日銀短観でみる!長期のトレンド|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/5/7(水)  
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日銀短観でみる!長期のトレンド

日経平均株価と日銀短観指数の相関関係の歴史から、現在のトレンドを読み解く方法とは?

それでは、まずは図を見ていただきたいと思います。


これは業況判断DIといって、今見ていただいているのが大企業のもので、右上にありますように製造業と非製造業というふうに分かれています。

1983年からずっと出ている業況判断DIのポイントは何かといいますと、ちょっと歴史の勉強になりますが、バブル絶頂期の88年とか89年当時の日銀の短観を見てみると50以上で、一時は60近くまでありました。

となるとこれはバブルとは言いながらも、私としてはやはり「バブルだから」という理由だけで否定するのはよくないと思うわけです。

もちろん失敗から学ばないといけないので、バブル自体を奨励するわけにはいきませんが、指標的にもよかったということからも、実態として何かがあったからこそあそこまでいったのだと思います。

今の水準はグラフ右側の中段あたりで、実数値は確か8とかだったと思いますが、ここからまた後ろにさかのぼって今現在がどういう水準にあるのかを見てみると、1番直近で突き当たるのは2002年~03年の水準になります。

その2003年~04年は、株価が7600円の安値をつけたあとに、1万1000円~2000円のところでずっと揉み合っていたという時代で、今年の3月の安値が1万1691円ですので、まさしくこの水準まで一旦落ちた株価が戻していると考えられるのではないかということです。

ですが、この株価は今戻してはいるものの、これがもし落ち込むようなことになると、もう1回下落がくる可能性があるかも知れませんので、注意して日銀短観を見ておく必要があるでしょう。

それからもう1つのポイントについては、次の図を見て説明させていただきたいと思います。


こちらは中小企業の業況判断DIですけれども、製造業・非製造業ともに先ほどのグラフと同じように2002年~03年と同じぐらいの水準になっています。

やはり株価というのは景気やいろいろなものが織り込まれて作られていて、指数などは割と顕著にその側面が出ているということなのだと思います。

それでは、さらに別の図を見ていただきたいと思います。



このグラフを見る時のちょっとしたヒントなのですが、今は特に利益を稼いでいるのはグローバル企業が多いですから、内需型というよりもグローバルな大企業の製造業をピックアップしてあります。

順番に説明していきますと、グラフ右上にありますように赤い折れ線が実際の製造業の数値で、青色のグラフは製造業との差分になりますが、差分が分かるのは日銀短観の予測値がでているからです。

その予測値と実績値との乖離が「0」の状態を基準にしてはかった時に、0よりも下に行くとマイナス乖離、上に上がるとプラス乖離ということになり、それぞれ下方修正・上方修正されたということになります。

ここで見ていただきたいのは、バブル期の87年~89年のところで、実際に短観の数値は上がっていて、青色のグラフの盛り上がりも異常に大きくなっています。

これは予想よりもはるかに良かったためで、この上方修正があったからこそ、株価にもマインド的にも大きく影響して上昇していったということだと思います。

一方で89年・90年・91年を見てみると青色のグラフが逆転して、下方修正が目立つようになりました。その結果、株価は1992年~93年に数度にわたって大きく落ちていくことになり、ようやく2003年あたりぐらいから、少しずつ上向きがでてきて「底入れをした」ということになります。

さらに、2000年の4月のITバブルの時も、短観を見てみるとやはり上方修正になっています。

ITバブルでは、2000年の1月から4月の間にそれぞれ個別銘柄が高値をつけ、その時にもやはり上方修正になっていますが、今現在、直近があまりよくないのは下方修正だからです。

そして実は、次回の予測が出ているのですが、もし仮に実績値が下向きになったとしても、差分を表す線が上向きに出るような状況になれば、マインドはよくなっているとも考えられるので、プラスの解釈に変わるかも知れません。

同じようなケースで顕著なのは2004年あたりで、実績値が下向きになっているにもかかわらず数度上方修正されていて、その後一旦マイナスになってから再び上向きに変わっています。

