トウモロコシと大豆からシミュレーションする商品市場|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/7/9(水)  
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トウモロコシと大豆からシミュレーションする商品市場

3月末の作付意向面積ではトウモロコシの作付が減少し、大豆の作付が増加

去る3月31日、USDA(米国農務省)がトウモロコシや大豆の作付意向面積を発表しました。 前回(3月27日)、私は「農家にとって収入が多いトウモロコシの作付面積が増え、大豆は意外と増えないだろう」と予測しました。しかし実際には、(私の予想に反して)「トウモロコシの作付面積が減り、大豆が増えた」という結果になりました。



この原因は、米国で肥料価格が65%も値上がりしたからです。 原油価格の高騰により、全世界的に肥料が非常に値上がりしています。 そしてトウモロコシは、大豆よりも肥料がたくさん必要です。だから米国の農民は、トウモロコシの作付を減らして、大豆の作付を増やす意向のようです。


●「作付・発芽の遅れ、集中豪雨」の影響でトウモロコシ価格は史上最高値を更新中!

3月のUSDA発表の後、「作付の遅れ」「発芽の遅れ」「集中豪雨による大洪水」という3つの問題が、トウモロコシの価格に大きな影響を与えています。

まず1番目の問題が、「トウモロコシの作付の遅れ」です。3月下旬から4月中旬のいわゆる作付け時期において、米国中西部の穀倉地帯に雪混じりの雨がたくさん降り、農作業が大幅に遅れました。


4月末時点の作付の進捗度を見てみると、5年平均では35%なのに対して、今年はわずか10%程度と非常に遅れていたのです。


ただし6月1日頃には、作付進捗度が全体の95%と、昨年同時期の99%に近い数値まで回復しています。作付が遅れたこと事態はそれ程の問題ではありませんが、作付けの遅れが生育段階の時期を例年より約一ヶ月ずらしていることが大きな問題です。

それは、トウモロコシや大豆の発芽の遅れとなって現れています

発芽した後に開花となり、そして開花した時に受粉が行われます。その時期が通常では、7月4日の米国独立記念日の前後です。しかし今年は作付が遅れたことにより、受粉が7月末ごろにずれ込んでいます。そのため、一年で最も暑い時期に受粉期を迎えることになります。今後の天候しだいですが、仮に7月末がHOT&DRYであると、受粉しなくなる可能性があります。つまり、作付けしたが、少ししか実がならない年になってしまいます。

2番目の問題が、「集中豪雨による大洪水」です。 6月に入り、大豆やトウモロコシの産地である米国中西部に集中豪雨が降り続き、広い範囲で大洪水が起こり、ミシシッピ川は30箇所にわたり堤防が決壊し、約330万エーカーの農地(全耕地面積の約2.1%)が水浸しになりました。

今年はただでさえトウモロコシや大豆の在庫が少ないと予想されています。6月10日の農務省の発表では、在庫率はトウモロコシが5.4%、大豆が5.7%と過去の例でも最も少ない在庫となっています。その数字は、この洪水の影響を含んでいません。今後被害の程度が明らかになると思われますが、おそらくトウモロコシや大豆の単収が減少し、作付け面積も少なくなるため、史上始まって以来の不作となる見通しが濃厚になってきました。

あまりに高くなったトウモロコシと大豆の価格は一旦調整局面があるかもしれません。 しかし、今年の収穫は非常に悪いと予想されるので、まだまだ上昇の余地は大きいと思われます。

もし3月にトウモロコシを買っていればどうなっていたでしょうか?


3月27日には、「3万5000円、555セント」だったトウモロコシ価格が、6月20日時点には「4万8210円、738セント」になっています。 もし東京証券取引所で、6万円の証拠金で1枚買っていれば、利益は1万3210円。50倍なので6万円で66万500円、3カ月で71万500円になっていたことでしょう。


■金と原油価格はどうなるか?

