米国「3ヵ月は橋がかからない」|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/3/19(水)  
最新・最強・最高クオリティの
Message
第42回目発行!株式・資産形成講座メルマガです。
メルマガをご覧の皆様、こんにちは!
ビジネス・ブレークスルー 株式・資産形成講座事務局の一戸です。
このメルマガでは、皆さんの資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびにプロとして活躍している 一流講師陣の視点から、毎週リアルタイムにお届けしていきます。
あなたの理想とする資産運用、資産形成を実現するためのとっておき情報を、どうぞご覧ください。

本文タイトル
米国「3ヵ月は橋がかからない」

6日午前のニューヨーク為替市場では、ユーロが対ドルで続伸しました。 一時1ユーロ1.5373ドルをつけ最高値を更新、ECB(欧州中央銀行)が政策金利据え置きを決めたことを受け、欧米の金利差に着目したユーロ買いドル売りが優勢となっています。

それでは、まずは図をみていただきたいと思います。


円/ドルで見てみるとそれほど高低差はないように見えますが、ユーロ/ドルで見ると、2000年を越えてから一方的にドルが弱くなってきているのが分かります。

そして今、最高値を更新したわけですから、やはりユーロという共通通貨が非常に安定してきたということだと思います。

基軸通貨のドルが揺らいでいることに関して、世界中には様々な見方があり、私も7~8年前に出したインビジブル・コンチネントという本の中で、これが起こってくるとアトランティックの戦いになると書きました。

アメリカとヨーロッパが激しく戦うようになると、ディスインフォメーションを駆使した情報戦争になり、これは「結構長いトンネルに入っていく可能性がある」ということを書いたのですが、まさに今そういう状況になってきていると思います。

このことを裏付けるかのように、アメリカの金融市場では悲観論が急速に台頭してきています。

ブッシュさんのこれまでの演説や1週間前に言ったことなどを聞いていると、「景気は非常に減速しているもののリセッション(景気後退)ではない」というようなことを言っているのですが、昨日の演説を聞く限りではもう悲壮な演説といった観があり、何を言ってるのか分からないような状態でした。

それに対して、一般の解説者や経済学者は"リセッションと呼べ"とか"アメリカはリセッションに入ったと思え"といったふうに言っています。

特に雇用統計が非常に悪くなって、前月から6万人ぐらい減っているのですが、そのこともあって、やはりこれはリセッションに入ったのだろうと判断しているのでしょう。

また、大半の人が今これをリセッションと呼んだとしても、今年の後半には回復すると思うので構わないというような、ある種の慰めのようなことも言っていました。

では、ブッシュが何を言っていたのかといいますと、実際の彼の演説を聞く限りでは即効性のあることを何もやっておらず、以前言った16兆円をばらまくことについても、よくよくみていくと、1人あたり600ドルがポケットに入るのは実は5月からだということになります。

ですから今、2月から3月にかけて急激に落ちてきている時に、5月までお金が入ってこないことになると、3月・4月・5月はどうなるのか・・・・、というのが現状なのです。

つまり、この3ヶ月は橋もないところを渡っていかなければいけないにもかかわらず、5月から600ドルがポケットに入りますと言っているのですから、今の経済学者達が感じているような"急激にリセッションに入ってきている感覚"とはかなりズレがあるということであり、"間に合わない"わけです。



講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

3月9日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第37回 『「リターン」って何?』

一般にファイナンス理論などの話の中では、常に、リターンとリスクが一緒に出てきて、お互いに不可分の関係にあることを論じます。

しかし、普通の生活の中では「リターンとリスクが不可分である」という風に考えることはなく、「高いリターンがある商品には『何か落とし穴(つまり、リスク)がある』と思う人が多いのです。

これ自体は「生活の知恵」みたいなものであり、間違っているわけではありません。

実際、高リターンであれば、一般に高リスクですし、逆は逆の時が多いものです。とはいえ、この場合の「リスク」は「危険」とか「落とし穴」とかという意味で使われているわけではありません。また、「リターン」という言葉についても、通常考えられている使い方とは違ったものとして捉える必要があります。

一般にファイナンス理論で「リターン」とは「平均的に得ることができる利回り」として捉えることになっています。ここで重要なのは「平均的」という概念です。

つまり、「リターンが高い」ということは、「得ることのできる平均利回りが高い」ということなので、実際に得ることのできる利回りには「高低差」があることになります。

なぜなら、「金融」というモノは「現在から将来にかけて」の事柄を取り扱っているので、現時点で「将来の事柄」というのは「確定していない」からです。

したがって、リターンといっても「将来の事柄」なので、当然、「ある程度の確率によって発生する」ことになります。しかし、その確率分布をすべて表記するのは面倒なので、単に「平均値」で表記しているだけなのです(これが「リターン」です)。

とはいえ、銀行預金のリターンは「確定ではないか?」という疑問もあるでしょう。

これは銀行サイドが、将来において「リターンの変動がない」ということを約束しているのであり、しかも、「1000万円までは預金保険機構により元利金が保証されている」ことから、当該期間において「リターン」が変動する可能性が「ない」と考えられるからであり、一般に「確定」ということができるからです。

つまり、変動する確率が「0」というだけであり、考え方は通常の変動する金融商品の「リターン」と変わらないのです。

以上から、リターンには「常に(平均値からの)変動が存在する」ことが理解できると思います。これが「リスク」という概念なのです(このような「リスク(変動)」が「ない」ものが確定利付きの預金などです)。

このようにリターンは平均値なので、その上下に同じ幅の変動域が存在するはずです。この上(または下)に存在する「変動幅」を「リスク」といいます。

したがって、リターンである「平均値」が高ければ、それだけ、変動域も広がることになります。これを「高リターン・高リスク」といいます。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第42号、いかがでしたでしょうか。

日経平均の下落がどうにも止まりませんね。

知人に短期、長期両軸のスタンスで投資実績をあげている投資家がおり、 月並みながらこの話をしたところ、

「株価がどう動くかなんて、もちろん俺もわからん。 だからこそ短期では自分の相場観(自分なりの売買ルール)が大切やねん。 人の予想に乗って損出したら後悔してもし切れんやろ。

それともう一つ。みんな意外とわかってないと思うことは、 『今が下落相場や』っちゅうこと。 確かに毎日どこかしらの株は上がるけど、全体が下がる相場で短期上昇の 儲けを出そうとする行為は明らかに無理がある。 だから短期売買のテクニックだけじゃなしに、長期運用を真面目に 勉強することも必要なんや。」

とのこと。

基本的な相場動向については、私も失念することが何度もあり(特に 短期で少し儲かった後など)、思わず唸ってしまいました。。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

株式・資産形成講座
一戸

| 配信停止 | お問い合わせ | 個人情報保護方針 |

copyright(C)BUSINESS BREAKTHROUGH Inc. All Rights Reserved.

資産形成について少しでも知識を高めたい方はまずは無料講義体験へ。

  • 無料講義体験
  • 講座申込み