民主50兆円の赤字国債が、日本をアメリカ並みの財政赤字国にする|株式・資産形成講座メルマガ

  2009/11/4(水)  
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民主50兆円の赤字国債が、日本をアメリカ並みの財政赤字国にする

米国の財政赤字幅に匹敵するのは、日本だけ

米政府が16日発表した2009会計年度の財政赤字が前年度の3.1倍となる1兆4,171億ドル(約130兆円)となり、戦後最悪を記録しました。そんな中、国際通貨基金(IMF)の予測によると、米欧は政府債務残高の国内総生産(GDP)に対する比率が危機発生前の2007年の60%台から、2014年には100%台に到達する見込みとのことです。

米国の財政収支の推移を見ると、08年にはマイナス約40兆円規模だったものが、09年になりマイナス約140兆円にまで膨れ上がっています。02年にマイナスに転じてからも、50兆円を超えたことはなかったので、いかに現在の数値が大きいかを物語っています。



またGDPに対する財政赤字の割合で見ても、米国は「10%」という非常に高い水準になっています。この数字は欧州諸国と比べても群を抜いています。欧州ではEUで定められた財政協定違反国が続出するという異常事態を迎えていますが、それでも対GDP比で5%~6%という水準です。



唯一米国に並ぶ可能性があるのは、日本です。現在のところ、日本の財政赤字は対GDP比で約4%程度ですが、民主党は50兆円の赤字国債の発行を予定しています。そうすると米国と同様、財政赤字は対GDP比10%程度に達する可能性があります。

マーストリヒト条約で定められたEU諸国の対GDP比財政赤字の違反基準値は「3%」ですが、現在の状況に鑑み、基準値そのものを「4%」に引き上げる可能性もあると私は見ています。さすがに「全員が違反している」という状況では不安定に過ぎるでしょう。いずれにせよ、欧州諸国はこの状況を改善すべく動き出すと思います。

一方、さらに厳しい状況にある米国ですが、何とも時代認識が遅いと言わざるを得ません。2009年10月26日号のBusinessWeek誌に「WHAT HAPPENS IF THE DOLLAR CRASHES(ドルがクラッシュしたらどうなるのか?)」という記事が掲載されていました。

私に言わせれば、「何を今さら言っているのだ!?」というところです。というのは、私はすでに10年ほど前から「ドルからユーロに資金がシフトして、ドルがクラッシュする危険性」について警鐘を鳴らしてきたからです。今さらこのようなことを記事にするとは、ずいぶんと「のんびり」した感覚だと皮肉を言いたくなります。


●日米を尻目に、回復・成長する世界の国々

米国では景気の悪い話題が続いていますが、世界全体で見ると回復の兆しがそこかしこに見えてきています。主要52市場の株式時価総額の合計は約45兆ドル(約4090兆円)と直近の底だった2月末から5割以上増加。世界景気の底入れ期待に加え、各国の中央銀行による潤沢な資金供給で、投資マネーが株式に回帰していることが主な要因と見られています。

2007年に右肩上がりを見せていた株式市場の時価総額は、08年リーマンショックを契機に急落しました。その後09年2月~3月頃から反転し、再び上昇を始めています。この7ヶ月間(2009年2月~9月)の各国株式市場の時価総額上昇ランキングを調べてみると、日本はわずか33.2%の上昇に留まっています。一方で、1位:インドネシア(132.9%)、2位:ブタペスト(130.4%)、3位:イスタンブール(117.0%)などは大きく上昇しています。トップ5には入っていませんが、オーストラリア(109.4%)や韓国(107.0%)も日本に比べて大きな回復を見せています。日本・米国は動きが鈍くて当てはまりませんが、インドネシアの例などは、「危ない」と言われていた底値のときに参入していれば半年で値段が倍になるという良い見本だと言えるでしょう。

またこの数年間、世界経済を牽引してきた中国も回復の兆しが濃厚です。中国国家統計局は22日、7~9月期の国内総生産(GDP)が実質で前年同期に比べて8.9%増えたと発表しました。大規模な公共投資を柱とする4兆元(約53兆円)の景気刺激策や金融緩和の効果で、中国経済は回復傾向が鮮明になりつつあります。四半期ベースの成長率が前期を上回ったのは2期連続とのことです。

未曾有の大不況として幕を開けた今年を8.9%の成長率で乗り切るというのは、相当高い水準だと言えるでしょう。おそらくこの水準であれば、インドを越えて世界トップの成長率を中国は今年も維持することになると思います。そして、今年の終わりか来年の初めには四半期ベースで日本のGDPを追い抜く日が来ることは間違いありません。

日本を尻目に成長を続ける中国。その中国を追う一番手は、中国以外の「BRICs」でしょうが、さらにセカンド・ティアとして「VISTA(*)」が台頭してきています。国際通貨基金(IMF)の最新経済予測に基づくとベトナムなど「VISTA」と呼ばれる中堅5カ国の2010年の国内総生産(GDP)成長率が平均で3%を超える見通しとなったとのこと。金融危機の影響が相対的に小さいうえ、個人消費をけん引する若年層の人口比率が高いことなどが背景にあります。VISTAのGDP成長率が平均で3%~4%、BRICsのそれが5%~6%です。まだBRICsよりも1~2ポイント低い水準ですが、非常に有望な市場であることは間違いないでしょう。

