金保有量およそ3,200t!IMFが金融危機を救う|株式・資産形成講座メルマガ

  2009/10/7(水)  
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金保有量およそ3200t!IMFが金融危機を救う

IMFが保有する金で途上国を救済

国際通貨基金(IMF)は9月18日の理事会で、自らが保有する金403.3トンを売却することを決めました。現在の市場価格で約130億ドル(約1兆1900億円)、金融危機の打撃が深刻な新興・途上国向け融資の原資に充てます。各国の中央銀行や公的部門への相対取引なども利用し、金相場への影響は最小限にとどめる方針とのことです。



現在IMFは3200トンもの金を保有しているようですが、これほどの量の金を保有していたとは、私も知りませんでした。調べてみると、まだ金が主力であった1978年以前に取得し、長い間溜め込んでいたものが2800トンもあります。78年以降に取得したのは400トン余りです。結果的に、現在の市場価格で見ると10兆円近い資金を保有していることになります。

とはいえ、金を一気に市場に開放されてしまったら金相場が大暴落してしまいますから、各国の中央銀行や公的部門への相対取引を利用していくということでしょう。端的に言えば、IMFの財布の中身を金からキャッシュに替え、例えば中国の財布の中身を金に替えていくということです。

金の価格が乱高下しますからこの方法が上手く機能するかどうか疑問視する意見や、日本が投じた10兆円という規模に比べると小さいという意見もあるでしょう。しかし、現実的に1兆円以上の資金を投入して途上国、特に東欧系の国を今のタイミングで救済するというのは非常に効果が高いと私は思います。

また、もし各国の中央銀行や公的部門との相対取引が上手く成立しないというならば、救済対象である途上国に金を譲渡するという方法も考えられます。そして、それぞれの国がIMFから受け取った金を自ら売却することで資金を得れば良いのです。

10兆円規模の金をIMFが溜め込んでいたとは、私も驚きましたが、ぜひ有効に活用して金融危機で打撃を受けた国の救済に役立ててもらいたいと思います。


●金融緩和を継続せざるを得ない中国

中国大連で開かれていた夏季ダボス会議が12日閉幕しました。会議では中国に対して世界経済の成長エンジンの役割を期待する意見が相次いだ他、投資資金の出し手としての評価も多くあがりました。また、中国人民銀行の蘇寧副総裁は17日、北京で開いた政府の会合で「当面は経済の安定的な発展を保つのが金融政策の重要な責任であり、今年後半から来年にかけても適度に緩和的な金融政策を継続する」と表明しました。

中国人民銀行の蘇寧副総裁は金融緩和を継続するという発表をしていますが、より正確に言えば、「金融緩和を継続せざるを得ない」ということだと思います。現在のタイミングで金融緩和をストップしてしまったら、中国の市場は暴落してしまうからです。

ただ一方で、どのタイミングで金利を絞っていくかということにも、中国の関係者は神経質になっているでしょう。というのは、貸出金利が低下したことで大手銀行が減益になるという事態が目に見えてきたからです。

香港市場に株式を上場する大手商業銀行6行が発表した1~6月期決算は6行中4行が前年同期比で減益になっています。6月末の貸出残高は半年で25%増えていますが、貸出金利の低下に伴う利ザヤ縮小で収益が減少しています。



具体的に貸出残高と金利収入の状況を見ると、前年同期比の金利収入は6行全てマイナスに転じています。交通銀行と中国建設銀行を除くと、その割合はマイナス5%~15%とかなり大きな数字になっています。こうした事態に加えて、この後不良債権化が始まってくるといよいよ中国の大手銀行が厳しい状況に追い込まれてしまうでしょう。



中国の政策金利の推移を見ると、2008年には7%を越えていたものが急速に下落し、現在は5.31%という水準になっています。日米の政策金利に比べれば非常に高い水準ではありますが、未だ下落傾向にあることは間違いありません。

今はまだ継続せざるを得ない金融緩和ですが、金融緩和が長期化すれば、銀行収益はさらに低迷する可能性は極めて高いでしょう。大手銀行への影響を考えつつ、今後中国がどのタイミングで金利を絞るという判断をしていくのか、注目していきたいと思います。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

9月20日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第111回 『鳩山政権の出足は好調、しかし、この円高は?!?!』

