株式市場がなかなか上向かないワケ|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/9/24(水)  
最新・最強・最高クオリティの
Message
第68回目発行!株式・資産形成講座メルマガです。
メルマガをご覧の皆様、こんにちは!
ビジネス・ブレークスルー 株式・資産形成講座事務局の一戸です。
このメルマガでは、皆さんの資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびにプロとして活躍している 一流講師陣の視点から、毎週リアルタイムにお届けしていきます。
あなたの理想とする資産運用、資産形成を実現するためのとっておき情報を、どうぞご覧ください。

本文タイトル
株式市場がなかなか上向かないワケ

日経平均を"外国人投資家の視線"で見てみよう。 サブプライム問題だけではない真相が見えてくる。

日経平均を外国人投資家の目線で見ると「株式市場が上向かない理由」が見えてくる!? 株式市場がなかなか上向かないワケ、それには、こんな理由もあります。

私達は日頃そういう目で見ませんが、日経平均を「ドル建て・ユーロ建てで見る」、つまり外国人投資家の視点で物を考えてみると、これまで見えなかったものが見えてきます。


北米の投資家(ドル建て)からすれば、日経平均は8月末に3月につけた年初来安値を割り込んでいます。 だから彼らには、日経平均は「底なし沼」にみえているはずです。これでは非常に買いづらいでしょう。

私たち日本人は、株価を円ベースで見ているわけですが、その時でも一度年初来安値を割り込んでしまうと「もっと下がるのではないだろうか?」と疑心暗鬼になります。 それと同じで、ドル建てで日経平均を見ている外国人投資家からは、なかなか手を出しにくい状況なのだと思います。


ヨーロッパの投資家(ユーロ建て)でも事情は同じです。 ユーロ建てでは、さらに前の、7月に年初来安値をつけているので、やはり買いにくいのです。 もちろん、新規の資金が入り難い状況といえます。

普段とは視点を変えて「ドル建て・ユーロ建ての日経平均で見る」と、「あっ!そうか」と気づくことがあります。 私たちにとっては、(9月初旬の時点では)3月の年初来安値をまだ割っていないという思いもありましたが、それ以前に外国人投資家には日経平均に対する失望感があり、結果このことが、株式市場がなかなか上向かない理由の一つと考えられます。

注)9月18日に日経平均は3月17日の安値(11787円)を割り込み、年初来安値をつけました。



講師紹介
天海 源一郎
ビジネス・ブレークスルー大学院大学 株式・資産形成講座講師
株式ジャーナリスト/個人投資家/フリープロデューサー
天海 源一郎

9月10日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第62回 『何故、金融機関は救われるの?!?!』

先週はリーマン・ブラザーズの破たんに始まり、AIGに対するFRBの支援および米国版のRTC(不良債権等の整理回収機構)構想案の策定で終わりました。そのため。それぞれのニュースに世界の株価が反応し、乱高下の激しい相場展開となりました。

先週末のRTC構想によって米国金融機関に対する支援体制は"一応"整ったということは良いことなのですが、「どれを救って、どれを潰すか」についての明確な基準が見えてこない(つまり、「ダブルスタンダード」にしか見えない)ので、今後も金融当局(米財務省&FRB)の言動によって相場自体は大きく動くことになりそうです。

とはいえ、日本でもよく言われていることですが、「何故、金融機関は救われるのか?」について、「どうしても釈然としない」という人も多いのではないでしょうか。

不況時に企業経営がおかしくなることは、どの業種でも同じであり、これは金融機関に限ったことではありません。というか、現在も世界のどこかで事業会社は倒産をしているはずであり、これらに対して政府等が「救済する」という話はあまりありません。

しかも、日本でいえば「国民のおカネで(多くの銀行等を)救済したはずなのに、業績が回復すれば、また以前と同様に・・・」という批判があちこちで聞かれています。国民感情としては"確かに"そうであり、多くの人が不満に思っているのではないでしょうか。

