これがリスクヘッジをはかる「本当の分散投資」だ!|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/10/22(水)  
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これがリスクヘッジをはかる「本当の分散投資」だ!

なぜ株価は大きく動いたのか1 ~米国・欧州市場の概況~

今回の金融不安あるいは金融収縮は、米国発と言われていますが、本日(10/9)・昼時点の米国、ヨーロッパ、アジア各国の状況を解説しましょう。

まずは米国市場、ヨーロッパ市場です。 ニューヨークダウ30種工業平均は、ずっと下落基調が続いていましたが、サポートライン(安値と安値を結んだライン)を今回割り込んでしまいました。その後上下の波でしたが、割り込んだために一気に下に抜けてしまったという状況です。

同じ米国の(スタンダード・アンド・プアーズ社の株価指数)S&P500や、ハイテク株が多いといわれるナスダック総合指数、英国ロンドン証券取引所のFTSE100種総合株価指数も、同じくサポートラインを割り込んだところから株価が急落しています。 ヨーロッパ市場はアメリカドルとの連動性が高いので、他にフランス(CAC40)、ドイツ(ダックス指数)なども大きく下落しています。


●下げの時の強さを、感覚ではなく「客観的データ」で見るにはどうすればよいか?

みなさんは、下げが「キツかった」「弱かった」など感覚的に話をされていると思いますが、その感覚をもっと"客観的なもの"に表して欲しいと思います。 具体的には、「下げの時の角度」に着目して下さい。

例えば、ニューヨークダウ30種工業平均サポートラインに対して平行線を引いた時に、大きく下落はしてますが、下げの角度はもう90度近く(ほぼ垂直)になっています。 なおかつ(下落し続けるラインの)長さが長い。 下げがキツイか弱いかは、基本的には「下げの角度と長さ」の両方で測ります。

ですから、例えば1988年のブラックマンデーの株価の下落と今を比較したいのであれば、下げの「角度や長さ(言うなれば下げの幅)」を「率」に直して比較するなどして分析して下さい。そうすれば、どれだけ急だったのかという「下げの度合い」が判ります。

なぜ株価は大きく動いたのか2 ~アジア市場の概況~

次にアジア市場を見てみましょう。



  まず中国(上海総合指数)は、それほど下落幅は大きくありません。  しかし実際の下げの率を見てみると、6000ポイント近くまで行ったものが2000ポイントですから1/3になっているということですね。  ニューヨークダウは、史上最高値が1万4000ドル、その約半分は7000ドル。そう考えるとまだ半分までも行ってないわけですから、中国の1/3の下落に比べればまだ少し。それがこの下げ幅の違いに表れているのではないでしょうか。

 他のアジア市場でも、シンガポール(STI)や香港(ハンセン指数)、インド(SENSEX)が下落基調になってきています。しかしニューヨークダウの急角度な下げ幅に比べると、総じてアジア市場は緩やかですね。 このようにアジア市場と、米国/ヨーロッパ市場ではちょっとした違いが出てきています。


●「どこに資金が向かっているのか?」を見極め、正しい分散投資を実現する

通常は、国際分散投資といって、分散の範囲に「中国あり」「インドあり」ですが。今の状況を見ると、(ちょっと怒られるかもしれませんが)"分散投資でセーフティーネットになった国があるのか?"と個人的には思います。

ところで株価や為替以外に、一つだけ価格が上昇している商品があるのをご存知ですか。 それは「金」です。  本当にみなさん大変だとは思うんですが、ご自身で分散運用を考える時に、本当はコモディティ(商品)なども入れていかないといけないのかな、と思います。  コモディティファンドもたくさんありますから、投資信託で運用される方は、中国株やインド株が悪くなってきた時には、まずはロスカット。資金を逆行している物に振り向ける。  それが本来の分散投資です。

上海総合指数、STI、ハンセン指数、SENSEXなど同じ動きをしている物に、国や市場が違うからと割り振っても、それは本来の意味での分散投資にはなりません。 今回の金融不安では、図らずもそれが証明された形になっています。 ですから資金運用において必要不可欠なのは、コモディティでいうと金など「どこに資金が向かっているのか?」を常々見ておくということなのです。

 直接的に金ということだと調べるのが大変ですし、過去そうだったようにその国に直接投資することはできませんが、いまはコモディティファンドが多様になっています。  例えば大阪証券取引所の「金のETF(上場投資信託)」のように、手軽かつローコストな投資が可能なものがたくさんあります。 株式市場がダメだから、全部ダメだということではなく...。 そういった商品知識などもぜひ身につけていただいて「何が逆行しているのか?」「どこに資金が向かっているのか?」を見つけること、そして選択肢の一つに入れておくこと。 資産運用においては、それが非常に重要だと思います。



講師紹介
大前研一
株式会社インベストラスト 
代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之

10月10日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第66回 『公的資金投入によって「金融危機」は去ったの???』

