あと37.6年、長く見積もっても68年で、世界中の石油は枯渇するかもしれない!?
原油価格高騰の長期的な価格動向の理由の一つとして「根底にあるのは石油資源枯渇の恐れ」が挙げられます。
レスター・ブラウン著『プランB3.0 人類文明を救うために』(ワールドウォッチジャパン)という資源に関する有名な書籍があります。ここにも「これから石油の使用量はどんどん増えていくだろう。供給はだんだんタイトになっていくのではないか」という記述があります。
大きな国で油田の新規の発見がなければ、米国、北海油田、メキシコ、などの確認埋蔵量はだんだん減っていく傾向にあるでしょう。
世界一のサウジアラビアのガワール油田でも、だんだん採掘が深くなっており、自噴しなくなっているため、大量の海水を入れないと石油が出てこないなど老朽化が進んでいます。
石油が化石燃料である限り(化石燃料ではないという説もありますが)長期的には、いずれいつか石油が枯渇するのは間違いありません。
石油の確認埋蔵量は毎年増えています。これは新規の油田が発見されているからです。2005年末時点の確認埋蔵量を世界の消費量で割ると37.6年分しか石油は無いことになります。しかし、今後発見されるであろう埋蔵量と、現在の油田が更に深く掘られて出てくるであろう供給の合計を将来増加していく推定消費量で割った枯渇年数は68年です。いずれにせよいつか石油は無くなる運命です。
では原油価格高騰は、どこで止まるのでしょうか。
7月11日には、市場最高価格の147.27ドル、この石油価格高騰の起点となっているとチャート上で判断される2007年の1月17日の原油価格は51.03ドルでした。その中間点は99.15ドルということになります。9月16日に90.51ドルになったのは下げ過ぎであり、その反動で9月22日には130ドルまで急騰したのだと思います。その後90ドルを割って下落していますが、短期的には反騰もあると思っています。
不況で石油の需要が減り、生産が横ばい乃至は若干上昇であれば「原油価格は下がる」!?
90ドルまでいきましたから、石油は下がるところまでは一応は下げたと思います。今後どこまで下がるかはよくわかりません。
ただ、サブプライムローン問題に端を発する世界的な経済概況を見るに、これからも、今までのようの石油を使うでしょうか。一度高値を経験しているので、ガソリン価格が安くなっても以前のように気にもせずに使う気持ちにはなれないのではないでしょうか。
この消費の沈滞のせいか、世界的に自動車が売れていません。
インドでは昨年より自動車の生産台数が減少し、中国の販売も以前の勢いは無くなっています。
石油の46%は自動車向けですから、自動車のガソリン需要が悪くなれば、おそらく昨年のような暴騰はもうないのではないでしょうか。
太陽や風力などのクリーンエネルギーのほかに原子力や石炭発電が見直されており、電気自動車、燃料電池なども作られています。石炭は、石油以上にC02を出すのがネックですが、豪州の石炭メーカーがC02を出さない燃やし方を開発したという発表を行っています。将来枯渇する石油に代わって、さまざまなエネルギー源が今後も開発されるでしょう。
OPECが生産削減をして価格を維持するという話しがありますが、私は懐疑的です。原油価格が上昇を続け、産油国は毎年収入が増えてきました。ここに来て急速な価格下落に直面し、石油収入が減少すると、価格の維持のためとはいえ販売量まで減少させて収入を減らすことはできないのではないでしょうか。
中期的には、需要が減り、生産が横ばい乃至は若干上昇であれば、原油価格は下がるだろうというのが私の予測です。
ただしハリケーンなどの天災やグルジアやナイジェリア、イランなどで地政学的リスクが発生すれば別です。以上から原油価格は短期的には反発、中期的には需要減で下落、長期的には供給減で上昇というシナリオが私の予想です。
エクスキューズを残しておかないと間違った時に困りますからね(笑)。
というのは冗談にしても、一方的な上げ相場は終わり、今後は、上がったり下がったりのくり返しになると考えられることから、以前より見極めにくくなると思います。中期的には、ダラダラとした横ばい、ないしは、斜め下に向かって下降気味になっていくのではないでしょうか。
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