一般的に商品価格は、ドル安と共に上昇基調。しかし、日本円ベースでは円高により下落基調。あわせて横ばい。
2008年12月16日の米国連邦公開市場委員会(FOMC)で米国市場初めてのゼロ金利政策が採られました。それほど米国の金融界はダメージが大きく、実体経済への影響もかつて無いほどの事態だということでしょう。そうなればガソリンを始めとした石油製品需要は減退し、自動車の生産減からアルミ・ゴム・プラチナ等の工業用資材の需要は減少したままであろうと思います。
08年11月の米国の住宅着工件数は1959年1月の統計開始以来最低の水準となりました。これも家電製品や建材の売り上げを減らし、アルミや石油製品素材等の需要を抑えます。
これらの需要はいずれ回復するでしょうが、6.7%に急上昇した米国失業率は今後も増加の兆しであり、回復までには数年かかると思われます。こうした需要の減少から、原油を始めとする工業用素材の価格が上昇することは考えにくく、これは少々の生産問題をも凌駕してしまうことでしょう。
OPECは10月の150万バレルの減産に引き続いて、12月は220万バレルの大幅な減産を決定しました。10月分も未だ消化されていない状況下で、そうした減産が需給をタイトにさせるほどの効果があるとは、市場は期待していません。
IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)の発表では、世界の原油需要の前年比増減は毎月発表されるごとに減少し、12月の発表ではついに2008年の需要は前年比マイナス20万バレルとなってしまいました。
一方、金価格において、少なくともドルベースでは上昇基調にあると思われます。米国株価はGMに対する米上院の救済法案廃案により混迷の度合いを深め、金利の低下により預金も魅力がありません。ファンドは軒並み赤字を連ね解約の嵐に遭遇しています。
こうした中で、運用資金は当面の逃避先として金投資に向かうことでしょう。世界的にも、株安や他投資商品の魅力減退リスク増大から、安全な金実物投資が盛んとなるのではないでしょうか。7月からドル高・他通貨安であった流れは12月から反転しつつあります。ドル安は今後の潮流となるでしょうし、これも金価格にとってはFAVOR(好ましい)な動きといえます。
しかし、日本の金価格は円高のために下落するかもしれません。一時80円台に突入した円は円キャリートレードの巻き戻しによるものですが、円キャリートレードは1993年から始まっており、15年も続いています。その解約が未だ終わっていない中で、ファンドが投資した流動資産の解約から固定資産の巻き戻しが始まっており、未だデレバレッジが出尽くすには時間がかかるでしょう。円は60円台まで高くなる可能性があるのです。
これらのことから、今後日本円ベースの商品価格は、下げが基調になると予測できるわけです。
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