米国における「銀行への公的資金投入」は、先日"すったもんだの末"議会を通過した米国版RTCスキームを拡大解釈することによって「資本投入可能」ということになりました。これにより日米欧三極の金融市場は落ち着くかに思われましたが、LIBOR3か月物ドル金利は(一時期よりも幾分低下したものの)未だに高水準になっています。

実際、「公的資金投入」におけるスキームを整備した国では「銀行破たん」の可能性がなくなったことになりますが、整備されていない国も、未だ、多く存在しています。そのため、整備されていない国の銀行がインターナショナルな金融市場で資金調達を行った場合、資金の出し手となる銀行は不安な気持ちを払しょくできず、資金を出したがらないことから、借り手は容易に資金を取れないことになります。したがって、整備されていない国が存在する限り、インターナショナルな金融市場では「金利の高止まり」が今後も続くことになると思われます。

その意味で、先進国以外の国で当該国の銀行へ公的資金を投入する場合、財政的な問題から整備できない国に対してIMFが融資を行うことになったことは、世界的な銀行のセーフティネットという観点から「喜ばしいことである」といえます。

しかし、このような公的資金投入により「世界中の銀行のセーフティネットが整備された」としても、まだまだ「それで全て良くなる」ということはありません。むしろ、「ここからが大変」ともいえます。

例えば、「公的資本注入」というのはあくまでも"一時的な救済"に過ぎないことから、今後、世界的な銀行再編が起こることになるでしょう。つまり、強い銀行はさらに強く、弱い銀行は合併されたり、国有化の後にひっそりと消えていくことになるでしょう(もし、淘汰されない場合には、それはそれで「ゾンビ銀行(本来は破たんすべきなのに生き延びている銀行)」が多数発生することになり、経済の効率性から問題になります)。

ここで「銀行貸出」というのは銀行と借り手企業との間のリレーションシップが重要であり、一度関係が途切れてしまうと容易に修復できないものです。

それにも拘わらず、取引のあった銀行が淘汰されてしまうと、当該銀行と取引があった企業は新たな貸し手を探すことが必要になります。この場合、当然のことながら、リレーションシップをはじめから構築しなければならないので、「新たな貸し手」となる銀行は容易に見つからないでしょうし、たとえ「貸してくれる銀行」が見つかったとしても「高い金利」を提示されることもあるので、計画通りに資金調達が進まないという事態になることが多いものです。

このように資金調達がうまく行かない場合、倒産してしまう企業も増加することになり、倒産が増加すれば、雇用状況も悪化することから、失業者も増加し、実体経済を蝕むことになります。

他方、日本でも公的資金投入および量的緩和政策(これが今回の「流動性供給」に当たります)によって、当時、邦銀に対して大量にハイパワードマネーを投入しました。しかし、実体経済が悪化していることから貸出先がなく、流動性として流れ込んだ資金がそのまま「ホームレスマネー化」したことは記憶に新しいことだと思います。

その時(平成不況時)には日本だけでしたが、今回は、全世界的に流動性が大量に供給されていることから、ホームレスマネー化した資金は日本の時とは比較にならないほど莫大になると思われます。

そのような中、上述の通り、実体経済は容易に改善しないと思われることから、投資収益率というものを中心にした「真っ当な貸出」は基本的に多くなく、投機性の極めて高い分野に、この膨大な量のホームレスマネーが流れ込むことが考えられます。そのような事態になれば、以前の原油先物のように、または、それ以上に実体経済を翻弄することになると思われます(投機性資金として使用されず、実体経済にそのまま流れ込むことになれば、世界全体を巻き込んだハイパーインフレになる可能性も否めません)。

以上のように「公的資本投入」自体は金融市場におけるセーフティネットに過ぎず、金融部門の安定化には役立つ可能性が高いものの、それがイコール「実体経済を良くする」というものではありません。むしろ、金融市場における再編の動きなどによって、借り手企業を翻弄することになるとともに、現在行われている大量の流動性供給により、ホームレスマネーを増加させ、世界的な経済を不安定化させる可能性を高めることになると思われます。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第72号、いかがでしたでしょうか。

先週末、「ネット証券の口座開設数が急増している」との、とても興味深いニュースが出回りました。

10月の平均口座開設申込数は前月の2倍以上とのことで、今回の株価暴落に乗じて「今が仕込み時」とばかりに投資を始めようという新規の個人投資家が増えたようですね。

改めて、日本の個人資産はまだまだ眠っているのだと痛感しました。

世界的な金融不安が落ち着くのはまだ先。

だからこそ、歴史的に見ていかにも割安と感じる今を絶好の投資機会と捉え、資産運用を学び始めることがあなたの将来を変えることになると、一人でも多くの人に知っていただきたい、そう思います。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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