景気他指数が示す投資動向。大きな変化は「両面」で見よ!|株式・資産形成講座メルマガ

  2009/1/28(水)  
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景気他指数が示す投資動向。大きな変化は「両面」で見よ!

10月の景気動向指数から長期投資のタイミングを読み解くには?

10月の景気動向指数をみると、バブル崩壊直後の90年の水準を遅行指数・一致指数ともほぼ上回っています。 そう考えると、数値的にはやはり「景気は良かったのだ」と思います。



先行指数は、ほぼ頂点に近づくところまで行って、そこから落ちてきています。バブル崩壊の時よりも「遅い」と言えるでしょう。これは本当にギリギリのところまで「まだ景気は良いのだ」と思われていたということです。バブル崩壊の時は、比較的早いうちから、先行指数が落ち始めていたものの、実際にはその後更に伸びを見せました。

しかし、今回はそうした状況とは違っていたわけです。

(バブル崩壊後は)先行指数と他2指数との間にあった大きな乖離が収れんした後に、そこから先行指数が上がり始め、一致指数と遅行指数が上がっていくという状況でした。ところが今回は、まだかなりの乖離があります。そこが今後の景気動向指数を見る上での、重要な投資判断になるかもしれません。

長期投資で見た時に、先行指数が上がり、実態ベースも下げ止まって上昇。そのあたりから株価は、波打っているところもありますが、そことほぼ同じですね。  そして2003年以降も、遅行指数が底を打ってから株価が上昇を始めています。 遅行指数が、割合に実際の株価の動きに近く、そして、先行指数のほうは、その名のとおり先行して動いているということになるかと思います。  ですから、その縮まってくるところを毎月見ていかなければいけないということです。 そこで長期投資という流れになるのではないでしょうか。

また機械受注額も、右肩下がりになっています。



図は、10月までの数字ですが、既に11月の数字も発表になっています。  それによると、パーセンテージで見た場合、前月比では「マイナス8%予想」だったものが、実際には「マイナス16.2%」でした。ほぼ倍の数値です。  そして前年比で見ると、「マイナス20%予想」だったものが、実際には「マイナス27.7%」。いずれも予想を大幅に下回った数値が発表されました。  「まだロシアなどに需要があるんじゃないか」と考えて機械株を購入しようという方は、おそらく大勢いらっしゃると思いますが、実際の受注額は減っているということですので注意が必要と言えるでしょう。


●鉱工業指数から、日本の企業経営・雇用形態の大きく変化していることが判る!?

 さて次に、「鉱工業指数」を見てみましょう。 これは、ちょっとビックリする図です。



この図は、生産と在庫の関係を表すものですが...。 生産は、なだらかな山から一気に低下。そして在庫のほうは、上がってはいるものの、10月、11月を見ると非常に緩やかです。  生産をフレキシブルに「止めている」という状態であることが明らかです。

 急な生産低下を、「企業の活動」という風に見た時にどう判断すればよいのでしょうか。 雇用という面で見た時には、これは雇用者の生活が確保できないということで、非常に悪い状況になっていくと思われます。  一方で、いざ人を集めようとしたら集まらないという状況も考えられ、そういう意味では、生産を止めるというのは非常にリスキーなことです。ただし生産をそれだけ抑えたということは、逆に言うと「不必要なコストが掛からなくてすむ」ということになります。

それだけ過去の日本の終身雇用や、これまでの生産活動を頑として守るという姿勢からすると、企業の考え方が少し変わってきているように思えます。 "企業の努力の結果"と言っていいのかどうなのか判りませんが、「フレキシブルに対応ができるようになってきている」「雇用形態も変わってきている」ということは言えるのではないでしょうか。

 その証拠に、生産が低下しても、在庫があまり積み上がっていません。 直近2~3カ月を見ると大きく見えますが、直近1カ月分だけを見ると、生産の落ち込み幅に比べると、在庫の伸びはほんの少しになっています。 ですから本当に急激に「生産を落としているのだ」と言うことができるでしょう。  景気が回復してきた時には、おそらくそれなりに生産を戻すと思います。そして在庫がほとんど無いということになれば、「正常な生産活動に戻る可能性がありますよ」ということなんだろうと私は思います。

 こういう大きな変化は両面で見て下さい。  まずは、「生産の急低下により、基本的には業績は悪くなるんだ」という見方。 そして一方では、「企業経営や株主から見れば、フレキシビリティがあることは悪い面ばかりではない」。  投資や資産形成をする上では、こうした両面で見ていただきたいと思います。



講師紹介
大前研一
株式会社インベストラスト 
代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之

1月16日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第79回 『現在のような"株の大バーゲン・セール"はいつまで?!?!』

本来、株式投資は「安く買って/高く売る」のが鉄則なので、現在のように"株価が安い状態"であれば、買うという行動が正しいように思えます。

しかし、「安い」というのは、あくまでも相対的なものであり、しかも、投資収益を得るには、購入より先の未来において買い入れた銘柄が高くなっている必要があります。逆に、全体として株価が高い状態であったとしても、未来において当該銘柄が買値よりも高くなっていれば、投資は成功したことになります。

