株価・市場にあまり左右されずに、企業の本来の価値を買うためには?
現在「信用不安」と聞いてイメージするものは銀行株だと思います。
しかし、97年~98年に我々が経験してきた金融システム不安の際にも、いくつもの金融機関が倒産しました。
その間の2~3年で「○○銀行が危ない」という声が多くあがり、株価が大幅に下がったわけです。それと同じような状況が今アメリカでも起きつつあります。
それでは図を見てください。
BKXと書いてあるグラフの青線が「アメリカの銀行株価指数」であり、赤線が「日本の銀行株価指数」です。しかし、これを見ていると、どちらが震源なのか分からないぐらい日本の銀行株価指数は下がっています。
震源地であるアメリカの銀行株価指数(青線)が下がるのなら分かるのですが、赤線の日本のほうがより下がっているのは、本当に理解に苦しむ結果です。
ですが、日本の金融システム不安の時もそうだったように、「一体、金融システムの不安を切り抜けたと認識できたのは何だったのか?」ということを思い出すことは重要だと思います。
それは「メガバンク株が反騰に転じた」ということでした。
つまり、「日本の銀行株価指数が反発に転じた」ということは、そのポイントで「大底をうった」ということになります。
この点からすると、アメリカだけではなく欧米でもそうなのですが、銀行株価指数が確実に「大底をうった」ということが「確認された」とするには、今はまだ微妙な時間帯だといえます。
とはいえ、それが確認されれば次は全面高局面になるので、「いつ、アメリカの銀行株価指数である青線が切り上がっていくのか」ということを見て、「日本の銀行株価指数が切り上がっていく」のかどうかが、多分今年の前半戦の最大のみどころになると思います。
そして、これが一番大事な「見極めの材料になる」と思います。
切り上がっていくのであれば全面高局面が到来することになるので、そこは「千載一遇のチャンスだ」ということになります。りそな銀行に公的資金を注入したときのような「狼煙が上がった」と判断してもいいと思います。
それが見えるまでが微妙でややこしいのですが、そこはやはり時間分散をはかりながら超優良株を安いところで拾っていくという戦略が、おそらく有効ではないかと思います。
ついでに思い起こしていただきたいのは、日本の金融システム不安の時、銀行株ももちろん下がりましたが、銀行株以外も下がったわけです。そのことで「日本企業の強みが損なわれたのか?」というと、実は全然関係ありませんでした。
当時はトヨタも下がり、キヤノンも下がりましたが、株価が下がっただけで企業の強みが失われることはありませんでした。それを思い起こして、株価にあまり左右されずに「企業の価値を買う」という信念を持ってのぞむべきだろうと思います。
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