一喜一憂ではなく「時間を味方につける」ことがポイント|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/2/13(水)  
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一喜一憂ではなく「時間を味方につける」ことがポイント

「リスク軽減型投信」で元本保証が相次いで消滅しています。 これは株価が急落しない限り元本保証する商品ですが、先月22日までの株価急落を受け、元本保証の条件を満たさなくなりました。元本保証が外れることが事実上確定したファンドの本数は年明け以降で20本以上に達したということです。 また中国やインドなど新興国の株式で運用する投資信託の運用成績の悪化が鮮明になっています。投信の時価を示す基準価格の年初来下落率は20%程度となり、証券会社などでは販売に減速感も出ているということです。

私は何回も言っていますが、投信(投資信託)というのは低い時に買って高くなってから売るか、あるいは年金型で10~20年持ち続けるための商品だということです。

日本の場合には2005年が非常に投信の成績がよく、またその頃はまだ投信を持っている人も少数でした。 それが06年、07年と経るにしたがってその数は急増していったのですが、私が07年には「もうやめておいたほうがいい」と言ったのは、これ以上株は上がらないと予想したからです。

にもかかわらず、証券会社などは「今は投信が良いです」と、去年や一昨年の成績を言うことによって勧誘したために、みんな遅れて入ってくるわけです。

それから新興国の場合は非常に騰落率が激しく、上がり方も急激だったので、今、仮に20%落ちても2年前に買っていれば別にどうということはないわけです。

ところが直近で買った人の場合は20%落ちてしまったらヒドイ目に合うというのが投信という商品の性質でもあります。

そして元本保証やリスク軽減という投信は、実は細かく読むと、「株が一定水準以上落ちた時には元本を保証せず、それ以内なら保証します」というものになっています。 つまり、その「元本保証の水準」を相次いで割込んで落ちてしまったために、元本は保証されず、混乱が起きてしまったというわけです。

それでは次の図を見ていただきたいと思います。


これは07年の年間騰落率と08年の年初来(つまり、まだ1ヶ月しか経っていないのですが)の騰落率を表したグラフです。見て明らかなように、かなり大きく落ちていることが分かります。

ですが、ここで売ってしまったら元も子もありません。

とはいえ、今回の教訓としては、そもそも元本保証というものを狙う商品の場合には、その分だけ下がるリスクを抑えているので、当然(リターンが)高くなる方についても抑えられていることになるので、あたかもリスクがないように思わせる「まやかし的なもの」は買わないほうが良いということになります。

つまり、むしろストレートに「リスクがある」ということを承知の上で、資産のポートフォリオの一部に加えて運用していくぐらいの気持ちが必要なのでしょう。

それから高い確率で長期的には栄えるだろうと思われる幾つかの国がありますが、それらについても一喜一憂しないで持っておくべきでしょう。

売り買いで勝負しようとなると普通の投信ではなく、デイトレードになってしまいます。 デイトレーダーの人たちはまさに売り買いで勝負しますが、普通の人は長期間置くことにより、「時間を味方につける」ことで勝負していくべきです。

実際、日本より上昇の可能性の高い国がまだたくさんあるので、玉石混交の情報に影響されずに、じっくりとそれぞれの国の特徴を調べてみるべきでしょう。

また、今までの投信運用業者の中で「どういう業者のやっているものが良いのか」を知りたければ、モーニングスターなどにも出ていますから、参考にしていただきたいと思います。

日本は「上がりが少なかったために下がりも少なかった」ということを自慢していますが、そういうことでなくて、やはり、いくらかのリスクのあるところに"敢えて"トライしないと勉強にはならないわけです。

だから勉強するには今がちょうどいい時であり、下がったからといって全部撤収する場面ではないと思います。

講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

2月3日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第32回 『「サービス業の生産性向上」は重要ではありますが・・・?!?!』

2月8日付け日経朝刊の「経済教室」に国会で「日本はもはや『経済は一流』と呼ばれる状況にない」と言い切った大田弘子経済財政担当大臣が投稿しています。

真意についての弁明が主な内容ですが、中心となるのは以下の点だと思います。

【1】 サービス業の生産性を向上させるべきである。
【2】 経済インフラ(金融資本市場、空港、港湾など)の国際競争力を高めるべきである。
【3】 少子高齢化に対応するため、海外から資金や人材を呼び込むべきである。


長期的なビジョンという意味では理解できますが、現在の閉塞感を「如何に考えているのか」という点について見えてきません。特に【1】はどのくらいのタームを考えているのでしょうか?