翻って、今の株式市場を見渡してみると・・・

リーマンショック以降、世界中の株価は大きく下げています。しかも、オバマ氏が大統領に就任した直後にも大きく下落するなど、不安定な株価動向は今も続いている状態です。日本においても経済的な失速感があちこちで見受けられ、株価についても、現在、まだまだ先が見えない状態にあり、「必ず上がる」「上がる可能性が高い」というようには思えない状態です。それゆえ、積極的に買い進むには「勇気がいる」と誰もが思うことから、上方向になっていかない状態が続いているのだと思います。

確かに将来はわからないのであり、しかも現状、ここでは買えないという気持ちは多くの人が感じることだと思いますから、現実の株価も上向かないのも「当然」といえます。実際、これからも下がるかもしれません。

しかし、「だから」といって(長期的にみて)どんどんと下げ続けるということもないでしょう。どこかで下げ止まり、また株価は上昇していくはずです、たぶん。その時期が「はっきりしない」だけであり、資本主義が続く限り、株価は拡大するものと思います。

であれば、「すべて」とは言いませんが、そろそろ、金融資産(の内の成長性資産に振り向けてもよいと考えられる資金)の何分の1かを(株式などの)リスク資産に振り向けてもいい時期に来ているのではないでしょうか???

当然、ここから再度大きく下がれば損になるでしょうが、リターンにはリスクが欠かせませんし、リスクは確率ですから、ここまで下方向に大きく行き過ぎれば、確率的には「逆に振れる可能性も高まるはずだ」と考えてもおかしくはありません(あくまでも確率ですから、"確実"ではありませんが・・・)

そして、ここから下がった場合には、残しておいた資金で追加購入すれば、全体としての取得単価が低くなるので、将来的に上昇すれば、取り返しも可能になります(だから、「何分の1かを投資に向ける」という余裕も持った投資戦略を採る必要があります)。通常の相場では、このような買い方をすることが、必ずしも"良い投資方法"とはいえません。しかし、長期的には日本経済もこのままではないでしょうし、世界経済が回復すれば、それなりに上昇すると思います。そうなれば、それなりの投資効率を得られることになるでしょう。

とはいえ、ここで株式投資というと「それは難しい」と思う人が多いことは理解しています。今まで株式投資をしたことがないという人はなおさらでしょう。しかし、現状のような時期は、普通の相場では買うことが出来ない"本当の意味での優良会社"が、非常に安い株価になっていることが多いものです(それを見極めるのは難しいのですが・・・)。そういう意味では(長期的にみて)、将に"バーゲン・セール"なのであり、最も失敗が少ない時期なのかもしれません。

当然、むやみに何でもいいから買うというわけにはいかないので、株式投資に関しての基礎的な知識は必要ですが、バブル経済のような"株のブーム"の時期に購入するよりも、ずっと下落するリスクは低いと思います。

全ての金融資産を「株式にしてしまう」というのは疑問ですが、「株を買ってもいいなぁ」と思っている資金の内、例えば3分の1だけ買ってみるということであれば、絶好の時期なのかもしれません。

個別銘柄が難しい場合には、ETFなどもありますし、オープン型株式投資信託などでも、テーマを決めて購入すれば、それなりに長期投資でリターンが取れる可能性が高いように感じます(私が「感じている」だけであり、ご購入の際には自己責任でお願いします)。

なお、これから勉強という方も良いかもしれません。

今の経済状況であれば「あっ」と言う間にすごく高くなったというような相場(いわゆる「V字回復」)にはならないでしょうから、じっくり株式投資や資産形成の勉強をして、その上で、または、(勉強中であっても)ある程度見切り発車で、資産形成の一環として株式投資を手がけてみるには良い時期なのかもしれないと思います。

麻生首相がいうように「全治3年」とは思いませんが、3年後くらいであれば、景気の"芽"くらいは出てくるように思います。そうであれば、株価は"先"を読んで動きますから、現時点からみて1年後くらいには徐々に上昇している可能性があるでしょう。

なぜなら、株価というものは「景気に対する時間的なラグ/先行きに対する期待」が存在するからです。つまり、本当に景気が好転する可能性があると多くの人が感じるような時期が3年先とすれば、景気循環の意味で「本当に景気の芽が出始める」のは、皆が感じる時期よりも半年から10カ月ほど前になるので、現時点からみて早ければ2年後ということになります。とすれば、株価はその半年から8カ月くらい前に上昇を始めると言われているので、現時点からみて早くてほぼ1年後には、株式市場において"上昇の芽"が見える可能性があることになります。

「上昇軌道に入ってから勉強する」というのも良いとは思いますが、腰を据えて勉強できそうな時期である"今"、基本的な部分をしっかりと作っておくのも良いように感じます。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第85号、いかがでしたでしょうか。

世界のcitibankもついに国家全面救済しかないのではないか、今年に入ってからそんな声をより多く聞くようになった気がします。

私の友人は数年前まで仕事で海外に住んでいたことがあるのですが、帰国した今でも日本の住所宛に毎月、当時から使っている金融機関から手紙が届くのだそうです。

中はファンドの運用報告か何かなのかと尋ねると、それはいたってシンプルな普通預金の明細書とのことで、友人はそれを目にするたび、「この手紙が全世界に送られるコストはいったいいくらなのだろう」と思うそうです。

こうしたコスト削減がどの程度のインパクトをもたらすのかは私にもわかりません。

しかし、「古い体質ゆえの非効率」ならば、業界の垣根無く、ぜひ改めてもらいたいものです。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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