、円は過去に10%近くあった時期もありましたが、今は3.5%です。
それから一番右のグラフですが、これは国債の通貨別シェアを表しています。
米ドル債の減少を尻目に、ユーロ債が圧倒的に多くなってきているのが見て取れます。つまり、債券はかなり足が長いこともあり、将来性を考えての米ドル離れが進行しているということです。
円にもかつては「サムライボンド」などというものがありましたが、今では「サムライはどこへいってしまったのか?」といわんばかりの状態です。「国家の品格は武士道である」というようなことを言っている人もいますが、国債の通貨別シェアは「2.7%」!?!?
その著者の本は日本ではベストセラーになりましたが、世界では円はもはやベストセラーではなく、サムライボンドもはるか昔といったところです。
このようなことからも分かるように、キプロスとマルタが加わって15カ国となったユーロは、より堅調な強さを維持していくことになると思います。
そして、この後にデンマークなどもユーロ導入を検討しているとなれば、いよいよイギリスでしょう。
今現在のイギリスは、ちょうど中間のところにあって漁夫の利を得ていますが、もしユーロを導入するようなことになれば、アトランティックは一気に広がることになるからです。
この点からも、イギリスの今後の動きが非常に注目されてくるでしょう。
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