シティグループがむかえる相当な修羅場|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/5/21(水)  
最新・最強・最高クオリティの
Message
第51回目発行!株式・資産形成講座メルマガです。
メルマガをご覧の皆様、こんにちは!
ビジネス・ブレークスルー 株式・資産形成講座事務局の一戸です。
このメルマガでは、皆さんの資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびにプロとして活躍している 一流講師陣の視点から、毎週リアルタイムにお届けしていきます。
あなたの理想とする資産運用、資産形成を実現するためのとっておき情報を、どうぞご覧ください。

本文タイトル
シティグループがむかえる相当な修羅場

シティグループは9日、非中核事業の資産のうちおよそ8割にあたる4000億ドル、およそ41兆2000億円分を、今後3年以内に売却すると発表しました。

個人向け融資やクレジットカード事業など中核事業に集中し、早急な経営改善を目指す考えです。


私は新しいCEOのビクラム・パンディットの能力をとても信用・信頼しているのですが、200兆円を超える全資産のうちの20%、40兆円を売却する、なんてことを言ってしまって「いいのかな」と思ってしまいます。

「売却する」と言ってしまうと、もうあとは買い叩かれて足元を見られるので、そうなると、「今現在の帳簿上の値段」と「実際に売った時の値段」との間で差損がでてきます。

常識的に考えると40兆円で売れるわけがないので、25%まで縮まってしまうと10兆円になってしまいます。そこまでいかないとしても半値でしか売れないとなると20兆です。

つまりシティバンクにとっては、これから恐ろしいぐらいの計上ロスにつながってくるというニュースなのです。

そうなってくると、日本でも消費者金融を売るとか言っていますが、そのくらいで終わるとは思えず、シティバンクそのものが存在できるのか否かという感じになってきます。

40兆の売り物自体、それは「良くないものを売る」と言っているのですから、どう考えても、これにプレミアムがついて売れるとは思いませんし、みんなも(買うなら)できるだけ「安く買いたい」と思うはずですから、そうすると25%ロスで10兆円といっても不思議ではありません。

今までに何兆円か処分してきていますが、さらにこの上「10兆円」、「20兆円」とロスが出てくることを考えると、これはシティバンクの存続そのものが脅かされるという領域に入ってしまっていることを、自ら告白したようなものでしょう。

従ってこの後、いわゆるユニバーサルバンクを維持しながら「個人向け金融に集中する」と言っていますが、もはや"アーメン"としか言いようがないくらいの大きさになっているということが分かったわけで、これはとてもシリアスな問題です。

それは次の図を見ていただければ分かると思います。


今回の5000億ドルの内訳を見ても、とてもいい値段で売れるとは思えないものばかりなので、やはり相当な修羅場になると思います。

講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

5月11日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第45回 『「原油高」だけが物価を上げているの?』

最近、いろいろなモノが値上がりをしています。その大半は原油高に関係するものですが、先日発表のあったGDP統計をみると消費も伸びているので、景気上昇に伴う部分もあるように思われます(とはいえ、設備投資は減少しているので、企業は景気の先行きに対して懐疑的とみているようです)。

「景気が良くなる」というのは、取引量が増加している状態なので、モノの回転も速くなります。モノは最終的に消費されるので、回転が速くなるということは、それだけ生産量も増加するため、企業サイドの売上が増加することになります。

とはいえ、企業が一時期に生み出すことができるモノの量には、一定の限界があるので、キャパシティを超えた生産はできません。そのため、モノが不足する中、需要が増加することになり、モノの値段(つまり、物価)が上がることになります。

モノが値上がりすれば、「買いたい」と思う気持ちが減退するので、現在ある供給量に落ち着くことになります(アダム・スミスの「見えざる手」の原理です)。

これが景気上昇期の物価高に対応します。

しかし、企業としては「売れる」なら売りたいわけであり、需要に見合うように生産規模を増強しようと考えるはずです。ここで生産規模が拡大すれば、需要に見合う供給が可能であり、物価は収束するように思います。

けれども、生産規模を拡大すれば、当然、現在の労働力では不足するので、企業は雇用を増やすなどの行動に出ます。この場合、各企業が一斉に労働力を需要するので、労働市場は逼迫し、賃金が上昇することになります。

賃金が上昇すれば、それだけ家計所得が増加することになります。

一般に家計所得の増加は消費を増加させるので、モノへの需要が高まることになり、物価を押し上げることになります。

現状、労働市場の逼迫は話題になっていないので、賃金の上昇にはなっていないようですが、今回のGDPでは家計消費に底堅さがみえることから、労働市場の状態には注意が必要だと思います。

特に、コモディティ(原油、金など)の値上がりが急速なので、産業の川上(原材料部門)のコスト高は危機的な状態にあり、川下(最終需要サイドである一般小売)の値上がりも当面続くものと思われます。

そのような中で実需が増加すれば、物価は急速に高まる可能性もあるので、現状の経済は非常に危険な状態にあるとも考えられます。

したがって、実際には「金利引き上げ」は難しいのですが、本来の金融政策としては「利上げ」が本筋なので、そのような眼で経済を考察する必要があると思います。

しかし現状、労働者の賃金を増加させないで、企業の内部留保や配当の増加に回す傾向が高まっています。配当の増加は株主の所得になるので、(株式を)持つ者と持たざる者との間に格差が生じ、二極化が加速するという見方があります。

この場合には、「労働者の賃金が抑えられている」という意味で、物価の加速度的な上昇は起きない可能性もあります。



講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第51号、いかがでしたでしょうか。

先週、AXA生命さんの御厚意で「日本人の退職に関する意識調査」をテーマにした講義を収録させていただきました。

中でも最も興味深かったのが「退職後の準備を何歳から始めましたか」という質問で、3年前は平均52歳だったものが、昨年は平均31歳と急激に若くなっているということでした。

実はこの31歳という数字は海外主要各国では割と平均的なものなのですが、とはいえ日本人もようやく資産形成についての意識が高まってきたことを意味しています。

ただ一方で、退職後収入の把握や退職後の活動計画については半数以上が「未定」というデータも出ており、漠然とした危機意識はあるもののそれに備えて具体的な計画・行動を起こすまでには至っていないという現状が伺えます。

行動しようがしまいが、時間だけは刻々と過ぎていってしまいます。

縁あってグローバルマネー・ジャーナル読者になってくださった皆さんには、少しずつでも今から正しい知識をもって行動に移す、また既に余生のライフプランを描かれている方も定期的にそれを見直すクセをぜひつけて欲しいと思います。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

株式・資産形成講座
一戸

| 配信停止 | お問い合わせ | 個人情報保護方針 |

copyright(C)BUSINESS BREAKTHROUGH Inc. All Rights Reserved.

資産形成について少しでも知識を高めたい方はまずは無料講義体験へ。

  • 無料講義体験
  • 講座申込み