中国もBRICsも、「総崩れ」の様相
世界の株式市場に流れ込む投資マネーが急速に細っています。株式時価総額が大きい主要20市場すべてにおいて、8月末の株価指数が昨年末に比べて下落しました。資源高を背景に堅調だった新興国の株価も下落しています。世界的な景気減速への警戒感が高まり、リスク資産である株式や商品から資金を引き揚げる動きが鮮明になってきたと言えるでしょう。
今、世界の株式市場はまさに「総崩れ」といった状況になっており、世界の投資資金は株式市場から債券などの他の金融商品へ移る過程にあると見て良いと思います。8月29日時点における世界主要20市場の株価指数下落率を見てみると、各市場とも大きく下落しているのが分かります。
私たちの予想を超えた経済成長を遂げた中国・上海市場ですが、実は今年の株価下落率は最も大きく、50%を超える水準になっています。また、インド・ロシアも30%近い下落になっており、いわゆるBRICs(ブリックス)も厳しい状況に追い込まれる形になっています。
確かに、最近はBRICs(ブリックス)の経済的な成長スピードの翳りを指摘する意見もありました。しかし、その中でも「例外」だと言われ、堅調な見通しが強かったブラジルでさえも、10%を越える下落になっていているのです。また、ブラジルと同様、経済的な見通しが「良好」と期待されていた南アフリカやカナダも、マイナスに転じているという状況です。まさに、世界の株式市場の時価総額が「総崩れ」といった様相を呈してきたと言えるでしょう。
BRICsなどの期待されていた国々における株価下落の大きさに比べれば、国内で「景気が悪化した」と騒がれている日本や米国における株価下落の水準は、まだ大したレベルではないと感じてしまうほどです。
●アフリカ経済がついに繁栄の兆しか?
2008年9月1日号のニューズウィーク誌で非常に面白い記事を発見しました。それは、PIMCO社の共同CEOであるモハメド・エル・イーリアン氏のコラムです。モハメド・エル・イーリアン氏と言えば、米ハーバード大基金を運用するHarvard Management Companyの社長兼CEOとして2年間勤務したのち、2007年12月にPIMCOに復帰したという経歴を持つ、国際経済・投資戦略のエキスパートです。
その泣く子も黙る国際経済・投資戦略エキスパートのエル・イーリアン氏が書いたコラムのタイトルは、「Shades of Shanghai on the Nile(ナイルの上流に上海のにおいがする)」というものです。つまり、今、中国に続く投資先として彼が注目しているのは「アフリカ」だというのです。
記事によると、タイトルほどにアフリカ経済が中国・上海ほど私たちの期待を超える爆発的な成長を遂げる可能性は低いという意見です。ただ、中国の水準までは難しいとしても、いくつかの国については相当のキャピタルゲインを期待できるので、慎重に選んで投資するべきだと述べています。ついにアフリカ経済が、今までの混乱の極みから脱して繁栄の予兆が見えてきたというのがエル・イーリアン氏の見解です。
アフリカの国の中でも、彼が特に注目しているのは「ガーナ」と「ウガンダ」という2国のようです。ガーナ、ウガンダと言えば、おそらく何かしらの資源があるのかとも思いますが、私はまだアフリカについて深く勉強していないので、この2国が投資対象として魅力的かどうか何とも判断できません。
今後の世界経済を見ていく上では、アフリカについてしっかりと勉強してみる価値は大いにあるでしょう。私も、これからアフリカ経済について本腰を入れて勉強する必要があると感じ始めています。
|