3月末の作付意向面積ではトウモロコシの作付が減少し、大豆の作付が増加
去る3月31日、USDA(米国農務省)がトウモロコシや大豆の作付意向面積を発表しました。
前回(3月27日)、私は「農家にとって収入が多いトウモロコシの作付面積が増え、大豆は意外と増えないだろう」と予測しました。しかし実際には、(私の予想に反して)「トウモロコシの作付面積が減り、大豆が増えた」という結果になりました。
この原因は、米国で肥料価格が65%も値上がりしたからです。
原油価格の高騰により、全世界的に肥料が非常に値上がりしています。
そしてトウモロコシは、大豆よりも肥料がたくさん必要です。だから米国の農民は、トウモロコシの作付を減らして、大豆の作付を増やす意向のようです。
●「作付・発芽の遅れ、集中豪雨」の影響でトウモロコシ価格は史上最高値を更新中!
3月のUSDA発表の後、「作付の遅れ」「発芽の遅れ」「集中豪雨による大洪水」という3つの問題が、トウモロコシの価格に大きな影響を与えています。
まず1番目の問題が、「トウモロコシの作付の遅れ」です。3月下旬から4月中旬のいわゆる作付け時期において、米国中西部の穀倉地帯に雪混じりの雨がたくさん降り、農作業が大幅に遅れました。
4月末時点の作付の進捗度を見てみると、5年平均では35%なのに対して、今年はわずか10%程度と非常に遅れていたのです。
ただし6月1日頃には、作付進捗度が全体の95%と、昨年同時期の99%に近い数値まで回復しています。作付が遅れたこと事態はそれ程の問題ではありませんが、作付けの遅れが生育段階の時期を例年より約一ヶ月ずらしていることが大きな問題です。
それは、トウモロコシや大豆の発芽の遅れとなって現れています
発芽した後に開花となり、そして開花した時に受粉が行われます。その時期が通常では、7月4日の米国独立記念日の前後です。しかし今年は作付が遅れたことにより、受粉が7月末ごろにずれ込んでいます。そのため、一年で最も暑い時期に受粉期を迎えることになります。今後の天候しだいですが、仮に7月末がHOT&DRYであると、受粉しなくなる可能性があります。つまり、作付けしたが、少ししか実がならない年になってしまいます。
2番目の問題が、「集中豪雨による大洪水」です。
6月に入り、大豆やトウモロコシの産地である米国中西部に集中豪雨が降り続き、広い範囲で大洪水が起こり、ミシシッピ川は30箇所にわたり堤防が決壊し、約330万エーカーの農地(全耕地面積の約2.1%)が水浸しになりました。
今年はただでさえトウモロコシや大豆の在庫が少ないと予想されています。6月10日の農務省の発表では、在庫率はトウモロコシが5.4%、大豆が5.7%と過去の例でも最も少ない在庫となっています。その数字は、この洪水の影響を含んでいません。今後被害の程度が明らかになると思われますが、おそらくトウモロコシや大豆の単収が減少し、作付け面積も少なくなるため、史上始まって以来の不作となる見通しが濃厚になってきました。
あまりに高くなったトウモロコシと大豆の価格は一旦調整局面があるかもしれません。
しかし、今年の収穫は非常に悪いと予想されるので、まだまだ上昇の余地は大きいと思われます。
もし3月にトウモロコシを買っていればどうなっていたでしょうか?
3月27日には、「3万5000円、555セント」だったトウモロコシ価格が、6月20日時点には「4万8210円、738セント」になっています。
もし東京証券取引所で、6万円の証拠金で1枚買っていれば、利益は1万3210円。50倍なので6万円で66万500円、3カ月で71万500円になっていたことでしょう。
■金と原油価格はどうなるか?
商品価格が上昇している主な原因は、サブプライムローン問題 ⇒ 米国株価下落 ⇒ ドル安 ⇒ 投資資金の株・ドル資産離れ ⇒ 商品買い
という動きです。
これが今後も未だ続くかどうかというのが、将来の商品価格の予測となります。金については、インフレヘッジという根強い需要がありますが、原油はそろそろ頭打ちと思います。原油価格はこの4年間上昇して来ましたがその割には生産が増えておらず、需要が増大しているというのが、価格高騰の要因でしたが、余りに高くなりすぎて需要の減退が見られ始めています。また、世界中で原油高騰によるインフレが人々を苦しめ、政治家は投機が原因だとその規制を叫び始めています。こうした流れにファンド等の買いは抑制されると思われます。
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