(*)「VISTA」とは「ベトナム、インドネシア、南アフリカ、タイ、アルゼンチン」の5カ国を指します。

日米が足踏みをしている間にも、世界各国は回復の兆し・成長を見せています。日米は未だに「金利の上げ下げ」と「マネーサプライ」によって景気を回復させようという、19世紀型のマクロ経済学に頼っています。かつての日本の失敗から学び、その方法は通用しないということを早く認識するべきです。そして、心理経済学に基づく正しい景気刺激策を講じてもらいたいと私は思います。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

10月25日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。

大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第115回 『「エコカー減税」「エコポイント」をやめちゃうの?!』

直嶋経済産業大臣は「エコカー減税」「エコポイント」について、そもそもリーマンショックによる不況対策なので、今後、継続するか否かについては「もう少し経済の状況を見た上で、どうするかを経済産業省として判断したい」として明言を避けました。実際、今回の概算要求案にはそのための手当ては入れていないようです。

この判断はどうなのでしょうか?

「エコカー減税」「エコポイント」は、自公政権下の政策として"唯一"と言っていいくらい「良い政策」なので、これは残してほしいと思います。民主党としては自公政権の「すべてを否定したい」という気持ちなのでしょうが、現下の経済状態や経済効果を考えれば、やはり「継続」が正しいと思います。もし、「財政が厳しいので」というのであれば、「子育て支援特別手当て」の実施を先延ばし(または、やめて)、「エコカー減税」「エコポイント」を継続させた方が良いと思います。

ということで以下では、まず簡単に「子育て支援特別手当て」が政策的に「何故、効かないか」を解説します。

そもそも、リーマンショックの前から日本の経済は良くなかった上に「年金の問題」などがあったため、国民の多くが将来に対して大きな不安を持っています。このような状況においては「貯蓄を増やしたい」と考えるのが普通です。にもかかわらず、景気悪化のため給料等が減り、自分が思っている金額の貯蓄を行えないのが現状です。そうなると人は「さらに不安になる」ものです。

そこに「子育て支援特別手当て」などによって所得が増えても、増加分を消費に使うようなことはせず、できるだけ「貯蓄しておこう」とするものなのです。それも理性によって「できるだけ消費を控えて貯蓄しよう」と考えているのですから、経済状態がますます不確実性を高めている状況下では、いくら「所得が増えたから」といって、安易に「消費を増やそう」とする人など皆無といえます。

とはいえ、政府としては「子育てをする世帯は消費をするはず」と考えているのかもしれません。

しかし・・・

この世帯は「家を買いたい」「子供に教育保険をかけたい」など、いろいろと将来に向けてできるだけ「備えておきたい」と思っている上に、何よりも「子供の将来が心配」なので、最も貯蓄をしたいと考えている世帯ではないでしょうか。したがって、少しでも余裕がある世帯であれば、消費せずに貯蓄へ回したいと考えるはずです(その意味では「所得制限」が効くかもしれません)。

以上のように、ほとんど政策効果のない「子育て支援特別手当て」におカネを使うくらいなら、「エコカー減税」「エコポイント」を継続すべきでしょう。

「エコカー減税」「エコポイント」は、当該商品を買わないとメリットがないことから、「今買わないで貯蓄する」のと「今消費をすれば儲かる」という事実を、各家計がそれぞれ理性的に比較することになります。とすると、「いずれ買う必要のある商品」であれば、今、買う(消費する)ことに「合理性がある」ので、消費が促進されるわけです。この政策に対しては「買った人だけが減税になるというのは不公平」という意見もありますが、買った人は「消費」ということによって「社会的に貢献している」わけですから、利己的に貯蓄をする人たちとは違うのです。そういう意味で「エコカー減税」「エコポイント」は公平であると思いますし、何よりも「消費促進」ということでは非常に優れた政策であるといえます。

それを「やめるかも」というのは、如何にも「もったいない」ことですよね。でも、もし、直嶋経済産業大臣が"戦略家"だったとすると「正しい判断」なのかもしれません。

というのは、「今、やめるかも」といえば「来年3月まで」ですから、「もう少し先でも良いけど」と思っている家計が「今のうちに買おう」というように駆け込み需要を誘うことができます。他方、今、「継続します」といえば、「では、もう少し先に買おう」という人が出てきてしまいます。

私は大臣が"戦略家"であることを願っています。


講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸
グローバルマネー・ジャーナル第121号、いかがでしたでしょうか。

友人4人と、リーマンショックを挟んだこの2年間の投資成績を話し合っていたのですが、5人中2人がこの金融危機で、株を持っていた企業が倒産し、少額ながら紙くずになった経験をしたと聞き、驚きました。

大まかな敗因は、「規模の割に割安な株価」に飛びついてしまったこと。

いわゆる会社四季報に載っているような、現金以外の営業キャッシュフローや投資キャッシュフローなどはあまりチェックしていなかったようでした。

黒字倒産という言葉をここ1、2年よく耳にした方も多いのではないかと思いますが、株価や相場の流れだけでなく、こういうところもよく注意しなければならないんだなぁと、友人の実体験から改めて学びました。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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