ですので、今回の短観ではこのグラフのような結果になっていて、政府の月例経済報告などを見てもちょっと下方修正されてはいるものの、中身的には本当にどちらにいくのか分からない分岐点にあるといえます。

難しい局面ではありますが、もしこういった最悪期を脱するような形になれば株価的にも上向いてくる可能性があると思いますので、ぜひこのような判断材料も注視して長期のトレンドをつかんでいっていただきたいと思います。

講師紹介
大前研一
株式会社インベストラスト 
代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之

4月17日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第43回 『前期基準のPERと予想PERって、何?!?!』

日経新聞の株式欄にはPERとして2つの値が表記されています。前期基準(15.73)と予想(16.35)です(括弧内の値は4/30の225種のもの)。

何故、2つ出すのでしょうか?

新聞も営利企業ですから、必要ないものは載せないものです。ということは何か役に立つのでしょうね?!?!

一般にPERとは「株価/当期純利益(1株当たり)」で算出されます。また、株価は将来を予想するものですから、PERの分母は「予想値」を使うのが一般的です。

したがって、「予想PER」は必要のように思いますが、「前期基準」って、必要ないように感じます。

ところが、日経225種のPERというのは、「前期基準」も「予想」も分子は当日の日経平均の終値になっています。つまり、「本日の日経225/前期基準の利益」と「本日の日経225/予想の利益」ということになります。

このことから予想のほうが前期基準よりも数値が高いということ(現在の状態)は、予想利益のほうが低いことを意味します。ということは、将来の企業業績は悪くなると市場が予想していることになります(逆は逆)。

* 前期基準PER<予想PER ⇔ 前期基準の利益>予想の利益

つまり、市場は将来の企業業績が悪化すると予想しているのであり、前期基準からどの程度"悪化"を予想しているかがわかることになります。

このように「本日の新聞」だけでも、将来の企業業績についてのコンセンサスがわかるので、前期基準と予想を併記していると言えます。

しかし、これだけでは「悪いと思っているんだ」ってことしかわかりません。ところが新聞は毎日発行されているので、この数字は毎日出ていることになります。

そこで「新聞の活用」ですが、この2つの値を毎日つけてみるのです。そうすると「差」を求めることができます。どちらからどちらを引いてもいいのですが、一応、わかりやすく、予想から前期基準を引いたとします。4/30なら「0.62(=16.35マイナス15.73)」になります。

この値は「単独」ではあまり意味はありません(上述ように「悪いんだぁ~」ということしかわかりません)。

この値が"日を追うごとに"プラス方向にだんだんと大きくなってきたとします。その場合、予想PERが大きくなっていることを意味するので、市場は企業業績をだんだんと悪くなってくると予想していると考えることができます(逆にこの値が小さくなっていく、または、マイナス方向に絶対値が大きくなっていくという場合には、企業業績が良くなると予想していることになります)。

つまり、「先行き悪化」を意味するので、相場付きも悪くなると考えられます(逆は逆です)。

「先行きがよくわからない」という時には、最近の古い新聞を引っ張り出してみて、時系列に眺めてみるというだけでも「市場がどう見ているのか」を理解することができるものです。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第49号、いかがでしたでしょうか。

サンクコスト(埋没費用)ってご存知ですか?

例えば6万円で買ったDVDプレーヤーを修理に出して修理代3万円を払った後、少ししてからまた別の部分が壊れ、その修理代見積りが2万円だったとします。

この時ユーザは「新品買おうかな?でもこの間3万円も払って修理したから、もう2万円払って再修理してもらおうかな」と迷います。

この最初に払った3万円をサンクコストといい、この金額が大きければ大きいほど、人はその後の意志決定(新品購入か修理か)を迷います。

これは株の損切りと非常に似ています。

購入直後に株価が下がることは日常茶飯事ですが、その初期損が大きい程、その人は損切り売りが決断できなくなるということです。

これを回避するためには「予め損切りをしっかり設定する」「中・長期保有を前提に信用できる企業の株のみを購入してじっくり持つ」ことが大事ですね。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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