世界の主要20市場から見えた、株式市場の「総崩れ」|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/9/17(水)  
最新・最強・最高クオリティの
Message
第67回目発行!株式・資産形成講座メルマガです。
メルマガをご覧の皆様、こんにちは!
ビジネス・ブレークスルー 株式・資産形成講座事務局の一戸です。
このメルマガでは、皆さんの資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびにプロとして活躍している 一流講師陣の視点から、毎週リアルタイムにお届けしていきます。
あなたの理想とする資産運用、資産形成を実現するためのとっておき情報を、どうぞご覧ください。

本文タイトル
世界の主要20市場から見えた、株式市場の「総崩れ」

中国もBRICsも、「総崩れ」の様相

世界の株式市場に流れ込む投資マネーが急速に細っています。株式時価総額が大きい主要20市場すべてにおいて、8月末の株価指数が昨年末に比べて下落しました。資源高を背景に堅調だった新興国の株価も下落しています。世界的な景気減速への警戒感が高まり、リスク資産である株式や商品から資金を引き揚げる動きが鮮明になってきたと言えるでしょう。

今、世界の株式市場はまさに「総崩れ」といった状況になっており、世界の投資資金は株式市場から債券などの他の金融商品へ移る過程にあると見て良いと思います。8月29日時点における世界主要20市場の株価指数下落率を見てみると、各市場とも大きく下落しているのが分かります。


私たちの予想を超えた経済成長を遂げた中国・上海市場ですが、実は今年の株価下落率は最も大きく、50%を超える水準になっています。また、インド・ロシアも30%近い下落になっており、いわゆるBRICs(ブリックス)も厳しい状況に追い込まれる形になっています。

確かに、最近はBRICs(ブリックス)の経済的な成長スピードの翳りを指摘する意見もありました。しかし、その中でも「例外」だと言われ、堅調な見通しが強かったブラジルでさえも、10%を越える下落になっていているのです。また、ブラジルと同様、経済的な見通しが「良好」と期待されていた南アフリカやカナダも、マイナスに転じているという状況です。まさに、世界の株式市場の時価総額が「総崩れ」といった様相を呈してきたと言えるでしょう。

BRICsなどの期待されていた国々における株価下落の大きさに比べれば、国内で「景気が悪化した」と騒がれている日本や米国における株価下落の水準は、まだ大したレベルではないと感じてしまうほどです。


●アフリカ経済がついに繁栄の兆しか?

2008年9月1日号のニューズウィーク誌で非常に面白い記事を発見しました。それは、PIMCO社の共同CEOであるモハメド・エル・イーリアン氏のコラムです。モハメド・エル・イーリアン氏と言えば、米ハーバード大基金を運用するHarvard Management Companyの社長兼CEOとして2年間勤務したのち、2007年12月にPIMCOに復帰したという経歴を持つ、国際経済・投資戦略のエキスパートです。

その泣く子も黙る国際経済・投資戦略エキスパートのエル・イーリアン氏が書いたコラムのタイトルは、「Shades of Shanghai on the Nile(ナイルの上流に上海のにおいがする)」というものです。つまり、今、中国に続く投資先として彼が注目しているのは「アフリカ」だというのです。

記事によると、タイトルほどにアフリカ経済が中国・上海ほど私たちの期待を超える爆発的な成長を遂げる可能性は低いという意見です。ただ、中国の水準までは難しいとしても、いくつかの国については相当のキャピタルゲインを期待できるので、慎重に選んで投資するべきだと述べています。ついにアフリカ経済が、今までの混乱の極みから脱して繁栄の予兆が見えてきたというのがエル・イーリアン氏の見解です。

アフリカの国の中でも、彼が特に注目しているのは「ガーナ」と「ウガンダ」という2国のようです。ガーナ、ウガンダと言えば、おそらく何かしらの資源があるのかとも思いますが、私はまだアフリカについて深く勉強していないので、この2国が投資対象として魅力的かどうか何とも判断できません。

