電気自動車とリチウムイオン電池市場は、今後、巨大マーケットに成長する!?
数ある環境関連株の中でも、最も注目すべきなのが電気自動車とリチウムイオン電池です。
その理由は、2005年から2007年にかけて海外ピュア太陽電池およびピュア風力タービンが話題になった時、関連銘柄が大きく動いた経験則があるからです。
どんなに社会的な意味があっても、株価が動かなければ株式市場にとっては無意味です。その点で太陽電池と風力タービン関連銘柄は、注目が集まっただけではなく実際に買われており、しかもかなりの期間上がり続けました。この出来事を根拠に私は、「電気自動車とそれに関わるリチウムイオン電池関連銘柄も同様の動きになる」と予想しています。実際にすでに動意づいてきています。
電気自動車とリチウムイオン電池関連銘柄の話をする前に、まずは「リチウムイオン電池とは何か?」について簡単に説明しておきます。
リチウムイオン電池とは、使い切っても再充電すれば何度でも使える二次電池の一種。コンパクトで、エネルギー密度が高いなどの特徴を持っており、携帯電話やパソコンをはじめさまざまな機器に使われています。いまハイブリッド車に使われているニッケル水素電池は、サイズが大きくなってしまうというデメリットもあり、将来的にリチウムイオン電池に推移していくだろうと言われています。
例えば、ある外資系証券が作成した『2020年のリチウムイオン電池市場拡大ベストケース』では、現状、ほとんど民生用蓄電池中心であるものが、2010年、2011年にかけて電気自動車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車など自動車用途がどんどん増えていくと予想しています。民生用も伸びを示してはいるものの、それほど大きくはありません。しかし自動車関連向けは、何十倍という規模で伸びていくと予想しています。もちろん本当にそうなるか否かは保証の限りではありませんが、もしも諸般の事情でシナリオ通りに行かなかったとしても、リチウムイオン電池の需要が減ることなどない。私はそう考えています。
■2010年から2012年にかけて、国内外の主要自動車メーカーが電気自動車を続々発売!
では、これから電気自動車はどれくらい普及するのでしょうか。当たり前ですが、その普及は、「自動車メーカーが今後どれだけ電気自動車を発売するのか?」にかかっています。
2012年にかけて発売が予定される電気自動車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車の中で"リチウムイオン電池搭載車"は、日本ではトヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、三菱自動車、スバル、海外ではGM、フォルクスワーゲン、フォード、ルノー、ポルシェなど、来年から再来年にかけて国内外の主要自動車メーカーから次々に発売される予定です。
これは私見ですが、これまで幾度となく、他の動力源だった物が「電力」に取って代わられてきたことから考えると、自動車も当然にそうなってくると考えています。オバマ米大統領の政策も後押しし、環境問題に対する関心の高まりは、もう後戻りしようがないのです。
日本の自動車メーカーの中で、電気自動車にいちばん積極的に取り組んでいるのが「日産自動車」です。ハイブリッドではトヨタやホンダが先行し、日産もそれに追いつこうとしていますが、その一番の狙いは電気自動車にあると考えていいでしょう。日産は、2012年に20万台の生産体制を見込んでおり、ちなみに電気自動車をすでに発売している三菱自動車では、2013年に3万台の生産体制を見込んでいます。
■「電気自動車普及のハードルは意外と低い!」、3つの理由
現状のリチウムイオン電池に関して言うと、まだ、ややコスト高です。これはハイブリッド車も実は同じで、高コストだけれども補助金が出ているから(ガソリン車と)同等くらいになっています。しかし価格・デザイン・性能が、ガソリン車と見合うものであるかというと少し疑問だと思います。
それでは何故、今後の電気自動車の普及予想がこんなに強気なのか?
それには3つの理由があります。
(1)社会的メリットに伴う補助金制度が出てくることが予想される
(2)量産効果に伴う生産コスト低減
(3)充電インフラを普及させるハードルが以外に低い
充電インフラの整備・普及は、何兆円もかかる国の事業だ...と多くの人は考えています。しかし1~2分で充電を行う急速充電器は、設置費用を含めて1台約700万円。ここからが凄いのですが、東京電力が2006年から行ってきた実証調査によると、「東京都内であれば、現在走行している自動車に必要な電力量を、最低84カ所の充電設備でカバーできる」のだそうです。
ガソリンスタンドに比べると圧倒的に少ない84カ所で済むのだから、1カ所に急速充電器を2台ずつ、つまり168個設置したとしても、その費用はたかだか12億円です。やろうと思えば、国に頼らず、東京電力単独でもすぐに実現しそうな額ではないでしょうか。さらに、いま都心の新築マンションには、急速充電器設備が設置されている例も多くなっています。社会全体で、そういう流れになりつつあるということだと思います。
他にも電気自動車普及を巡る動きでは、ルノー・日産がアライアンスのパートナーシップを各国と組んでいることを挙げておきましょう。日本でも、横浜市がいち早く導入したのは、マスコミ報道でご存知の方も多いと思いますが、各国政府や自治体とのアライアンスのニュースは日本ではあまり知られておらず、実はこうした動きはここ数年、急速に広がっています。
このあたりの動きは、なかなかピンとこないと思いますが、実際に電気自動車が発売される時期はもう目前に迫っています。ある一時期から急に話題になる可能性があるでしょう。
■今後大きな動きが予想されるのは、リチウムイオン電池メーカーおよび部品メーカーの株価
先ほど日本の自動車メーカーで、電気自動車にいちばん力を入れているのは日産自動車だという話を致しました。では、「その日産にリチウムイオン電池を供給するのは誰なのか?」。それを説明するために、ここでは日産系サプライヤーの話をします。
まず電池メーカーでは、日産とNECの合弁会社である『AESC(Automotive Energy Supply Corporation)』。2009年に生産を開始し、2010年には5万台規模の生産能力を確保する見通しです。そのほかの部品では、銅箔では古河電工、正極材は日本電工、負極材は日立化成、電解質塩はステラケミファや関東電化工業などのメーカーを挙げておきます。
実際にステラケミファや日本電工はそれなりに株価が動いていますが、日産とNECが合弁で電池メーカーを設立したことは、株式市場でもまだあまり話題になっていません。将来的には、NECの主力事業になっていくことは間違いないでしょう。"リチウムイオン電池といえばNEC"という時代が来る可能性もあります。このほかにも、例えばトヨタなら、トヨタが60%、パナソニックが40%出資する『パナソニックEVエナジー』。ジーエス・ユアサ・バッテリーが51%、三菱商事が34%、三菱自動車が15%出資する『リチウムエナジージャパン』など、リチウムイオン電池関連の会社がたくさん登場しています。
場合によっては、これらの会社が上場してくる場合もありますし、いずれにしてもリチウムイオン電池に関わっている企業の株価は動いていくでしょう。鳩山新総理も、温室効果ガスを2020年に1990年比25%削減との目標を掲げていますので、電気自動車とリチウムイオン電池関連銘柄は今後も注目され続けると思われます。
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