クロス通貨とアジア通貨のバランスを探る!?|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/2/20(水)  
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本文タイトル
クロス通貨とアジア通貨のバランスを探る!

過去数年のドル安でユーロ、ポンドは割高。
アジア通貨には上昇の余地あり!?


通貨の現状の位置づけとバランスを考えてみるために、下の図を見ていただきたいと思います。


これは2002年の冒頭での対ドル相場を100として、様々な通貨がどのように推移してきたのかを表したグラフです。下に振れるほどドル安で、それぞれの通貨が強くなったということを示しています。

円相場は2004~05年辺りからアメリカの景気が上向き、金利が上がるにしたがって円安ドル高に動いています。ドルの取引シェアは落ちてきましたが、円は依然としてアメリカの景気循環、それを受けたドルの循環の受け皿として動いている面が色濃く出ています。

他の通貨の線が全体的に右下がりになっているのは、ドルがこの期間を通じて基調的に売られてきたことを示しています。

ただし、このドル下落の最中にアメリカの株価は史上最高値を更新し、債券価格も金融引き締め下にあってなお底固さを維持していました。昔ならドルが売られると米国の株も債券も売られ、「トリプル安」などと騒がれたものです。ドル安が持続して、「ドル離れ論」をよく耳にしますが、ドル資産が見放されたわけではないことに注意してください。

その背景要因の一つは、ドル一極だった国際投資をいろいろな形で分散できるようになったということでしょう。第1に、ドルと肩を並べる通貨としてユーロが誕生し、ここ数年ユーロ圏経済がようやくしっかりしてきたことで、ユーロおよびユーロ圏の資産が分散投資の対象として認知されるようになりました。

第2に、アジアなどの新興諸国が台頭し、これらも投資対象として信認されるようになってきたことが挙げられます。さらに新興国経済の拡大で資源価格が上がり続け、資源輸出国の豪ドルも投資対象としての信認を高めています。

以上のことから分かるのは、これまで国際投資でドル資産を70%持っていたような投資家が、他の資産の保有割合を増やしたためにドル資産の割合が低下してドル安になったということです。つまり米国の資産が信認を失って嫌われたというよりも、他が浮上して「フラット化」が進んだ結果だということになります。そのことを裏付けるように、世界的なカネ余り環境の中でドル資産も粛々と買われて、その価格もしっかりしていました。

再確認しますと、単純にドル離れというよりも、ある意味では世界経済がフラット化・平準化していく中で、今までドル一極集中だったものが見直されつつあるということです。

このことを踏まえつつ、初めの図でいろいろな通貨のバランスを見てみましょう。まず中国やアジアがブームのように言われてきましたが、人民元の強さ、上昇の程度は控えめなものです。

またオレンジの線で表されている他のアジア通貨も、貿易関係上人民元に引き離されるわけにはいかず、金融政策、為替介入、資本規制などを駆使して、上昇を抑制しています。ですから「アジア、アジア」と騒がれている割に、通貨はそれほど高くなっていません。

したがって、ドル売りの相手方として、アジアを買う妙味が出にくい分、ポンドやユーロが買われて割高になったという面もあります。結果的にポンドやユーロは、ドルに対してすでにかなり過大評価されています。

今年は、米国で景気が悪化して、金利が下がり、ドルが安くなりがちな局面です。しかし他方で、米経済に続いて、イギリスやユーロ圏の景気も減速し、金利が下がる場面になると、ポンドやユーロの割高分はそれなりに調整反落しやすくなります。

しかし世界経済・アメリカ経済が底割れを回避できる程度に踏みとどまれば、アジアの景気は総じてしっかり目で、これまで出遅れているアジア通貨にはまだ強くなっていく余地があります。

ドル安の景気循環局面の中でも、ポンドやユーロなど先進国通貨間ではドルは逆に持ち直す可能性があり、アジア通貨は堅調を持続する、そういう形でバランスが見直されていくことが想定されます。

円から見ると、まずはドル安・円高。その後、主要通貨間でドルが失地回復する中でドル・円も落ち着くかもしれませんが、ユーロやポンドに対する円買い戻しが円高圧力としてくすぶるでしょう。またアジア通貨高の一環で円高になっているような見方も巷に出てくる可能性があります。