このような感情を抱くことは米国の金融当局も承知であり、そういうことからポールソン財務長官もリーマン破たんの際に「政府が支援するという選択肢は考えたことがない」と明言し、あくまでも「民間は民間で」という姿勢を貫こうとしたのでしょう。

しかし、AIGの件については、形式としては「中央銀行による金融機関への緊急融資」という形ですが、実質、FRB等による全面支援になっています。さらに、今回俎上に載っている米国版RTCは、まさに、国による金融機関の支援以外の何物でもありません。

国家が一部の民間企業(または、業種・業界)を救うということは、「公」としての平等性を冒すことになるので、不公平感は否めないと思います。

そのような危険を冒しても金融機関を救うのは、個々の金融機関を「救う」という意味よりも、「金融」という"システム"を救いたいためといえます。もっと端的にいえば「通貨価値の保全」なのです。ここで「通貨」とは「現金」だけでなく、「預金通貨」も「通貨」と考えられているので、その発行主体である「銀行(預金取扱金融機関)」を保全するということになります。

したがって、「巨大企業である」といっても証券会社であるリーマンは、初めから「(政府が)支援する」という選択肢はなかったわけです。

他方、AIGは救われました。

そもそも保険会社であるAIGは「通貨価値の保全」という観点で言えば、政府が支援するという根拠に乏しい業種といえます。したがって、当初、FRBは支援の申し込みを断っています。

ところがAIGは銀行との間でCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)といわれる契約を結んでいます。このCDSとは簡単にいえば「債務保証」と考えれば良いと思います。つまり、銀行が企業等に貸し出す際にCDS契約をAIGと結ぶことで、当該貸付先企業が破たんしても銀行はAIGから貸し出したお金を回収できることになります(当該企業が破たんしなければ、CDSのために銀行が支払ったプレミアムはAIGのものになります)。

そして、このCDS契約をAIGは広範囲の銀行と結んでいるため、もし、AIGが破たんすれば、世界中の貸出市場が大混乱に陥ることになります。

おそらく当初はこの契約についての当局の認識が甘かったのだと思いますが、市場の反応等を観察・分析した結果、AIGの破たんは「通貨価値が棄損する」という認識に至り、支援に踏み切ったものと思われます。

このように一見すると「ダブルスタンダード」に見える対応ですが、実際には「通貨価値の保全」ということをキーワードにしてみると、今回の措置は"とりあえず"ではあるものの「一貫性がある」と考えることができます。

しかも、AIGの支援後、すぐにRTC構想を打ち出しているのも、「通貨価値の保全」を「確実なものにしたい」という政策当局の強い想いがあったからだと思います。

今回の一連の対応は、単に「Too big to fail」にしか見えませんが、実際には、そういったものではなく、「世界の基軸通貨たるドル」の信任をかけた対応とみるべきだと思っています。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第68号、いかがでしたでしょうか。

最近インターネットサイトでの金融商品検索をよくするのですが、そこでこんなことを感じました。

「美味しい情報って隠されているもの??」


保険会社や投信会社のセールスを受け、あまり興味をそそる商品に出くわした経験は、残念ながらあまりありません。

しかし、その会社のサイトを見てみると「何でこの商品勧めてくれなかったんだろう」と思うことがあるのです(しかもその幾つかは、本当に販売しているのかと思うほど小さく書かれていました)。

昨今、日本でも色々な趣向をこらした投資商品が出てきていますし、皆さんも宝探し気分で幾つかサイトを覗いてみてはいかがでしょうか。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

株式・資産形成講座
一戸

| 配信停止 | お問い合わせ | 個人情報保護方針 |

copyright(C)BUSINESS BREAKTHROUGH Inc. All Rights Reserved.

資産形成について少しでも知識を高めたい方はまずは無料講義体験へ。

  • 無料講義体験
  • 講座申込み