日銀短観と機械受注から次なる株価上昇局面を読む|株式・資産形成講座メルマガ

  2009/7/22(水)  
最新・最強・最高クオリティの
Message
第108回目発行!株式・資産形成講座メルマガです。
メルマガをご覧の皆様、こんにちは!
ビジネス・ブレークスルー 株式・資産形成講座事務局の一戸です。
このメルマガでは、皆さんの資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびにプロとして活躍している 一流講師陣の視点から、毎週リアルタイムにお届けしていきます。
あなたの理想とする資産運用、資産形成を実現するためのとっておき情報を、どうぞご覧ください。

本文タイトル
日銀短観と機械受注から次なる株価上昇局面を読む

日銀短観に注目すると、景気が回復に向かいつつあるのは間違いないが...

最近の≪経済指標の結果≫の中から、注目のイベントをピックアップしてみましょう。今回は、「景気(日銀短観)」と、景気の先行きを判断するための「設備投資(機械受注)」の二つを取り上げます。



まずは、「景気(日銀短観)」です。日銀短観は、「良い」から「悪い」を引いたポイントで、「0(ゼロ)」が景気判断の分かれ目になります。10ポイント上がっていますが、2003年の水準よりも低い、2007年から下落がずっと続いているという恐ろしい結果です。



また「中小企業の製造業/非製造業の短観」を見てみると、こちらも少し横ばいになっており、非製造業のほうは悪化しています。 景気がよくなりつつあるのは間違いないとは思いますが、これがそのまま回復に向かうかというと、まだそういう状況にはないなということが読み取れます。


■景気回復の判断ポイントの一つが「機械受注(設備投資)の下げ止まり」



さて次に、将来に向けた設備投資などが反映された指標である「機械受注」を見てみましょう。有効求人倍率と同じように、機械受注もまた、「数カ月先に需要が回復する」あるいは「今の設備では足りない」ということになれば、どんどん設備投資をして機械受注額が増えるということになるわけです。

例えば、1987年、あるいはバブル崩壊の88年、89年くらいまでは、機械受注がすごい右肩上がりで増えていきました。やはり日経平均株価が、最高値3万8,957円44銭まで高騰したのは伊達ではなかったわけです。先行して設備投資額が増えていたからこそ、そこまで伸びたということが言えるのではないでしょうか。 しかし今回はまだ下がっており、87年近辺のレベルまで下落している状況です。

やはり景気回復にとっては、設備投資額が回復してくることが重要です。将来、需要が伸びると思えば、設備投資せざるをえませんから、そうすれば機械受注は増えて当たり前。それが増えていないならば、最低限、今の需要よりも増えることは無いということです。 現在は、1987~89年頃の急上昇は望めないまでも、少なくとも横ばい状態から上向きです。過去の推移を見てみると、止まってからしばらくジグザグを繰り返し、設備投資額が上向き始めるまで数カ月かかっています。今回も、底打ちした後に設備投資が数カ月伸びない時期を経て、そこから初めて上がり始めるだろうと予想されます。

重要なのが、「株価が、その辺りを織り込んでくるか否か」、そして、結果を見てから動いたのでは出遅れてしまうので、「株価がそのあたりを見越して動いてくるか否か」を常にチェックしておくことです。 株価は3~6カ月先を見て動いている状況ですから、一旦下げ止まりから段々と上に行き始めると株価上昇ということになるかもしれません。そのあたりから本格的に投資を始めるというのもよいでしょう。見極めのポイントは、「機械受注がいちばん右側で下げ止まる」ということです。将来を読む上では、これが重要な指標になると思います。



講師紹介
大前研一
株式会社インベストラスト 
代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之

7月9日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第102回 『投信って良いの?!?!』

ボーナス・シーズンということもあり、6月・7月は新規の投資信託も多く設定され、積極的に販売されています。特に今年は、円高が急激であったこともあり、外貨建ての投信が多いようです。でも、リーマンショックによって株式が大きく下落しているので、目先の動向はともかく、長期運用ということであれば、国内外の株式を組み込んだ投資信託を検討してみるのも良いかもしれません。

しかし、「もう投信はこりごり」という方も多いかもしれませんね(汗)

分散投資をしているから、個人で投資するよりも(リスクが軽減されているので)安全と思って購入したにもかかわらず、ここ半年で2割、3割下落している。このようなことなら、自分で株式投資をしていた方が、下がっても納得できる。結局はブラックボックスだから、何をしているのか分からない。・・・などなど、投信の不満や憤りは、あちこちから聞かれます。

また、手数料についてもなかなか納得できませんよね。これだけの損を出しているのに、信託報酬はちゃっかり取られます。そもそも株式を購入する時よりもはるかに高い手数料を支払っているのに、「この成績では・・・」というぼやきが出るのは致し方ないことだと思います。

実際、「今回のような下落」に対しては、投信、というか、分散投資という投資方法の短期的な効果は「ほとんどない」と言っていいでしょう。一般的に「分散投資の効果」という場合、高くなった銘柄と安くなった銘柄が混在していることから、「リスク」を相殺できるのであり、すべてが下落した時には、リスクそのものを制御することはできません。つまり、このような相場において投信は、個人で株式等をしているのと同じということになります。

・・・であれば、「投信は意味ない」ということになるのでしょうか?