商品価格が上昇している主な原因は、サブプライムローン問題 ⇒ 米国株価下落 ⇒ ドル安 ⇒ 投資資金の株・ドル資産離れ ⇒ 商品買い という動きです。
これが今後も未だ続くかどうかというのが、将来の商品価格の予測となります。金については、インフレヘッジという根強い需要がありますが、原油はそろそろ頭打ちと思います。原油価格はこの4年間上昇して来ましたがその割には生産が増えておらず、需要が増大しているというのが、価格高騰の要因でしたが、余りに高くなりすぎて需要の減退が見られ始めています。また、世界中で原油高騰によるインフレが人々を苦しめ、政治家は投機が原因だとその規制を叫び始めています。こうした流れにファンド等の買いは抑制されると思われます。

講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学 株式・資産形成講座講師
株式会社フィスコ コモディティー代表取締役社長
近藤 雅世

6月26日放送
「金融リアルタイムライブ」よりトピックを抜粋し、構成したものです
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第52回 『世界通貨としてのドルと米国経済』

米国経済は昨年8月からのサブプライム問題の表面化により、住宅関係の需要が減退する中、銀行システムも混乱したことから、急速な景気減速となりました、

それを受けて米国では金融緩和を行い、国内の景気底入れと銀行システムに対する流動性確保に取り組みました。すばやい対応ではありましたが、サブプライム問題の根は想像以上に深い状態であったことから、金融市場の混乱は収まらず、現在も解決していない状態です。さらに、「住宅」という幅広い需要を支えている業界の問題であるだけに、経済そのものの痛手も非常に大きく、景気の底を確認できていないというのが現状です。

しかし、このような景気減速の中にあっても、原油が高騰し、将に「手のつけられない状態」になっています(いわゆる「スタグフレーション」)。この原油の高騰を抑えるには、原油先物市場に流れ込む、いわゆる「ホームレスマネー」を減少させる必要があります。

ところで、そもそも「ホームレスマネー」はどのような資金なのでしょうか?

それは、現在のようなグローバルな市場が形成される中で発生した「帰る場所が特定されていない」または「帰る必要がない」というような資金を指します。このような資金は、設備投資や住宅投資などの実物投資に必要な資金ではなく、金融市場に流れ込み「利」を求めて世界中を動き回る資金を指します。

このように実物経済からいえば「余剰」といえる資金は、国内的には「物価の上昇」を招くため、本来、市中銀行を通じて中央銀行が吸収することにより解消するはずです。

ところが、現在、米国の金融緩和によって市中銀行に大量の流動性(つまり、「おカネ」)が供給されているので、金融市場に流れ込む資金は吸収されることなく、逆に、グローバルな金融市場に大量に流れ込んでいる状態にあります

とはいえ、このような資金が大量に市場に放出されても、世界経済に影響を与えることはないはずです。なぜなら、現在のような管理通貨制度の下では、通貨量の増加は為替レートを通じて調整されるため、世界中で必要になる流通するおカネの量は一定になるはずだからです。

ところが、「ドル」は世界で通用する通貨なので、事はそれほど簡単ではありません。

というのは、世界中で通用する通貨であるドルは、金融市場でも中心的な存在になり、価格尺度機能を持つことになります。したがって、金融市場に流れ込むドルが増加すればするほど、モノの値段(つまり、物価)は上昇することになります。

これは各国通貨がドルに対して上昇しても、モノの価値を決めている通貨がドルである限り、世界的な物価上昇は止まらないことになります。

ここで「ドルの減価」によって物価が上昇している場合、それを上回る各国通貨価値の増価があれば、国内的な物価上昇を食い止めることが可能です。しかし、ドルの継続的な減価は「世界通貨としての地位」を失うことになるため、米国は絶対に阻止したいと考えるはずであり、実際に「ドル防衛」のために各国で協調することを、前回のG7で各国通貨当局に取り付けました(おそらく、洞爺湖サミットでも確認するでしょう)。

以上より、現在の米国金融緩和を続ける限り、しかも、それによる「ドル安を阻止」する限り、世界的な物価、特に「原油高」は続くことになると思われます。

この動きは、例え、ECBや日本銀行が金融引締政策を実施しても、「強いドル」に加担する以上、世界的な物価高を収束することはできないと考えています。



講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第58号、いかがでしたでしょうか。

次世代燃料としてバイオエタノールが注目されています。

原料が植物なので車が排出するCO2は巡り巡って同じ分だけその植物が光合成の過程で吸収し、地球環境に優しいという理屈だそうですが、生成時に工場で排出されるCO2は度外視しているらしく、環境悪化を食い止めることは現実的には難しいと言われています。

またトウモロコシは貧困国で重要な配給主食となっているにも関らず、上記を理由に高騰しているのが現状です。

こうした話まで出てくると、私達先進国のやっていることは本当に正しいことなのか、思わず自問自答したくなってしまいます。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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