「誰が株式を売り買いしていたのか?」から今後の投資ヒントを得る|株式・資産形成講座メルマガ

  2009/10/28(水)  
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「誰が株式を売り買いしていたのか?」から今後の投資ヒントを得る

下げ幅拡大の要因は何だったのか!? 9月の株式市場動向から今後の市場を予想する

9月の株式市場では、以下のような出来事がありました。

(1)国内の動向
●民主党内閣発足(鳩山政権誕生)
●G20などで金融機関への自己資本規制強化の方針が伝えられる
●野村HDの増資発表
●亀井金融担当大臣のモラトリアム法案が提案される

(2)米国の動向
●経済指標の改善が足踏み、雇用の悪化続く

(3)為替&金利の動向
●ドル売り加速(90円を割り込む展開)

今回のメルマガでは、「企業の決算発表という季節イベントをどう見ていけばいいのか」を考えるためのファクターとして、9月の市場動向を振り返ってみたいと思います。

(1)国内の動向
8月30日の総選挙で大勝し、「民主党内閣(鳩山政権)」が誕生。この時点までは、日経平均が高値を取りに行く状況でマーケットが非常に好感している状況だと思われていました。 しかし9月シルバーウィーク明けの24日、25日頃には、G20などで金融機関への自己資本規制強化の方針が伝えられたのです。簡単に言えば、同じような過ちを繰り返してはいけないという要旨であり、金融機関の自己資本増強や役員報酬等への制限など、金融株の中でも銀行等のセクターに対してネガティブに働く話が伝わりました。 そこに輪をかけた要因が、「野村ホールディングス(以下、野村HD)の増資発表」、「亀井金融担当大臣からモラトリアム法案が提案される」の2つです。

G20の自己資本規制強化を見越していたのか否かは判りませんが、野村HDが増資を発表し、さらに増資額が数千億円規模と大きかったため、マーケットが、「野村HDが増資を発表したのであれば他の金融機関も追随するのではないか?」と見て銀行株などを売り始めたのです。 こうした動きを受けて、せっかく連休明けに上げた日経平均株価が、翌日、売り気配から始まって、下げ幅を拡大する流れになっていったわけです。



そしてもう一つの要因が、亀井金融担当大臣からモラトリアム法案が提案された出来事です。モラトリアム法案は、返済猶予法案とも言われる通り、返済に困った中小企業の返済期限を少し先延ばしにして猶予を与えようという法案です。中小企業の立場に立てば、それほど悪い発想ではありません。 しかし一方では、返済を猶予すると貸し出し側金融機関のバランスシートが悪化するかもしれない、また猶予がある分だけ「貸し出して不良債権になる金額が見えてこない」などのさらなる不安を招いてしまい、これが銀行や証券も含めて金融機関の株が売られるきっかけになってしまったのです。

金融株にとっては、マイナス材料が一挙に飛び出したという感じです。亀井金融担当大臣の発言は以前から出ていましたが、特にG20の後、実際に法案を提出するということで話がより具体的になってきたことが株価下落の要因の一つです。そして偶然ですが、亀井金融担当大臣の法案提案と同時に野村HDが増資を発表。そのために朝から売り気配で、マーケットが大きく下落する展開になってしまいました。

一般投資家にとってこういう見方は難しいと思いますので、もう少し詳しく説明してみましょう。増資で発行済み株式数が増えても、利益額は1年の分が翌年に倍になるということはありません。特に今回の野村HDは発行済み株式数が多く、一株あたり利益の希薄化(一株あたりの価値が下がる)懸念がマイナス要因になりました。そこへ更に亀井金融担当大臣の話が伝わり、他の金融機関も追随するのではないかと考えて、それでは発表される前に売ってしまおうという流れになってしまったというわけです。

(2)米国の動向
さらにその後、月末も日本の株価は下がりました。同時期の欧米マーケットは上がってはいたものの、やはりジグザグがありました。 要因は「米国の経済指標改善が足踏みになってきたこと」と「雇用悪化が続いていること」です。それがマーケットで懸念され、ニューヨークも上昇トレンドの中の下落。日本のマーケットも下落となりました。

(3)為替の動向
一方為替ではドル売りが加速し、90円を一気に割り込む展開になりました。9月前半は横ばい状態でしたが、後半になってマイナス要因が続出。これが株価下落に繋がりました。


■誰が株式を売り買いしていたのか? 主要市場における投資家行動からヒントを得る!


では、その時期に「誰が株式を売り買いしていたのか?」を見てみましょう。 投資主体別売買動向の売り越しを見ると、9月第4週に外国人投資家の売り越しが目立っています。他に売り越しているのは、前月より若干減ってはいますが信託銀行、それから投資信託も売り越し額が少し大きくなっています。とはいえ、やはり目立つのは外国人投資家で、直近ではまた少し買い越しに転じつつあるようですが、9月相場が下落に繋がっているところで、ちょうど売り越しになっている状態です。逆に新興市場では、外国人投資家はずっと買い越しです。

非常に面白い傾向ですが、東証は売り越し、新興市場は買い越しとなっています。こうした投資家動向は、東京証券取引所ホームページで毎週木曜午後に発表されていますので、ご興味ある方はチェックしてみてください。



講師紹介
大前研一
株式会社インベストラスト 
代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之

10月14日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第114回 『大化け銘柄を探すには!?』

リーマンショックから1年が経ちますが、まだ、「回復」というには程遠い景気状態です。とはいえ、各国とも多額の公共投資を行ったことから「底割れ」と言う最悪な状況は避けられたように思います。しかし今後を考えると、財政赤字をこれ以上増やすわけにはいかないので、各国の政府当局が手をこまねいている間に「さらに景気が下振れするリスク」は残っているのも事実です。

このような中ですが、一般に今のような「混沌(カオス)」といわれる状態は、逆に、「大化け銘柄(値上がりが凄い「出世株」)」を見つけ出す絶好の機会とも考えられています。

何故なのでしょうか?

