リーマン破綻を受けて、あおぞら銀行と新生銀行が危険
金融庁から7月に業務改善命令を受けていたあおぞら銀行の経営健全化計画の策定が遅れています。同時に改善命令を受けた琉球、岐阜の2行は16日に計画を提出・公表しましたが、あおぞら銀行は公表しませんでした。同行はリーマン・ブラザーズの関連債権を大量に保有しており、破綻の影響を織り込んで計画を見直している可能性もあるとのこと。 また、リーマン・ブラザーズの破綻に伴い、16日、国内金融機関各社はリーマンへの融資残高や損失見込み額を相次ぎ開示しています。
リーマン・ブラザーズの破綻を受けて、にわかに日本の国内の銀行も慌しくなってきました。国内主要行のリーマン・ブラザーズ向け債権額を見ると、三井住友FG:1034億円、あおぞら銀行:693億円、みずほFG:400億円、新生銀行:380億円と続いています。また、この債権額のうち損失を被る可能性がある額(非保全分)になると、新生銀行が380億円でトップになります。
ただ、ここに示されているリーマン・ブラザーズ向け債権の保全・非保全という基準も、絶対的なものではなく、保全されているという債権にしても安心できるものではないと思います。リーマン・ブラザーズの破綻によって、各銀行の資産がどのくらい痛んでいるのか、実際のところは推定できていないというのが実情ではないでしょうか。
このような状況から私が特に懸念を抱いているのは、あおぞら銀行と新生銀行です。
万一、リーマン・ブラザーズへの債権が保全されない事態になってしまうと、あおぞら銀行は最大で債権総額693億円を抱えることになります。この金額は、あおぞら銀行の資本からすると甚大なインパクトだと言えます。
新生銀行の場合には、非保全分の債権額だけを対象に見ても、リーマン・ブラザーズへの債権によって損失額が資本の約4%に相当する事態になってしまいます。これは深刻な状況だと思います。
あおぞら銀行も新生銀行も、国民の税金を使って立て直した銀行ですが、非常に厳しい状況になりつつあると思います。
13兆円もの国民の税金で救済したことが無駄にならないことを願うばかり
あおぞら銀行や新生銀行が危うい状況に陥るとなると、再び日本長期信用銀行と日本債券信用銀行の悪夢がやってきて、前轍を踏む結果になってしまいます。何とも「いい加減にしてください」と言いたい気持ちです。
そもそもこれらの銀行は13兆円もの国民の税金で救済された身で、一体どんな経営をしてきたのでしょうか?
例えば、新生銀行の場合には、旧長銀の売却時に定められた瑕疵担保条項のお陰で、日本国内のお客の獲得が厳しい状況になっていました。そこで目を付けたのが、一見美味しそうに見える海外の金融商品です。
経営者が外国人ということもあり、海外の金融商品に目を向けるのは自然なことだったかも知れません。しかし、1%という高金利を維持するために、結果としてリーマン・ブラザーズやファニー・メイといった高リスク債権の割合をここまで大きくしてしまったのは、安直だったと指摘されても致し方ないでしょう。
あおぞら銀行にしても、経営健全化計画の提出が遅れているのも論外ですが、このまま経営健全化計画をないがしろにして、また破綻して再生などとなったら目も当てられません。
せっかく国民の税金を13兆円もつぎ込んで救済し、ようやく立ち直ったと思っていたら、また破綻などという事態は許されないと思います。もう少し自分たちの置かれている立場について高い意識を持つべきだと感じます。とにかく今は、両行が再び破綻することがないように願うばかりです。
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