なぜ株価は大きく動いたのか1 ~米国・欧州市場の概況~
今回の金融不安あるいは金融収縮は、米国発と言われていますが、本日(10/9)・昼時点の米国、ヨーロッパ、アジア各国の状況を解説しましょう。
まずは米国市場、ヨーロッパ市場です。
ニューヨークダウ30種工業平均は、ずっと下落基調が続いていましたが、サポートライン(安値と安値を結んだライン)を今回割り込んでしまいました。その後上下の波でしたが、割り込んだために一気に下に抜けてしまったという状況です。
同じ米国の(スタンダード・アンド・プアーズ社の株価指数)S&P500や、ハイテク株が多いといわれるナスダック総合指数、英国ロンドン証券取引所のFTSE100種総合株価指数も、同じくサポートラインを割り込んだところから株価が急落しています。
ヨーロッパ市場はアメリカドルとの連動性が高いので、他にフランス(CAC40)、ドイツ(ダックス指数)なども大きく下落しています。
●下げの時の強さを、感覚ではなく「客観的データ」で見るにはどうすればよいか?
みなさんは、下げが「キツかった」「弱かった」など感覚的に話をされていると思いますが、その感覚をもっと"客観的なもの"に表して欲しいと思います。
具体的には、「下げの時の角度」に着目して下さい。
例えば、ニューヨークダウ30種工業平均サポートラインに対して平行線を引いた時に、大きく下落はしてますが、下げの角度はもう90度近く(ほぼ垂直)になっています。
なおかつ(下落し続けるラインの)長さが長い。
下げがキツイか弱いかは、基本的には「下げの角度と長さ」の両方で測ります。
ですから、例えば1988年のブラックマンデーの株価の下落と今を比較したいのであれば、下げの「角度や長さ(言うなれば下げの幅)」を「率」に直して比較するなどして分析して下さい。そうすれば、どれだけ急だったのかという「下げの度合い」が判ります。
なぜ株価は大きく動いたのか2 ~アジア市場の概況~
次にアジア市場を見てみましょう。
まず中国(上海総合指数)は、それほど下落幅は大きくありません。
しかし実際の下げの率を見てみると、6000ポイント近くまで行ったものが2000ポイントですから1/3になっているということですね。
ニューヨークダウは、史上最高値が1万4000ドル、その約半分は7000ドル。そう考えるとまだ半分までも行ってないわけですから、中国の1/3の下落に比べればまだ少し。それがこの下げ幅の違いに表れているのではないでしょうか。
他のアジア市場でも、シンガポール(STI)や香港(ハンセン指数)、インド(SENSEX)が下落基調になってきています。しかしニューヨークダウの急角度な下げ幅に比べると、総じてアジア市場は緩やかですね。
このようにアジア市場と、米国/ヨーロッパ市場ではちょっとした違いが出てきています。
●「どこに資金が向かっているのか?」を見極め、正しい分散投資を実現する
通常は、国際分散投資といって、分散の範囲に「中国あり」「インドあり」ですが。今の状況を見ると、(ちょっと怒られるかもしれませんが)"分散投資でセーフティーネットになった国があるのか?"と個人的には思います。
ところで株価や為替以外に、一つだけ価格が上昇している商品があるのをご存知ですか。
それは「金」です。
本当にみなさん大変だとは思うんですが、ご自身で分散運用を考える時に、本当はコモディティ(商品)なども入れていかないといけないのかな、と思います。
コモディティファンドもたくさんありますから、投資信託で運用される方は、中国株やインド株が悪くなってきた時には、まずはロスカット。資金を逆行している物に振り向ける。
それが本来の分散投資です。
上海総合指数、STI、ハンセン指数、SENSEXなど同じ動きをしている物に、国や市場が違うからと割り振っても、それは本来の意味での分散投資にはなりません。
今回の金融不安では、図らずもそれが証明された形になっています。
ですから資金運用において必要不可欠なのは、コモディティでいうと金など「どこに資金が向かっているのか?」を常々見ておくということなのです。
直接的に金ということだと調べるのが大変ですし、過去そうだったようにその国に直接投資することはできませんが、いまはコモディティファンドが多様になっています。
例えば大阪証券取引所の「金のETF(上場投資信託)」のように、手軽かつローコストな投資が可能なものがたくさんあります。
株式市場がダメだから、全部ダメだということではなく...。
そういった商品知識などもぜひ身につけていただいて「何が逆行しているのか?」「どこに資金が向かっているのか?」を見つけること、そして選択肢の一つに入れておくこと。
資産運用においては、それが非常に重要だと思います。
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