今後の世界経済を見ていく上では、アフリカについてしっかりと勉強してみる価値は大いにあるでしょう。私も、これからアフリカ経済について本腰を入れて勉強する必要があると感じ始めています。

講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

8月31日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第61回 『「政策金利の動き」と「金利動向」って、違うの?』

一般に「(市場)金利動向」といった場合、長期国債利回り(新発10年国債流通利回り)のことを指し、投資家の売買動向によって決まります。したがって、10年国債を買いたいという投資家が(売りたいものに比べて)多ければ、債券価格が上昇し、利回りは低下することになります。

他方、「政策金利」というのは、日本では「無担保コール翌日物」のレートを指すことになります。この金利も市場(といっても、銀行など参加者が限定されている市場であり、「インターバンク(銀行相互間)市場」と言われています)で決まるのですが、その市場に対する資金供給におけるメカニズムに日本銀行が関与できるので、ある程度は日本銀行が「誘導できる金利」と考えられています。

このように無担保コール翌日のレートは日本銀行が誘導できる金利ということもあり、日本銀行の金融政策における「ターゲット金利」という意味で、「政策金利」と言われています。

ここで「政策金利」は「翌日物金利」、「市場金利」は「10年国債利回り」を指しているので、同じ「金利(≒利回り)」と言っても、期間が全く異なることになります(一方は「翌日」、もう一方は「10年」)。

とはいえ、一般に「政策金利が市場金利(長期金利)動向に影響を与える」と考えられています。この考え方は「純粋期待仮説」という理論がベースになっています(理論的には、この「純粋期待仮説」の他に「流動性プレミアム仮説」「市場分断仮説」がありますが、ここでは「純粋期待仮説」のみでお話しします)。

純粋期待仮説において長期金利は「現在時点の短期金利と将来時点にそれぞれに予想される短期金利を加重平均したもの」と考えられています。そうすると、将来時点の予想短期金利が同じである時、現時点の短期金利(無担保コール翌日物レート)が低下(上昇)すれば、長期金利も低下(上昇)することになります。

つまり、日本銀行が政策金利を引き下げる(上げる)ことを決め、無担保コール翌日物レートを低下(上昇)させる方向に誘導すれば、長期金利も低下(上昇)することになります。

しかし、長期金利の方は日本銀行が「政策金利を引き下げた(上げた)」から「下がる(上がる)」というよりも、日本銀行が引き下げ(上げ)を検討するような経済情勢になれば、直近の「将来の予想短期金利」も低め(高め)に想定することになるため、いち早く長期金利は「低下(上昇)する」ことになります。

このように経済情勢から見て、金融政策当局(日本銀行やFRB、ECBなど)が政策金利を引き下げ(上げ)そうな情勢になれば、長期金利が低下(上昇)することになります(政策金利である、例えば、無担保コール翌日物などは日本銀行によって誘導させるため、市場の思惑を捉えるのは難しい可能性があります)。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第67号、いかがでしたでしょうか。

サブプライム以降、その影響に驚かされることは多々ありましたが、それにしても今回のリーマンの一件は衝撃でした。

リーマンについては経営状態が厳しいことは比較的周知だったものの、その受け皿にはバンクオブアメリカはもとより、日本国内のメガバンクですら名乗りをあげていた程引く手があるという認識だったため、予想外の事実に市場は大混乱し、世界同時株安を招きました。

この事象が意味することは、今後救済を求める企業がどれほど大きな規模、歴史を持っていようとも、そこに絶対的な安心感など存在しないということです。

これだけ大きな「世間の噂と現実のギャップ」を目の当たりにした今、個人投資家である私達は、その一人一人がもっと資産運用について学び、賢くならなければなりません。

新聞やプロの見解を鵜呑みにするのでは無く、それを参考材料としてニュースの裏を読んでいくことが強く求められています。    

株式・資産形成講座
一戸

| 配信停止 | お問い合わせ | 個人情報保護方針 |

copyright(C)BUSINESS BREAKTHROUGH Inc. All Rights Reserved.

資産形成について少しでも知識を高めたい方はまずは無料講義体験へ。

  • 無料講義体験
  • 講座申込み