金価格、史上3度目の1,000ドル超え!なぜそこまで金が買われるのか|株式・資産形成講座メルマガ

  2009/10/14(水)  
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金価格、史上3度目の1000ドル超え!なぜそこまで金が買われるのか

ニューヨーク金価格は9月8日史上三度目の1000ドル超えを達成しました。当時は少し驚きを感じましたが、その後は1000ドルが当たり前の状況になっています。いったい何が金価格を1000ドルの高みに押し上げたのでしょう?



インド人やトルコ人など、金輸入の常連客は全く金を買っていません。つまり実物の需要が増えたわけではありません。宝飾品需要は高価格を嫌気してむしろ減少しています。一方で、金のETF(上場有価証券)や金の延べ棒、コイン等、投資用の需要が好調です。

ついに、金価格5000ドル説を唱える人まで出てきました。Euro Pacific CapitalのPeter Schiffという人です。彼の主張は「ドル安が放置されている。ドルはここ数週間各国通貨に対して売り浴びせられ、この傾向は当分続く。米国民は今や中国や日本がお金を貸してくれなければ物を買えない状況に陥っている。金利を通常に戻そうとすると多くの金融機関の経営が危なくなり、大恐慌がおきかねない。だから、金は5000ドルになり、DOW平均株価は金の価値で換算すれば今後90%下落する」と述べています。

IMFのGlobal Financial Stability Reportによれば、昨年来の金融危機で米国銀行が被った損失は2.8兆ドル、しかし、そのうち1.3兆ドルしか損失処理をされていないそうです。残り1.5兆ドルは今後のバランスシートに反映されると書いています。

ところが、Moody'sが公表した8月の商業不動産価格指数は前月比▲5.1%、前年比では▲30.8%、2007年10月比では▲39.0%の低下となりました。住宅価格と違ってまだ底入れ感もなく、銀行融資の不良債権も拡大しています。米地銀の破綻は留まることなく、米連邦預金保険公社(FDIC)の基金も、もはや底が見えてきています。「地銀ばかりでなく、Wachoviaを買収したWells Fargoは、同行の商業不動産関連融資の1/3が現在不良債権化しているとの推測が浮上、経営が懸念されている」と英エコノミスト誌は述べています。

不良資産救済プログラム(TARP)を監督するアリソン財務次官補は24日、上院銀行委員会で証言し、7,000億ドル規模のTARP開始から1年経過したが国内金融システムは依然脆弱であり、同プログラムを2010年まで延長する必要があるかもしれないとの見方を示しました。またTARPの特別監査官 Neil Barofsky氏は現在の米銀システムは1年前よりももっと危険な状態にあるかもしれないと述べています。

3月からの世界の株価上昇により、景気は回復に向かっているという幻想が抱かれましたが、実体経済の指標は必ずしも上昇傾向を示していないようです。住宅着工件数や中古住宅販売が前月比で増加したといっても、その水準は過去のレベルには程遠い状況です。9月の米国の自動車販売は前年比▲26.7%となりました。これは補助金が打ち切られたためと思われます。一方で補助金がまだ続いている日本やドイツの自動車販売は好調ですが、アメリカの例にならえば年末から来年にかけて補助金打ち切りの反動が出るものと思われます。

今後決算発表が相次ぐと、金融機関の不良債権処理状況が明るみに出ます。米国の銀行が脆弱な基盤に追い討ちをかけられるような不良債権が多発すれば再び大きな金融不安が訪れることも想定されます。そんな不安が市場をよぎるとき、金は買われます。




講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学 株式・資産形成講座講師
株式会社フィスコ コモディティー代表取締役社長
近藤 雅世

9月15日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、構成したものです
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第112回 『日本の銀行はどうなってしまうのか?!?!』

BISの自己資本比率規制引き上げ議論に加え、亀井金融担当大臣のモラトリアム法案などを材料に、日本の銀行株は大きく下げています。特に亀井大臣の発言は業界だけでなく、一般の人々も「そんなことをしたら、銀行さんはおカネを貸さなくなるのでは」と心配しているくらいです。

