世界経済不安の08年11月、12月に株を買っていたのは一体誰なのか?|株式・資産形成講座メルマガ

  2009/2/4(水)  
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世界経済不安の08年11月、12月に株を買っていたのは一体誰なのか?

2月以降の動向は、昨年末のヨーロッパ市場の動向を見れば読み解ける!?

「11月、12月に世界の株を買っていたのは誰だったのか?」。 いま日本の機関投資家さんを回っている時によく聞かれるのが、この質問です。

 その半分の答えは、「世界中で昨年11月、12月に、10兆~13兆円のお金が、ETF(上場投信)に入っている」ということです。確か、ヘッジファンドの解約が20兆のはずですから。この金額というのは、ヘッジファンドで減ったお金の半分がETFに入っているということです。

 そして、もう半分の答えは、12月からずっと買い越しているヨーロッパの投信などの動きです。


ヨーロッパの投信では、8兆円の資金流出が起こっていました。もともと残高がアメリカの半分しかありませんから、アメリカ並みに大きく傷ついたということです。

今回、私がヨーロッパにインタビューに行った時も、イギリスとフランスの投資家は動いていませんでした。他方、スイスの投資家について、チューリッヒは壊滅的な打撃を受けていますが、大金持ち地域のレガロを控えるジュネーブは動いていました。 こうした状況の中で、おしなべて強かったのがドイツです。



スイスやフランスは売らなくなっただけであり、この時期に買いに行っていたのはドイツ投資家だけで、この動きがヨーロッパ市場の動向と符合しています。

 日本で言えば野村アセットや大和投信にあたるDWS(独機関投資家向けファンド・マネージャー)やDIT(独ミューチュアルファンド・マネージャー)などのスタッフの方と話していて判ったのは、「個人投資家が強気になった」ということです。  ファンド・マネージャーは、怖くてまだ動けなかった。しかし個人投資家は、「これだけドイツや世界の株が下がったのだから買いに行くべきだ」と考えたということです。

 この動きは、日本の株にも影響を与えました。



12月のたった4週間でグローバル株を2兆5000億円も買っており、これが日本株に流れ込んだから上がったというわけです。  この時に香港株や中国株が上がったのも、実は彼らのおかげです。  中南米、ロシア、東ヨーロッパは相当に下がっているけれども、中国や香港は「57兆円も公共投資しているのだから、これは上がる」と信じて買いに行ったというわけです。  それがいま十分なリターンを得ている背景になっているのだと思います。

 しかし、いま上がってしまったのでドイツ投資家の動きは鈍くなってきています。  そのことからも、2月以降は彼らの元気も落ちる。ETFは買いに行きますが、基本的には底まで下がってから買いに行く。そうなると2月半ば以降になるでしょう。 ですから2月の最初の2~3週は、真空状態になると私は見ています。

講師紹介
大前研一
バークレイズ・キャピタル証券株式会社
チーフストラテジスト
宮島秀直

1月15日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第80回 『「かんぽの宿」は本当に「安すぎる」の?!?!』

現在、「かんぽの宿」の売却について総務大臣が異議を唱えているため、日本郵政が考えている"一括売却"ができなくなっているようです。「安すぎる」ということが総務大臣として「問題」ということなのですが、どうなのでしょうか?

実際、「今までも建設費より格段に安い価格で売却していた」ということなので、本来、「建てるべきではなかった」という議論はあってしかるべきでしょう。したがって、建設を決定した役人についての責任追及は、この際、しっかりと行うべきだと思います(この辺りの追及が非常に甘いように感じますが・・・汗)。

しかし、「だから、もっと高く売るべきだ」というのは、少し議論として「違う」ように思います。情においては「そんなに安く売却するなんて・・・」という気持ちはわからないではありませんが、民間企業が経営をするとなると"採算"の面から現在の購入価格を考える必要があります。

この点に関して大臣は「ホテル業の常識では客室稼働率が70%を超えていて赤字というのはおかしい」と言っています。つまり、「宿泊代が安すぎた」ということが問題であり、適正な(宿泊)料金設定にしていれば、「黒字になる」のだから、その点を価格に反映すべきであり、反映していれば「もっと高い価格になるはずである」ということなのでしょう。

「かんぽの宿」について私自身が詳細に分析したわけではないので、軽々に言うべきではないのでしょうが、報道から聞こえてくる大臣の"論拠"だけから判断しても"価値が非常に低いホテル"といわざるを得ないように感じます。

