なれるか?対日赤字問題の解消で韓国の偉大な大統領に|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/4/2(水)  
最新・最強・最高クオリティの
Message
第44回目発行!株式・資産形成講座メルマガです。
メルマガをご覧の皆様、こんにちは!
ビジネス・ブレークスルー 株式・資産形成講座事務局の一戸です。
このメルマガでは、皆さんの資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびにプロとして活躍している 一流講師陣の視点から、毎週リアルタイムにお届けしていきます。
あなたの理想とする資産運用、資産形成を実現するためのとっておき情報を、どうぞご覧ください。

本文タイトル
なれるか?対日赤字問題の解消で韓国の偉大な大統領に

韓国政府は10日、対日赤字の縮小策を柱とする行動計画を策定しました。 国内で取り扱う素材や部品の対日依存度を20%に引き下げることを決め、6月末までに包括的な対策をまとめます。 イ・ビョンバク大統領は、慢性的な対日赤字について、訪日を契機に対策を準備しなければならないと指摘し、新政権の重要課題にまで浮上しています。 韓国の2007年の対日貿易赤字は、298億8000万ドル、およそ3兆円で、過去最大となっています。

前にも言いましたように、韓国というのは日本から機械と部品を輸入して、韓国または中国で生産して、アメリカ・ヨーロッパに売っています。

これをパススルー経済といいますが、この経済形態のもとでイ・ビョンバク大統領はどんな秘策があって対日赤字を減らそうとしているのかに非常に興味があります。

それでは、ここで図を見ていただきたいと思います。


これは2000年と2007年の韓国の貿易相手国との貿易額をとったグラフですが、中国に対しての輸出・輸入が爆発的に伸びているのが分かります。

日本に対しても輸入がそれと同じぐらい伸びているのですが、輸出のほうはそれほど伸びていません。

それから韓国からのアメリカに対する輸出もあまり伸びていませんが、これは中国からの輸出のほうにアメリカ向けのものが含まれてしまうためです。

つまり、韓国企業は中国で作ったものがアメリカに輸出されるので、ここのところはそれほど大きくでてきていないということになります。

一番下のサウジアラビアからのものは油の輸入ということになります。

それでは、次の図を見ていただきたいと思います。



こういうグラフを見ると韓国のパススルー経済の実態がはっきり分かるのですが、貿易は総じてまあまあの黒字を保っているものの、今はこれが減る傾向にあります。

一方で対日赤字のほうは遮二無二がんばってみても3兆円あるので、トータルの黒字をこれで相殺してしまうくらい大きいということがいえます。

もっとも、このマイナスは貿易のトータルの中に入ってはいますが、グラフでも示されているようにものすごく大きなものなので、これさえなければ韓国は巨額の外貨が稼げるわけです。

では、韓国がなぜ日本から部品と機械を入れなくてはいけないかというと、韓国企業は基幹部品を作りたくなく、またそのような根気を必要とするようなことをやる会社もないからです。

機械などという七面倒臭いものは作りたくないということですから、こういう韓国の持っている工業のインフラ、それから経営者のオリエンテーションを変えようと思ったら並大抵のことではありません。

つまり、韓国には東京都大田区や東大阪市、浜松市や諏訪といった、モノづくりにものすごい執着心のある中小企業の経営者たちが今までずっといなくて、今日もいないにもかかわらず、「これをどうやって作るのか?」という話なのです。

実際、もっと簡単にお金を儲ける方法は日本から部品と機械を買ってきて中国で売ればよくて、しかも儲からなくなってきたら夜逃げすればすむというようなこのご時世に、果たして大統領1代でもってできるようなことなのかと思うわけです。

それよりも、日本がなぜこういう中小企業や巨大な裾野産業を育てることができたのかという問題に着目すべきでしょう。

表面的に「巨大化させてグローバル化」などといっていますが、韓国の産業に根が無いことには変わりないわけです。

とはいえ、韓国の経済人にはそういう発想がありませんので、ここの部分について本当に問題点をとらまえて反省し、新しい体制を作ったら、これはもう偉大な大統領になるでしょう。