解説として「ヒト・モノ・カネが国境を越えて動く今、サービス産業の生産性が上がらなければ、国内に質の高い雇用を確保することは難しく、平均賃金も上昇しない」といっています。

ここで「生産性を向上させる」という場合、イノベーション等の全要素生産性(TFP)を促進させようと考えているものと思われます。でも、サービス業における全要素生産性って、そんなに早く変化するのでしょうか?

おそらく、短期的にはほとんど変化させることはできないでしょうから、「生産性向上」という場合には、労働生産性を向上させることになるでしょう。

とはいえ、「サービス業の労働生産性を向上させる」といっても、高付加価値の商売がすぐに見つかるわけではなく、現状の景気状態の中で、そう簡単に売上を伸ばせるわけでもないことから、生産性向上をさせるとすれば、労働者を削減するか、現状賃金を引き下げることになりかねません。

しかし、現在の日本経済は、サービス業界の売上が伸びないので、賃金を抑えて雇用をしようとするから、「人手不足」で「低賃金」の状態が続いていると思われます。また、低賃金で経済の先行きが不安だから、生活者は消費をしないので売上が伸びないという悪循環になっているとも考えられます。特に生活者の消費は国内に落ちるので、サービス業が打撃を受けます。

つまり、「サービス産業の生産性向上」自体は重要ですが、現在の日本経済においてはサービス業の「売上を伸ばす」ということの方がより重要なのであり、そのために「政府が行う」ことは、「サービス業従事者のスキルアップをはかる」というよりも、「生活者が"安心"して消費できるようにする」ということではないでしょうか。

さらに【2】はおっしゃる通りとしても、【3】の論点もよくわかりません。少子高齢化だから、国内貯蓄が減少することが予想されるので、海外から人やおカネを呼び込むことが重要であると説いています。

確かに「正論」ではありますが、現状1500兆円を上回る貯蓄残高があるにも関わらず、「消費をしない状態のままである」ということこそが、本当の問題ではないでしょうか。将来において「国内貯蓄残高が減少する」のかもしれませんが、目先、国内の生活者が「消費をする」という行動を取れば、サービス業の売上も向上し、経済の活性化にもつながります。

実際、銀行の日銀当座預金残高も預金準備率よりも多い状態が恒常化しているのであり、生活者が貯蓄残高を減少させても、マクロの投資を減少させる状態にはないと思われます。

経済が活性化し、企業の利益が向上すれば、サービス業の「生産性」も上がり、質の高い雇用も可能になるでしょう。また、資金ニーズが高まれば必然的に金利が上がり、海外から資金を呼び込むこともできると思います。

今すぐ「やる」べきは「生活者に将来的な安心を提供する」という政策であると思います。それさえ実現すれば、生活者は"安心"して消費をするようになるのではないでしょうか。

*ここでは経済学的には「家計」という分類になる主体を「生活者」としています。「生活者」も「家計」も「労働によって所得を得て、所得から消費を行い、残りを貯蓄します」が、「生活者」は「こころの豊かさ」という非経済的要因も加味する主体であると考えています。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第37号、いかがでしたでしょうか。

今、自分の保険を見直そうと思い、保険会社2社と話をしているのですが、そのうちの1社の営業マンにこんなことを聞かれました。

「旦那さんが死亡保障5,000万円の保険に入り、62歳で亡くなった場合、奥さんはいくら貰えると思っている人が多いと思いますか」

正解は5,000万円、しかし実際には200万円程度しか貰えません。その理由は2つあります。

・通常、主契約といわれる終身部分は極めて少なく、5,000万円の大半が60歳を境に保障切れとなることを認識していない

・そもそも契約を夫任せにしているので、5,000万円と聞いてそれを「鵜呑み」にしてしまっている

こうしたことは購入する保険商品のパンフレットをよく見れば分かることなのですが、実際には保障内容や保障総額、月の掛け金の算出にばかり気がいってしまい、理解が欠けてしまうようです。

保険の選定も重要な資産形成項目の一つ。これから保険に入ろうとお考えの方、どうぞご注意を。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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