「混ぜるな、分析!」要素を分けて考える|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/2/27(水)  
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「混ぜるな、分析!」要素を分けて考える

アメリカFRBは先月30日のFOMCで、最重要の政策金利であるFF金利の誘導目標を0.5%引き下げ、年3%とすることを賛成多数で決定、即日実施しました。22日に発表した0.75%の緊急利下げも含め、1週間あまりで合計1.25%に達する異例の大幅引き下げに踏み切ったものです。

それではまず、下の図を見ていただきたいと思います。


このような急速な利下げは「異例」と言われていますが、グラフを見ていただければ分かるように、2001年にも同じように急速に誘導金利を引き下げた時があります。

その時はITバブルの崩壊と呼ばれたりしましたが、6.5%ぐらいあったものをグリーンスパンが立て続けに下げていったので、当時の下げ方を覚えている人も多いかと思います。

したがって、今回の下げ方も「2001年のITバブル崩壊により急激に経済が悪化した時と同じようなものだ」といえますが、下げ幅として1回に0.75%というのはめずらしいように思います。

当時はもっと高い金利レベルから落としてきたのですが、今回はそれより下から3%まで落としています。

3%という数字についてですが、この値についてもアメリカは、グラフ上でも2ヶ所、それからさらに以前にもありますから、別にそれほど「低い」ということにはなりません。

ちなみに今の日銀の場合は0.5%ですから、0.75%も下げたらマイナスになり、「お金を借りてくれたら金利を差し上げます」といったことになってしまいます

いずれにしろ、ヨーロッパのほうは堅調さを保っているのに対して、アメリカは大きく落としてきたことになります。

そして原因が分からないまま、とりあえず、景気が腰折れしないようにやっているということ自体が、今のFRBの焦りを示しています。

原油高などの要因によってインフレの可能性がある時に、こういうことをやるのは理解に苦しむばかりですが、背に腹は変えられないというわけなのでしょう。

こういったアメリカの動きと世界の動きが必ずしも一致してないことで、実際に欧州中央銀行も今のところは静観している状態です。

またドルを支えるアメリカの優良企業は全世界で展開をしつつ2割近くで成長する一方で、アメリカ国内を中心とした企業の中で今回のショックについてドメスティックでつかまってしまったところはもはや成長性を失っています。

このようにアメリカは2極化しつつあるのですが、全世界で見ると今のアメリカのような状況に陥っているところは必ずしもたくさんあるわけではありません。

急成長中の中国にもたくさんの問題がありますが、それらはアメリカとは全く別な理由によるものです。

だからそういった要素をきちんと分析して1つずつ見ていく必要があります。

例えるなら、原油が60ドル、50ドルに落ちれば中近東やロシアがおかしくなるはずですが、今の原油の値段だったら何があっても七難隠すことになるでしょう。

アメリカに不用意な投資をして「損」をしてしまったとしても「原油と比較したら○○バレル分でしかない」というわけです。

要するに、パニックに「なっているところ」と「なっていないところ」があるというのが今回の特徴だといえるでしょう。

世の中には連結している部分とまったく関係のない部分とがあるので、その辺りのことを分けて見ないといけないということです。

講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

2月3日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第34回 『将来の物価動向と金融政策』

経済学では、現在と未来をつなぐ考え方として「期待」というものを利用します。物価についても、「まだ物価自体は変化していない状態」の中で(つまり、「短期」)、物価の変化を予想する場合に「期待物価」というものを想定します。

この「期待物価」は「期待」ではあるものの、経済主体(企業など)の実際の行動に影響を与えます。

なぜなら、企業が設備投資等を行う場合、将来期待される物価の変化率の方が「現時点の金利」より高い場合、足元の「金利が高い時」でも、企業は投資を増加させると考えられているからです。

換言すれば、企業は「足元の金利(これを「名目金利」といいます)」ではなく、「期待物価変化率を考慮した金利(これを「実質金利」といいます)」に影響を受けることになる(*1)ということにもなります。

(*1) 実質金利=名目金利-期待物価上昇率

つまり、ある均衡状態から期待物価上昇率が上昇した場合、実質金利は低下するので、企業は投資を増加させようとするため、資金ニーズが高まり、銀行貸出等が増加し、GDPを押し上げることになります。

この場合、「景気の上昇スピードが速すぎる」と日銀等の中央銀行が判断した場合、期待物価上昇率を調整するようにマネー量を吸収する政策をとります(金融引締め政策)。

ここでのポイントは「期待物価上昇率を調整するようにマネー量を吸収する」ということであり、過剰と考えられる期待物価上昇率を抑えることができないほどのマネー量の吸収であれば、政策的には無効になり、物価上昇が過熱化することになります。

物価が過熱化すると、一般に「人為では止めることが非常に困難になる」ことが知られているので、日銀等の中央銀行は「大胆にして慎重な行動をする」ように求められます。

このように各国中央銀行は、将来的な物価期待を考慮した金融政策をすることが期待されているのであり、これを「フォワード・ルッキング(先見性のある)な政策」といわれています。

したがって、現在のように将来物価が上昇しそうな状態においては、先回りをして「金利を上昇させる」という政策が必要になるのです。

このところの経済統計をみる限り、日米欧ともにCPI(消費者物価指数)が上昇傾向にあり、このままだとさらに物価上昇する可能性があります。

確かにサブプラ問題で「流動性」が大切ではありますが、物価への配慮を怠ると、サブプラ問題以上に深刻な状態になる可能性もあるので、投資家としてもその点を注意しておく必要があるでしょう。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第39号、いかがでしたでしょうか。

先週末、人生2回目のTOEIC試験を受けてきました。

事の始まりは4ヶ月前、親しい友人達と集まった際、そのほとんどが「今後の人生での必要性を感じ、英語学習をしている」と聞かされたときでした。

仕事上、国際分散投資を勧めているにもかかわらず、現地での口座開設もままならないのではまずい!ふとそう思い、10年以上も放置していた英語学習にようやく重い腰があがったというわけです。

3日坊主が少なくない自分としては、この4ヶ月はまさに奇跡のような学習っぷり。

日常会話へのハードルはまだまだ沢山ありますが、せっかく起きた気持ちを大事にしつつ、何とかものにしてやろう思っています。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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