まず、カオスという状態ですが、これは「創造的破壊」によって引き起こされた、恐慌のような破滅的な状態を指します。このような状態の中から、新しい産業(イノベーション)を起こす主体(企業家)が登場し、何らかの秩序(「飛躍」や「うねり」)が生まれ、景気を再生させるのだとシュムペーター(という経済学者)は唱えています。

ただ、カオスの状態に存在する「新しいこと(事業)」のほとんどは、一つ一つをみると非常に小さな変化なので、マクロ経済学的に、または、計量経済学(統計学)的には、無視されてしまうような微小な変化であり、これでは小さすぎて景気変動を引き起こすことはありません。ところが、このような「新しいこと(つまり、イノベーション)」のうちのいくつかが、誰も考えていなかったような結合(これを「飛躍」という)をすることにより、「産業」として大きなうねりを起こす場合があるのです。例えば、馬車が車になるようなイノベーションです。ある日突然「馬車⇒車」になることはありませんが、長い年月のうちにおこる「新しいこと(「馬車の改良」や「動力の研究」など)」の積み重ねにプラスして「エンジンを馬車に取り付ける」という飛躍があって初めて、馬車は車になります。この飛躍は、あっという間に「うねり」となって社会に広がり、経験では考えられない「新しい社会」になるわけです。

以上から、「イノベーション」と言っても「個々の段階の小さなイノベーション」と、もう一つ、「社会を変革するような大きなイノベーション」があるということがわかります。とはいえ、このうち「大きなイノベーション(馬車から車へ)」というのは突如として起こるのではなく、「小さなイノベーション(「馬車の改良」&「動力の研究」)」が各地で発生する中で、社会自体を「飛躍させる何か(エンジンを馬車に取り付ける)」が起こった時、歴史が大きく変わることになるのです。

しかしながら、この瞬間は統計ではわかりません。なぜなら、上述の通り「小さなイノベーション」は、それ自体が「誤差」なので、統計上は無視される存在だからです。無視されたイノベーションが、何らかの形で有機的に結合することで「飛躍」が起こるとしても、それは結合される瞬間まで無視され続けるのです。ところが、この飛躍が大きな「うねり」になった時、統計では無視できない状態になり、社会全体が大きく変貌することになります。

一般にイノベーションを起こす人々が「特殊」または「能力がある人」と考えがちですが、企業家はそもそも小さいながらも「新しいこと」を日常的に作り出しているのであり、「イノベーションを起こす」ということ自体は、特に珍しいことではありせん。しかし、このような「小さなイノベーション」が有機的に結合することで「飛躍」があれば、それをきっかけにして、大きなイノベーションになっていく可能性があるのです。したがって、この「飛躍」についても、当然、各地で起こっているのですが、それが社会的なニーズに合致した時、「うねり」になるのであり、基本的に個々の「能力」とは関係ないといえます。

まぁ、社会にマッチした「飛躍」を行ったというのは、それ自身「能力がある」ともいえますが、多くの場合、社会にマッチしたのは「たまたま」であり、偶然なので、その人が偉いという種のものではないのです。

とはいえ、このように「うねり」になった時がブームなのであり、このうねりの基になる「飛躍」を最初に遂げた企業群が「出世株」になるのです。したがって、うねりが起こる前に、小さなレベルの飛躍を成し遂げた企業群をいち早く見つけ出すことが「大化け銘柄の発掘法」といえます。さらに、現在のように混沌とした状態においては、皆が、何かの「うねり」を期待しているので「小さなレベルのイノベーション」が結合しやすく、ブームが起こりやすい時期と考えられます。

このようなことから、小さなレベルの「イノベーション」や「飛躍」は玉石混交ではありますが、「大化け銘柄」を発掘するには「今がチャンス」だと思っています。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第120号、いかがでしたでしょうか。

7月中旬に申請したエコポイント交換商品が、3ヵ月経ってようやく届きました(お待ちの方は到着までの目安にどうぞ)。

なんでも、偽申請や誤送付を防ぐための担当者チェックが相当厳しいらしく、時間がかかっている様子。

みんなにとって時間や手間のかかる仕組みなら、「交換商品数は少なくとも、顧客は対象商品をお店で買った際、一緒に交換商品も貰える」ような方法に出来なかったのか疑問です。

やり取りにかかる往復(記載漏れなどあればそれ以上)の郵便コストも相当あるはず。

地デジ対応が近づいている最中、来年3月でエコポイント制度廃止となればかけ込み需要も起こるでしょうし、可能であれば政府は今からでも追加の手が打てないものかと感じます。


来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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