リーマン・ブラザーズ・ショック後も、「株価下落、5カ月サイクル」は生きている!? 要注意は6月末!!
世界の株式市場(米国、欧州、日本)で「1週間単位の出来高」が、400億株を超えるとマーケットはグラグラし始める。そして500億株を超えるとマーケットは下がり始める。600億株を超えるとマーケットは急落する。 下のグラフを見ていただくと、それが毎回、5カ月おきに繰り返されていることが分かります。
1回だけ、このサイクルが崩れたことがあります。
それが昨年9月15日にリーマン・ブラザーズが破綻した時です。156年間続いた会社が破綻したことにマーケットが驚き、この5カ月サイクルが崩れて、4カ月サイクルになりました。
しかし、その後また、いつものスタンスを取り戻し、それから5カ月後の今年2月9日にマーケットが破綻しました。その日からマーケットが下落し、しかも下落幅がリーマン・ブラザーズの時と同じ24%。5カ月ルールは、まだ生きていると言えるでしょう。
そうなると、これから5カ月後の「今年7月9日にマーケットが下落」する可能性が高いのではないでしょうか。
前後1~2週間のズレがありますから、おそらく6月末から7月初頭にかけてマーケットがグラッとくる可能性があるということを念頭に入れておいて下さい。
欧州の機関投資家と話をしていると、「おそらく欧州から起きるのではないか?」という意見がよく出てきます。
そう考える理由としては、以下のようなことが挙げられます。
○匿名性排除により、スイスから資金がすごい勢いで流出していること
○リヒテンシュタインのように50年以上の歴史を持つオフショアがつぶれかかっていること
実際にスイスの隣の「アングリア」というオフショアが破綻しました。それくらい、今、オフショアから資金が引き上げられていて、関連するスイス大手銀行が取り付け騒ぎ寸前になっています。こうした状況は、意外とマーケットでは知られていません。ちょうど先週くらいに、やっと金融機関の名前が出始めているといった状況です。
おそらく、それが6月末以降にグラッとくるかもしれないと私は予想しています。
しかし今回は、(表現が悪いかもしれませんが)シティバンクが破綻するわけではなく、スイスの大手銀行が破綻するわけですから、「マーケットは一瞬クレバス的な下落はするけれども回復するタイミングは早い」のではないでしょうか。
とはいえ、8,000円割れや7,500円のような一瞬ヒヤッとする下落が、6月末あたりに起こる可能性はあるかもしれません。例えばGMのリストラのピリオドが6月末であり、およそ50~60万人のデトロイトの従業員が解雇される見込みです。非雇用者が増加すると、やはりマーケットは下落します。
デトロイトの大きな解雇、スイスのオフショアマーケットが大きな変革期を迎えている、などのインパクトがちょうど6月末近辺に起こり、マーケットの下落が生じる可能性はあるのです。
■過去100年のリセッション時の期間/株価下落率/GDPなどから世界経済を読み解く
ファンダメンタルだけを見た場合、日経平均が7000円を割るとは思えないことを示すのが、私がまとめた「過去100年のリセッション時の期間/株価下落率/GDP/失業率」のグラフです。
1950年までのデータはさまざまな国際機関が持っていますが、それ以前の1930年代・1940年代はIMFも設立されておらず、最後にたどり着いたのが国連日本本部の持っていた「国際連盟による、1920年代からの世界のGDP成長率平均値」という紙ベースのデータでした。
ただし国際連盟なので基本的には先進国のみ、しかも当時は加重平均ではなく単純平均しか行っていません。このグラフの数字はすべてプラスになっておりますが、それは1920年代のデータに合わせる必要があったからです。今年のデータは、実際にはマイナス1.5%の予想ですが、このグラフではプラスになっています。なぜそうなったかというと、単純平均のデータしかない1920年代にベースをあわせたため...ということをあらかじめお断りしておきます。
しかし、逆に言うとベースを合わせていますので、ギャップや影響力の違いは同じです。
よく言われているように、もし現在の世界経済が大恐慌なみに悪化しているのならば、「2007~2008年のGDP成長率ボトムが0.71」という数字は強すぎます。
つまり、現在の世界経済が大恐慌と同じくらい悪いとは言えないと私は思います。
失業率も1920年代が25.4%だったのに対して、中国の失業率がなかなか上がらないおかげで、いま世界の失業率は5.7%です。1920年代には存在しなかった中華人民共和国が、いますごく世界に影響を与えており、おそらく来年には日本のGDPを抜くでしょう。
その国がこれだけ経済成長を示していると、世界経済はなかなか悪くならないと言えるのではないでしょうか。
ただし0.71であっても、これはかなり悪い数値です。第4次中東戦争とレーガンショックの中間くらい悪い状況だと思います。
第4次中東戦争と言ってもピンとこないかもしれません。
私は当時高校生でしたが、まずまずの経済環境だったはずのクラスメイトが学校の制服や教科書が買えない。それくらいに経済が厳しくなり、日本の景気はどうなるのかという不安が広がった時代でした。
1981年のレーガンショックの時は、GDP成長率ボトムが0.97で今よりはいいのですが...。
私は当時アメリカに住んでいたのですが、夜10時以降のテレビ放送ではCMがほとんどなく(スポンサーがいない)、代わりにテレビでは夜中まで地域の職業安定所の電話番号を告知するCMが流れ続けていました。それくらい当時の米国は景気が悪かったのです。
その当時よりも、現在のアメリカの経済状況のほうが悪いということは念頭に入れておいたほうがいいと思います。
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