日銀短観に注目すると、景気が回復に向かいつつあるのは間違いないが...
最近の≪経済指標の結果≫の中から、注目のイベントをピックアップしてみましょう。今回は、「景気(日銀短観)」と、景気の先行きを判断するための「設備投資(機械受注)」の二つを取り上げます。
まずは、「景気(日銀短観)」です。日銀短観は、「良い」から「悪い」を引いたポイントで、「0(ゼロ)」が景気判断の分かれ目になります。10ポイント上がっていますが、2003年の水準よりも低い、2007年から下落がずっと続いているという恐ろしい結果です。
また「中小企業の製造業/非製造業の短観」を見てみると、こちらも少し横ばいになっており、非製造業のほうは悪化しています。
景気がよくなりつつあるのは間違いないとは思いますが、これがそのまま回復に向かうかというと、まだそういう状況にはないなということが読み取れます。
■景気回復の判断ポイントの一つが「機械受注(設備投資)の下げ止まり」
さて次に、将来に向けた設備投資などが反映された指標である「機械受注」を見てみましょう。有効求人倍率と同じように、機械受注もまた、「数カ月先に需要が回復する」あるいは「今の設備では足りない」ということになれば、どんどん設備投資をして機械受注額が増えるということになるわけです。
例えば、1987年、あるいはバブル崩壊の88年、89年くらいまでは、機械受注がすごい右肩上がりで増えていきました。やはり日経平均株価が、最高値3万8,957円44銭まで高騰したのは伊達ではなかったわけです。先行して設備投資額が増えていたからこそ、そこまで伸びたということが言えるのではないでしょうか。
しかし今回はまだ下がっており、87年近辺のレベルまで下落している状況です。
やはり景気回復にとっては、設備投資額が回復してくることが重要です。将来、需要が伸びると思えば、設備投資せざるをえませんから、そうすれば機械受注は増えて当たり前。それが増えていないならば、最低限、今の需要よりも増えることは無いということです。
現在は、1987~89年頃の急上昇は望めないまでも、少なくとも横ばい状態から上向きです。過去の推移を見てみると、止まってからしばらくジグザグを繰り返し、設備投資額が上向き始めるまで数カ月かかっています。今回も、底打ちした後に設備投資が数カ月伸びない時期を経て、そこから初めて上がり始めるだろうと予想されます。
重要なのが、「株価が、その辺りを織り込んでくるか否か」、そして、結果を見てから動いたのでは出遅れてしまうので、「株価がそのあたりを見越して動いてくるか否か」を常にチェックしておくことです。
株価は3~6カ月先を見て動いている状況ですから、一旦下げ止まりから段々と上に行き始めると株価上昇ということになるかもしれません。そのあたりから本格的に投資を始めるというのもよいでしょう。見極めのポイントは、「機械受注がいちばん右側で下げ止まる」ということです。将来を読む上では、これが重要な指標になると思います。
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