講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

3月16日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第38回 『「リスク」って、「危険」ってこと?!?!』

「リスク」という言葉は「危険」と訳されることが多いのですが、経済学的には、一般に「予想リターンの変動率(ボラティリティ)」を指します。

これが「危険」なのは「当初」見込んでいた「リターン」とは違った値を受け取ってしまう「割合」を示しているからです。

これは「上」にも「下」にも同じ割合ですから、「損」だけでなく、「得」をすることもあります。しかし、「当初考えていた値とは違う」という意味で「リスク」なのです。

したがって、「リスク」が高い(つまり、ハイリスク)ほど、平均リターンよりも「得」をする可能性が高いこと(つまり、ハイリターン)になります(当然、同様に大きな損になることもあります)。

一方、「リスクが低い」という場合には「平均的なリターンの可能性が高い」ことですから「リターンが低い」という意味ではないことに注意が必要です(とはいえ、一般的には「平均的なリターンが低い場合」には、その「変動幅(リスク)」も低いので「ローリスクローリターン」ということにはなりますが・・・)。

この「リスク」というモノには「確率的に算出できるモノ」と「そうでないモノ」があります。

金融工学的には「確率的に算出できる」というモノのみを取り扱うことになります。「そうでないモノ」については「ゲーム理論」を使ったり、「行動ファイナンス」の分野で取り扱っていますが、科学的には証明されていない部分が多々あります。

他方、この「リスク=危険」という言葉と混同しやすい概念として「ハザード=障害」があります。

「モラルハザード」や「金融リテラシーのなさ」、「金融制度的な国際的な違い」などは証券投資上「ハザード」と考えるべきでしょう。

このような「ハザード」は、常に存在し、投資家にとっては「危険」ですが、「リスク」とは違う概念です。したがって、この「ハザード」を取り除いても「リスク」に変化は起こりません。

なお、「金融」において忘れてはいけないことは、金融取引とは「異時点間取引である」ということです。現在と将来を結んでいるのが「金融取引」なのであり、「現在」は明確だけれども、「将来」は誰にとっても「不確実」であるということが重要です。

この「不確実」なものを、何らかの(合理的な)方法により、「明確に近づける」作業が「理論」であり、その「理論」に基づいて「リスク」を低減化させる方法が「ポートフォリオ(分散)」だったりするわけです。

ただし、ここでも「合理的」だから「正しい」とは限らないので、何を(合理的と考え)選択するかは各自で考えることになり、そこに「自己責任」が生まれます。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第44号、いかがでしたでしょうか。

この間仕事で深夜帰宅する際タクシーを使ったらその運転手さんが、週末バドミントンで自分の練習相手をしてくださっている方でビックリ!こんなこともあるんだなーと思いつつ、車中では最近取り付けたというカーナビの話になりました。

カーナビの設置は任意なのかと尋ねると、今は全車に取り付けられており、タクシー会社はGPS監視で勤務状況の確認や休憩時間の管理(決まった時間を越えて一所に停車し続けていないか)をするのだそうです。

昔はそれをチェックするための監視車を巡回させていたらしいのですが、今はその必要も無くなった上にチェックも厳しくなったとおっしゃっていました。

効率化は良い事ですし、助手席に監視員が乗っているわけでもありませんが、GPSとはいえ四六時中監視されるのは、正直私はあまり落ち着きません。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

株式・資産形成講座
一戸

| 配信停止 | お問い合わせ | 個人情報保護方針 |

copyright(C)BUSINESS BREAKTHROUGH Inc. All Rights Reserved.

資産形成について少しでも知識を高めたい方はまずは無料講義体験へ。

  • 無料講義体験
  • 講座申込み