そうかもしれませんね(汗)

でも、投資スタンスをしっかり持っているのであれば、投信も効果的な資産形成ツールだと私は思っています。「投信も効果的な資産形成ツール」という点についてお話をしたいのですが、まずは「リスク」について解説します。

「リスク」ですが、一般に「危険性」と訳されますが、金融の世界では通常の「危険」とは違うということには注意が必要です。金融の世界で「リスク」といえば、「収益率の変動幅」を指すことになっています。つまり、長期的に「ある収益率」が存在していても、短期的にはいろいろな事象が発生するために乱高下します。その乱高下の幅が大きいほど「リスクが高い」ということになっています。

ここで「ある収益率とは何?」と思われるかもしれません。

このようなモノが存在するのかと疑問に思うかもしれませんが、株式投資の場合、基本的にこのような「収益率」が存在するものとして考えます。なぜならば、一般に企業は利益を生むための主体なので、長期的に存在するという前提で考えれば、短期的にはばらつきがあるとしても、平均的にはプラスのリターンを生みだすはずです。なので、それに対応して、株価も長期で考えれば「ある収益率」を目指して成長するはずだということになるからです。

まぁ、倒産する企業もありますし、想定以上に成長する企業もありますから、個々の企業の株式に「ある収益率」が存在しているのかという点においては難しいということになります。けれど、少なくとも「倒産をするために設立している株式会社はない」ので、上場している企業は、利益を稼ごうとして経営をしていることだけは間違いありません。したがって、株価もプラスのリターンがあるものとして形成されるといっても問題はないはずです。

また、例えば、GDP(国内総生産)は国内の付加価値の合計であり、付加価値は企業によって作られるわけですから、GDPが今後さらに成長すると考えられる国の企業は、高いリターンを見込むことができます。つまり、「ある収益率」が高いということになります。

・・・であれば、その国の株式を買えば、長期的にはその「ある収益率」を得ることができることになります。とはいえ、先ほどお話ししたように倒産する企業もありますし、それほど収益が伸びない企業もあるので、1つだけ買ってみても当たり外れがあります。なので「全部買いましょう」というのが投信の考え方になるわけです。全部買ってしまえば、企業間で凸凹があっても、その凸凹がお互いに調整しあうことにより、長期的には「ある収益率」に収斂してくることが期待されます。

これが投信の長期的な分散効果なので、よく「投信は長期で持ちましょう」というのは、これが根拠になっています。

また、短期で考えた場合でも、企業の損益にはばらつきがあるので、日々の経済状況、政治状況などの外部要因等によって、株価は上下にはげしく変動することになります。しかも外部要因による影響は一様ではないので、ある出来事によって、ある銘柄は上昇し、ある銘柄は下落するということが起こります。このような日々の乱高下を、個別に予想することは難しいのですが、多くの銘柄を一度に保有しておけば、個別株価の凸凹がお互いに調整しあうため、乱高下の幅が小さくなることが期待できます。これが投信の短期的な分散効果になるわけです。

以上のように投信には・・・

1.長期的な分散効果:長期的にはある収益率に収斂してくる
2.短期的な分散効果:株価の凸凹が調整しあうため、乱高下の幅が小さくなる

この1.2.があることが分かります。

このうち、リーマンショックによって「2.の効果」が失われ、多くの人が大きな損失を被ったことになります。つまり、日々の動きであれば「株価には凸凹がある」ということから乱高下が小さくなるはずだったのですが、一斉にすべてが同じ(下落)方向に動いたものですから、分散効果がなくなり、大きく下落したということです。

では、「だから投信は駄目」なのでしょうか?

確かに「2.の効果」だけを狙って購入したのであれば、効果はないので、投信は購入しない方が良いと思います。しかし、本来投信とは「1.の効果」を狙って購入するものですから、購入時に想定した長期的な「ある収益率」というものが、現時点で崩れていないのであれば、この下落は「一時的」と考えていいわけです(その「一時」が長いのですが・・・)。

このように投信は「上がっているから良い」「下がっているから悪い」というようなものではなく、長期的な「ある収益率」が想定できるものを購入すべきであり、また、その点を購入の目的にする必要があるということになります。そのためには長期的なビジョンの「実現性がどうなのか」という点が問題であり、その点を考慮すべきだと思います。

そういう意味では、現在、市場はかなり冷静な動きをしている時期なので、いろいろと考えられる時ではないでしょうか。また、5年先、10年先を見据えた投資を考える場合には、個別の企業よりも、グループや国、地域という範囲で考える方が「実現性が高い」と思われるので、投信という資産形成ツールも研究してみては如何でしょうか。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第108号、いかがでしたでしょうか。

私の運営する株式・資産形成講座の受講生さんに、受講前後で大きく変わったことは何かと尋ねると、必ずと言っていいほど返ってくる答えの一つに「保険の見直し効果」があります。

いざという時の「安心」を買っておくことは大切なことですが、以下のような「かけ過ぎ」と思えるケースも多いようです。


1.子供が成人して自ら保険をかけ始めても、引き続き親が子供への保険をかけている
2.「安心」の名のもとに、一人に対して同内容の保険を複数かけている
3.年齢と共に高額になる生命保険の内容を見直さず、老後の生活資金である年金の数割が生命保険料になっている


この他にも、必要に足りる保険はかけているにも関わらず、安いからという理由だけで月2~3千円程度の保険を別にかけていたりするケースもあり、「そうした分は貯金や運用に回した方がずっといいのに」と思うことが多々あります。

手持ちの100万円を今よりもう1パーセント高い利回りで運用するにはどうしたらいいか悩むより、今契約中の保険が過剰ではないかを見直す方がずっと得だった・・・。

皆さんのご家庭でもそんな話、潜んでいませんか?


来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

株式・資産形成講座
一戸

| 配信停止 | お問い合わせ | 個人情報保護方針 |

copyright(C)BUSINESS BREAKTHROUGH Inc. All Rights Reserved.

資産形成について少しでも知識を高めたい方はまずは無料講義体験へ。

  • 無料講義体験
  • 講座申込み