またも日銀"利上げ見送り"富も見送り|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/5/14(水)  
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またも日銀"利上げ見送り"富も見送り

日銀が利上げを目指してきたこれまでの政策を転換する見通しです。

これは原材料高などの影響で企業収益が悪化しており、利上げは 当面難しいとの意見が日銀内で大勢を占めていることを受けたものです。

またニュージーランド準備銀行は24日、政策金利を8.25%のまま 据え置くと発表しました。


日銀は今の金利を上昇させるべきなのですが、 その理由について図を見て説明させていただきたいと思います。


このグラフを見て分かるように、今最後に出てきたニュージーランドの 政策金利は8.25%で、日本は0.5%です。

今の104円を円高と言う人もいますが、どんどん為替が高くなっている 状況ではありませんので、たとえばニュージーランドや豪州に預けると 6%以上の金利差で運用できます。

つまり低い金利でやっていると日本に存在しているお金が 富を生まないわけで、このような状況から脱却すべきなのです。

今は日本も世界の他の国と同じように、 食料や油の高騰からくるインフレの懸念があります。

従って原料高という側面からも、インフレを抑えるために やはり金利を上げていかないといけないわけなのです。

また日本の場合には非常に多くの個人金融資産があり、金利が高いほど 活性化するにもかかわらず、金融不安が世界の他のところにあるという理由だけで 政策をギブアップしてしまうこと自体に政治的な匂いがします。

白川さんが選ばれた1つの理由というのは日銀マンとしての 見識なのでしょうけども、それが早くも通じなくなっているということです。

先ほどの図を見ていただければ分かるように、 アメリカとカナダの金利が低くなったとはいえ、 まだ日本との正味の差はそれぞれ1.75%と2.5%もあります。

だから逆に言うと、高い金利のところでお金を運用するのが 常識であるにもかかわらず、日本人がなぜ円ベースでもって お金を運用してるのかというのが世界の7不思議でもあるわけです。

日本人自身がそういう形で日本のお金を円キャリーするようになれば 金利を上げざるを得ないことになるのですが、とにかく日銀がこういう 方針転換をしたのは極めて残念なことです。

講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

4月20日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第44回 『「株式益回り」って、何?!?!』

日経新聞にはいろいろな指標が載っています。その中にはあまり聞きなれない(って、新聞だから「見慣れない」?!?!)用語も多いのですが、その一つに「株式益回り」というものがあります(5/8現在5.87%・・・全銘柄予想値)。

「益回り」という言葉自体が目新しいのですが、まぁ、「利回り」と同じと考えていいでしょう(実際、「株式益利回り」という表現もあります)。

「利回り」という考え方は「支出した金額に対して『どれだけ』見返りがあるのか」と考えるとわかりやすいかもしれません(あまり、厳密ではありませんが・・・)。この場合、通常は「年」で考えるときが多いので、ここでも年利に換算したものとして考えます。

例えば、100万円で年間2万円の見返りがある場合、「2%の利回り」ということになります。

同様に「株式益利回り」の場合にも、現在の株価で購入した場合に、どれだけの「利益」があるかを求めることになります。つまり、分子に「現在の株価」、分母に「1株当たり(当期純)利益」という計算になります(「×100」で「%」表示になります)。

したがって、株価収益率(PER)の逆数になっていることがわかります。

PERの逆数なので、敢えて「株式益利回り」を特別に計算しなくても良いのですが、これが日経新聞の指標欄に載せているということは、これを使っている人が"いる"ということです(もし、使う人が少ないなら、そもそも「PER」の欄があるので、「株式益回り」のような欄を設けることはないはずですから・・・)。

では、「これで何を見ているのか?」というのが気になります。ただ実は、この指標自体は「単独」でも使えます。つまり、株式益利回りが「5%」だった場合、当該企業は現在の株価からみて「5%」の業績(ここでは来期の1株当たり当期純利益)が見込まれていることになります。この「5%」ですが、「凄いリターンだなぁ~」と思う人がいれば、現在の株価で購入すれば良いということになります。

しかし、日経新聞に載っているのは「全銘柄」の平均値なので、特定の銘柄を「買う」ということではなさそうです。では、「どのように考えるのか?」ということですが、「全銘柄」ということなので、「株式を買う」と平均すれば、5/8の場合、「5.87%のリターン(この場合、キャピタルゲインなどではなく、企業の業績(当期純利益)をリターンと考えています)」があることを意味しています。

ということは、この5.87%が「高い/低い」について検討しなければなりませんが、そのためには比較となる対象が必要です。その対象として一般に用いられるのが「新発10年国債の利回り(5/8現在1.66%)」です。

「新発10年債利回り」と「株式益利回り」との「差」を「イールドスプレッド」といいますが、この格差を時系列でみていくと、「拡大したり/縮小したり」します。

ここで「利回り」または「益回り」が高くなる(低くなる)というのは、主に分母の債券価格または株価が低下(高騰)する時に起こる現象です。

したがって、一般にイールドスプレッド(「債券利回りマイナス益利回り」とした場合)の値が徐々に大きくなる時には、「債券利回りが高くなってきたか/株式益利回りが低くなってきたか」のどちらか(または両方)になるので、これは「債券価格が下がりつつある」、または/かつ、「株価が上がりつつある」ことになります。

つまり、株式の人気が高まってきていると判断できます(逆は逆)。

以上から、株式益利回りというのは「株式に人気が高まっているのか」、または/かつ、「債券に人気が高まっているのか」を判断する材料となる指標だということがわかります。

このように日経新聞には、多くの投資家がみている指標が多く書かれているのです。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第50号、いかがでしたでしょうか。

ゴールデンウィーク中に何冊か資産運用関連の本を読んだのですが、その中の一冊にこんな内容が書かれていました。

「資産運用に限ったことではありませんが、とにかくジャンルを超えてたくさんの本を読みましょう。一つのことを深く知ることも大切ですが、単に色々な言葉を知っているか否かだけで周囲と差がつくことも結構あります。」

せっかく縁あって読んだ本だからと思い、それを鵜呑みにして読書漬けの日々が続いていますが、これが結構的を得ていると感じます。

最近は特に日本人の活字離れも進んでいるようですし、統計資料では一世帯がひと月に使う書籍代はわずか700~800円程度という結果も出ており、ここにも日本の学力低下の一要因があるように思います。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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