6日午前のニューヨーク為替市場では、ユーロが対ドルで続伸しました。
一時1ユーロ1.5373ドルをつけ最高値を更新、ECB(欧州中央銀行)が政策金利据え置きを決めたことを受け、欧米の金利差に着目したユーロ買いドル売りが優勢となっています。
それでは、まずは図をみていただきたいと思います。
円/ドルで見てみるとそれほど高低差はないように見えますが、ユーロ/ドルで見ると、2000年を越えてから一方的にドルが弱くなってきているのが分かります。
そして今、最高値を更新したわけですから、やはりユーロという共通通貨が非常に安定してきたということだと思います。
基軸通貨のドルが揺らいでいることに関して、世界中には様々な見方があり、私も7~8年前に出したインビジブル・コンチネントという本の中で、これが起こってくるとアトランティックの戦いになると書きました。
アメリカとヨーロッパが激しく戦うようになると、ディスインフォメーションを駆使した情報戦争になり、これは「結構長いトンネルに入っていく可能性がある」ということを書いたのですが、まさに今そういう状況になってきていると思います。
このことを裏付けるかのように、アメリカの金融市場では悲観論が急速に台頭してきています。
ブッシュさんのこれまでの演説や1週間前に言ったことなどを聞いていると、「景気は非常に減速しているもののリセッション(景気後退)ではない」というようなことを言っているのですが、昨日の演説を聞く限りではもう悲壮な演説といった観があり、何を言ってるのか分からないような状態でした。
それに対して、一般の解説者や経済学者は"リセッションと呼べ"とか"アメリカはリセッションに入ったと思え"といったふうに言っています。
特に雇用統計が非常に悪くなって、前月から6万人ぐらい減っているのですが、そのこともあって、やはりこれはリセッションに入ったのだろうと判断しているのでしょう。
また、大半の人が今これをリセッションと呼んだとしても、今年の後半には回復すると思うので構わないというような、ある種の慰めのようなことも言っていました。
では、ブッシュが何を言っていたのかといいますと、実際の彼の演説を聞く限りでは即効性のあることを何もやっておらず、以前言った16兆円をばらまくことについても、よくよくみていくと、1人あたり600ドルがポケットに入るのは実は5月からだということになります。
ですから今、2月から3月にかけて急激に落ちてきている時に、5月までお金が入ってこないことになると、3月・4月・5月はどうなるのか・・・・、というのが現状なのです。
つまり、この3ヶ月は橋もないところを渡っていかなければいけないにもかかわらず、5月から600ドルがポケットに入りますと言っているのですから、今の経済学者達が感じているような"急激にリセッションに入ってきている感覚"とはかなりズレがあるということであり、"間に合わない"わけです。
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