講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学 株式・資産形成講座講師
ブックフィールドキャピタル株式会社取締役副社長
田中 泰輔

2月7日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第33回 『「物価」って何?!?!』

市場取引という場合、需要サイドだけでは「取引」は成立しません。市場が成り立つには「需要」と「供給」が一致する必要があり、その時に重要なのが「値段(物価)」です。

※一般に「需要」は「値段(物価)」が低いほど増え、「供給」は「値段(物価)」が高いほど増加するものと考えられます。

とはいえ、「物価」というモノは意外に厄介なものです。

その原因は「期待」というモノ、または、「予測」というモノが介在するため、「1+1=2」みたいにはいかないところに難しさがあるのです。

また、「物価」を変化させる要因は、モノにより一様ではなく、さらに、変化の伝わり方も様々です。そのため、「どの物価」を言っているのかを理解しないまま議論を進めると、とんでもない誤解を引き起こすことになります。

しかも、どの物価も「瞬時」に伝わるものではなく、時間を置いて変化が起こります。その「時間(の長さ)」が非常に曖昧であり、科学的な分析(実証検証)が難しいのです。

そこで「一般物価」と言う場合、ある特定のモノを指すわけでも、代表的なモノをいうわけでもなく、「おカネの価値との相対価格(そうたいかかく)」として捉えることになっています。

つまり、「おカネの量」との対比で考慮される値として算出されるものが、マクロ的な意味での「一般物価」「モノの値段」であると考えられています。

ということで、「おカネの量」が「増加」すれば、「おカネの価値」はそれだけ「低下する」ので、相対価格としての「モノの値段(一般物価)」は「高くなる」ということになります(逆は逆)。

ところが上述のとおり、このような変化には時間がかかるため、短期の経済分析では「物価が一定」として考えることが多いのです。

つまり、中央銀行(日銀)がハイパワードマネーを増加させ、それに伴って、マネーサプライ(これが「おカネ」です)が増加した場合、「市場金利が低下する」と考えるわけですが、これは短期的には(つまり、「物価の変動がない場合」)確からしい分析といえます。

しかし、マネー量が増加した場合、物価が比例的に、しかも、瞬時に上昇するとすれば、実体経済の実物取引は変化せず(つまり、資金ニーズが増加しないので)、(実質的な)金利は変化しないことになります。

このように「おカネ」は「実際には何もしない」という考え方があり、この考え方を「貨幣ヴェール観」といいます。

このように「経済分析の手法」には「(物価が変化する)長期分析」と「(物価が変化しない)短期分析」があり、主に「短期分析を中心としている」のがケインズの「有効需要の原理」に基づく考え方であり、主に「長期分析を中心としている」のが古典派経済学であると考えられています。

では、実際の経済を分析する場合に、「長期」と「短期」を峻別できるのでしょうか?

これは実際には「無理」です。どこまでが「短期」で、どこからが「長期」というように期間を区切ることはできません。そこに一般の人が「経済学の曖昧さ」みたいなものを感じるのだと思います(一応、「1年」という期間で区切ることが多いのですが、これは「経済学的に意味がある」ものではなく、実務的な観点での取り決めに過ぎません)。

しかし、この「長期」と「短期」を混同すると体系的な考え方ができなくなるので、「期待」というものを想定することにより、「長期」と「短期」を結びつけるやり方が一般に行われています。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第38号、いかがでしたでしょうか。

先週末、ふと苺が食べたくなり、車を飛ばして苺狩りに行きました。

シーズンとはいえそんなにお客さんはいないだろうと高をくくっていると、最初に訪れた苺園は開園一時間前に満員御礼の看板が立ち、アウト。

そこのご主人に知り合いの農園を紹介してもらい、そちらもすごいお客さんでしたが、何とか苺にありつけました。

農園の方に「大盛況ですね」と話しかけると、「今から4月くらいまではシーズンだからね。でも今年は原油が高騰しているから、加温費もバカにならないんだよ」とのこと。

思わぬところに原油高の影響を感じさせられた一日でした。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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