これまでの大臣の弁を端的にいえば、宿泊代金を高くすれば「利益は出る」という主張なのだと思います(つまり、「利益が出る」ことを前提に価格を決めるべきであるということだと思います)。しかし、料金設定を高くすれば客数は減少するはずですから、一概に「料金が問題」とは言えないと思います。

例えば、通常、非常に客室稼働率が高く、予約も容易には取れないくらいの人気があるというなら、料金引き上げによっても大きく稼働率が減る可能性が低く、客単価が高まる可能性があり、営業利益が高まることも考えらます。けれども、客室稼働率が70%を超えているにもかかわらず「赤字だ」ということは、言い換えれば、赤字になるくらい安い料金なのに客室稼働率は伸びなかったということになります。

したがって、ここで料金を引き上げれば、そのまま稼働率が下がるので赤字は解消できないということが想像できます(あくまでも「想像」であり、本来はしっかりと経営分析を行う必要がありますが・・・)。

しかし、本来「かんぽの宿」が儲からない理由は、イニシャル・コスト(建設の初期費用)が莫大にかかり、その償却分をランニング・コスト(ホテル等の事業運営費用)とともに支払っているので「赤字」になっているからであると予想できます。この予想が正しいとすれば、当初の建設費を考慮して(高い価格で)民間に売却をすると、たとえ民間といえども「赤字になる」ことが容易にわかります。

つまり、「かんぽの宿」はそもそも「建てる費用(イニシャル・コスト)が高すぎた」のであり、それがために「赤字経営に陥っている」ということなのだと理解できます。また、「かんぽの宿」の中には、現時点でランニング・コストさえ出ないような物件も多くあり、「良いものも悪いものも一括して売却しなければ、買い手が見つからない」という日本郵政の言い分も理解でき、"一括売却"という判断には「十分な合理性がある」ように思います。

したがって、「イニシャル・コストが高かった」という問題(これは「官」の問題)と現時点の「売却」の問題とは切り離して考えるべきであり、ことさら売却問題だけを取り上げ、「こんな立派な建物をどうして」などと言うのは、如何なものかと思います。

このように「かんぽの宿」を問題視するのは、現麻生政権の小泉政策に対する完全な訣別を印象付けたい、という考えが透けて見えるように感じます。

現在、不況について多くのエコノミストは、「新自由主義」「市場原理主義」の考え方が悪かったと考え、その流れで「郵政民営化」に代表される「規制緩和」「官から民へ」の政策自体が「宜しくなかった」というのが小泉政権に対する総括になりつつあります。

このような中にあっては、やはり、現麻生政権は「小泉政権とは違うのですよ」ということを国民に対してアピールしたいと思うのも頷けます。

だから、敢えて参議院本会議の質疑において身内である自民党議員から「経済財政諮問会議や規制改革会議などを廃止すべき」という発言をしてみたり、「かんぽの宿」について"言い掛り"とも思える行動を採っているのだと思います。

「郵政民営化」が正しかったのか否かは別として、やりやすいところだけ規制緩和(教育、福祉、雇用など)をし、抵抗が激しそうな部分の規制緩和(公務員改革や正規非正規一律賃金など)を先送りしてしまった小泉政策は問題も多く、現在の不況の一翼を担っているのは確かだと思います。

しかし、こと「かんぽの宿」に関しては、"民"の方(オリックスや現在の日本郵政)を非難し、そもそもの問題である"官"の方(「かんぽの宿」を建てた時の役人)を責めないのは、如何にも不自然であり、これでは誰も現政権を信用しなくなってしまうと思います(すでに信用している人はかなり少ないでしょうが・・・)。

「(民・官)どちらを向いて仕事をしているのか」は、国民すべてがしっかりと監視すべきでしょうね。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第86号、いかがでしたでしょうか。

流行語大賞や今年の漢字など、その年を反映する類のイベントが幾つかあります。

そろそろ選考会が行われるサラリーマン川柳もその一つですが、この間、年金分野を専門にされている方の講演を聞きに行ったところ、最近は年金に関する応募川柳が増えてきているのだそうです。

昨年皆さんのお手元にも年金特別便が届かれたことと思いますが、この照合作業が完全に完了することは正直不可能に近く、また、就労当時の勤め先企業による申請漏れ等により記録の存在しない方などは本当にお気の毒としか言いようがありません。

さらに一方で、支給力維持のためには未納者に対する対応措置も欠かせません。

払いたくないが貰いたいというのが人間の性かもしれませんが、一度ゼロベースで仕組みを見直す必要があるように思います。

最後に昨年の大賞を一句、
「脳年齢 年金すでに もらえます」

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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