それはそうですよね。借りたおカネを「3年間は返さなくていい」という法案ですから、今、借りているおカネはもちろん、新規で借りたおカネも当該法律を盾にして「返せません」と言われる可能性があるわけなので、貸し手である銀行は「もう貸さない」と言うに決まっていますよね。

ということは、ますます「貸し渋り」が酷くなると考えるのが普通の思考です。まぁ、その点はセットで何かを考え、法制化することになるのでしょうが、「だから、心配はいらない」という問題でもないように思います。

「金融」というのは「経済の根本的なインフラ」であると同時に「過去から未来」という時間が関係する制度・システムなので、問題は「現時点だけ」に留まらないのです。過去の債務は「将来には必ず返済しないといけない」のですから、返済を受ける側(つまり、「貸し手」)は、すでに将来の返済を見込んで経済活動を行っています。したがって、「返済がされないかもしれない」となれば、今までの見込みを考え直す必要に迫られるため、現実の経済活動を大幅に修正せざるを得ないという事態も起こる可能性があります。

このように「金融の変革」というのは社会に対して影響が強い事柄だけに、今までの亀井大臣の発言は、大臣に対して恐縮ですが、「準備不足である」と言わざるを得ないでしょう。

しかし、この「モラトリアム(返済猶予、または、減免)」というのは、そもそも「絶対にダメ」というものではなく、銀行という主体は「そのような事態があるかもしれない」というリスクの下に活動をし、実際、個別対応としては認めているのです(正確には後述の「金融庁の貸出マニュアル」というモノができる前は「認めていた」といった方が良いかも知れません)。

銀行としては「貸出」を実行するに当たり、いろいろな審査を行い、リレーションシップをはかって「大丈夫」という主体におカネを貸しているのですが、将来は誰にもわからないので、たまたま「景気が悪くなった」「想定以上に円高になった」「天災に見舞われた」ということによって"一時的に返済ができない"ということは、どの借り手にもあり得ることなのです。それに対して「でも返しなさい」とは言えないわけであり、状況次第で「モラトリアム」を認めることもよくあることです。それが"相対(あいたい)取引"の優れたところであり、(証券売買などの)市場取引との大きな違いでもあります。

顧客と「相対(あいたい)して取引を行う」のが相対取引ですから、相手である顧客が「困っている」のであれば、銀行としても"個別"に対応するのは当たり前なのです。「モラトリアムを実施すれば相手は立ち直る」のか否かは、それこそ、銀行の"目利き能力"ですから、バンカーの腕の見せ所といえます。

それをダメにしたのが、金融庁の「貸出マニュアル」であり、銀行の独自の目利き能力よりも、このマニュアルを優先させるように指導してきた金融庁に問題があると言えるのです(この作成を指示したのは「小泉・竹中政権」です)。その部分を亀井大臣は「鬼の顔をして、仏の話をしても、誰も信じない」という表現で金融庁のマニュアルを非難しているのですが、うまく本質を表せていないため、世間では誤解をしている向きがあります。

大臣の考えは、ある意味、正しいと思うのですが、「モラトリアム」という「プライベート(個別的)」な処理を「パブリック(制度)」にしてしまうのは「銀行取引が相対取引である」という原則を逸脱している感があります。しかも、モラトリアムという「個別的な処置」を「国家的な制度」にしてしまう場合、その影響は社会に甚大なマイナスをもたらす可能性があるので、もう少し、有識者との間で内容を詰めていただきたいと考えています。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第118号、いかがでしたでしょうか。

やや遅ればせながらではありますが、10月4日が何の日かご存知でしょうか。

勘の良い方ならすぐお分かりになるかもしれません、投資の日です。

単にゴロ合わせだけかと思いきや、実はその日を皮切りに約一ヵ月間、全国で様々な講演や催しが開催されています。

私は投資の日があるということは知人から聞いていましたが、まさか「とうしくん」なる、牛のマスコットキャラクターまでいるとは。

まだまだこれから開かれるものもあるようですので、ご興味ある方はお出かけになってみてはいかがでしょうか。

↓日本証券業協会ホームページ
http://www.jsda.or.jp/html/chishiki/suishin/104an.html

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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