鳩山政権誕生から2週間ほどですが、鳩山首相は、国連デビューの後、IOC総会出席など、積極的な外交により、海外での知名度は徐々に高まってきているように思います。「だから」というわけではないのでしょうが、円は90円/ドルを突入し、88円/ドル台を付けました。

「円高」は日本通貨の価値が高まっているわけですから、悲しむことはないともいえますが、現時点ではいろいろと難しい問題を引き起こします。

一般に良く知られているように、円高になれば、輸出産業の円ベースの売上が減少するため、外需依存の強い日本では、直接、景気を押し下げることになります。しかし、これだけではなく、円高は輸入品の円ベースの価格を低下させます。これによってスーパーなどでは「円高還元セール」を行ったりします。「セール」という形で大々的に行わなくても、輸入品の価格が低下することにより、消費者は国内製品よりも輸入品を選別するようになり、国内製品にデフレ圧力がかかってきます。

これは意外と大変なことなのです。そうでなくても「減価ぎりぎり」で出荷している国内製品に対して、さらなる「価格引き下げ」を要求されることになるので、製造を担っている中小企業等はますます利幅が薄くなってしまいます。場合によっては「赤字」になる企業も増加する可能性さえ懸念されます。

つまり、「円高」は外需産業だけでなく、内需産業へも影響を及ぼすことになり、特に中小零細といわれる企業にダメージを与えることになります。

通常、急激な円高に対しては、今まで「円売り介入」という手法によって政府が手を出して通貨の安定を図ってきました。「政府が手を出す」というのは、基本的に好ましいことではないという意見も多く、また、たとえ政府が何らかの介入を行ったところで「市場」というモンスターには勝てないという話はあります。とはいえ、政府自らが「介入はやらない」と言ってしまえば、どこまで「やらないと言っていられるのか」を確認しようという意地悪な投機筋が現れ、徹底した円買いを行う場合もあります。

現状、ドルだけでなく、各国通貨当局が超金融緩和を行っているため、世界中の通貨が余剰状態になっています。しかも、各国とも「産業」も盛り上がっていないため、余剰になった通貨は投機的な行動を起こしやすいものです。その一端が、現在、上昇を続けている「金先物」などに表れています。

このような状態下において藤井財務相は「円高容認」ともとれる発言をし、その後、「介入」に対して消極的な姿勢を続けたことから、投機筋は「ここぞ」とばかり、円を買い続けた可能性があります。

実際、財政においても「無駄を省き、補正予算も縮小させる」ということですから、政府債務残高の増加に歯止めがかかるという印象を市場に持たせているため、円高に対する大義名分もあるわけであり、ここから反転して「円安」へ持ち込むのは難しいといえます。まぁ、日経平均が1万円を割り込んでいることもあり、ここでさらに、亀井金融相のモラトリアム法案が現実化するようであれば、金融システム全体の混乱から経済失速予測が生じ、結果として「円安」という可能性も否めません。とはいえ、それって、政府として望ましいことではないはずです。

そこでG7終了後、藤井財務相は「急速な円高には適切に対処する」というコメントを出しました。これは、今までのダッチロール的な発言からは考えられないくらい、良いタイミングだと思います。

投機筋からすると、この時期、今の為替レベルで「牽制球を投げられる」というのは、あまり考えていなかったと思われるので、市場としても一種のサプライズになったのではないでしょうか。特に「G7後」ということもあり、各国の通貨当局との連携も連想されることから、投機筋も無茶はできないはずであり、暫くは大人しい動きになると思われます。この調子で、市場との「駆け引き」を続け、うまく市場を誘導していただきたいと願っています。


講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸
グローバルマネー・ジャーナル第117号、いかがでしたでしょうか。

任天堂がWiiを値下げしたので週末に買いに行くと、購入後に店員さんから、「メーカー保証は1年ですが、当店のポイントから数パーセントお支払いいただければ延長保証しますよ」と言われました。

ゲーム機は過去に一度、購入2年目に故障したことがあるのでその場で迷っていると、延長保証の詳細を見せてくれたのですが、保証金額は毎年一律ではなく逓減型。

経年リスクに合わせてしっかり保証率計算されていました(保険の逓減型死亡保障みたいです)。

物を買う時に、販売額や付与されるポイントを気にする方は多いと思いますが、洗濯機など、ある程度高額で消耗頻度の高い物はアフターサービスによる違いにもチェックが必要ですね。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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