ジェイコム誤発注訴訟、なぜプールした209億円を賠償にあてないのか|株式・資産形成講座メルマガ

  2009/12/16(水)  
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ジェイコム誤発注訴訟、なぜプールした209億円を賠償にあてないのか

ジェイコム誤発注は、そもそもやり直しすべきだった

みずほ証券がジェイコムの株式を誤発注した事件に絡み、みずほ証券が東証に対して損害賠償を求めていた裁判で東京地裁は4日、東証に107億1212万円の支払いを命じました。この事件は2005年、みずほ証券がジェイコム株の売買注文の際に1株61万円の売り注文を誤って61万株1円と発注。複数回にわたって取り消し注文を出したものの東証のシステムが受け付けず注文が成立してしまったというものです。

事件発生時にも述べたことですが、この問題の正しい解決法は「間違いであったことを認めたなら、遡って取引をやり直す」という方法だったと思います。世界的な常識に照らし合わせてみても、これ以外に方法はなかったはずです。

ところが、当時の日本証券クリアリング機構指導の下、みずほ証券は誤発注の弁償として400億円以上の損失を出しました。これが間違いだったのです。今回の東京地裁の決定によれば、みずほ証券は107億円分を東証から弁償されるとのことですが、すでに損失計上されている400億円には遠く及ばない金額です。

また一番の問題だと感じるのは、ジェイコム株誤発注問題で利益を出した証券会社から返済された基金の使い道です。道義的な意味もあり、UBSを筆頭に多くの証券会社が基金拠出を行いました。その総額は約209億円です。



しかしこの209億円は、証券取引所等の大規模システム障害防止の基礎整備などにあてるという目的で、現在プールされている状態です。209億円をみずほ証券への損失補てん目的で東証が受け取っていれば東証のダメージも少なかったはずなのに、返済された資金を別目的のものに摩り替えてしまっているのです。これは完全に前近代的な解決策で、時代遅れの対応だと私は思います。


●厳しい状況に追い込まれ、改革が求められる東証

株式の私設取引システム(PTS)で欧州最大手のチャイエックスが日本に参入し、来年夏をメドに日本株の私設市場を開設することが分かりました。

チャイエックスが日本市場に参入してくるというのは、東証にとって大きな脅威になると思います。欧州主要市場での取扱機関別売買シェアを見ると、チャイエックスの強さがよく分かります。



英国のFTSE100などではチャイエックスは約25%の売買シェアを獲得しているほどで、特にプロの投資家向けの市場に大きな強みを持っています。チャイエックスが参入してくることで、日本でも24時間取引が可能なプロ向けの市場が開設される可能性が高くなるでしょう。

チャイエックスに対抗するためには、東証はもっとシェイプアップした経営をしなければ対抗できないと思います。またシステム面でも、世界の取引所から著しく遅れた今のシステムを改善し近代化していくことが求められます。

チャイエックスは野村證券が傘下におさめている企業です。皮肉なことに東証の斉藤社長は野村證券出身者です。その斉藤社長のいる東証に対して、野村證券がどのような動きを見せていくのか、今後の展開を見守りたいと思います。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

12月6日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。

大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第121回(最終回) 『鳩山首相、日本をどこに導きたいの?』

鳩山首相が「国民の生活が第一」として「国債発行44兆円以下に抑える」という目標を掲げていますが、これまでの民主党を見ていて、本当にこの発行上限を守れるのか、不安になります。国債発行に限らず、「天下り問題」についても亀井金融担当大臣の肝煎りとはいえ、どう見ても「天下り」ですし、普天間問題も・・・。

"Trust me!"といわれても信じられませんよね。

自民党主導から民主党主導に変わったからといっても、そもそも、あまり期待はしていなかったといえば、そうなのですが、首相発言の「ブレ」は、そろそろ堪忍袋も限界といった感じです。これが自民党政権であれば、1つ1つが「即死」に値する問題だけに、来年の参議院選挙の終了後には、以前とは逆の「ねじれ国会」になっているかもしれませんね。

結局、いろいろとやってはみたものの、「大きな変化は起こせませんでした」ということであれば、その点も含めて率直に国民に話して欲しいものです。何か「秘策でもあるのか」と期待していると、政府債務は積み上げるし、天下りは野放しだし、基地問題も進展なし。JALには資金をつぎ込み、民主党との関係の深いダム建設は継続するのに他は中止にするなど、どちらかといえば、自民党主導政権の方がマシという気がしてくる状態です。

今までは「目先の政策に追われ、あまり考えられなかったし、財源も思った状態ではなかった」というのであれば、それを踏まえて、マニフェストでの約束も見直すべきではないでしょうか。自公連立政権が断末魔に行った「定額給付」のように、国民におカネをばらまいてみても、経済は良くなりません。無理に理由をつけて、マニフェストの内容を実行してみても、国民はますます将来不安から消費を手控え、デフレを加速させるだけです。

デフレを止めるために日銀に量的緩和を実行してもらったとしても、景気が浮上しない限り銀行は貸出を増やしませんし、そもそも企業側でも前向きな資金需要が存在しないことから、金融システム内だけに資金が滞留し、ホームレス・マネーを増加させるだけになってしまいます。実体経済が良くなってきた時に、それを確かなものにするために金融的な補完をするのは正しい行動でしょうが、実体経済が悪い時に資金量だけジャブジャブにしても「全く意味がない」だけでなく、悪影響しか与えないものです。

現在、政府が行うべきは「どの方向に日本を導きたいのか」を示すことではないでしょうか?

「環境」「地域主権」「生活第一」などいろいろとテーマがありますが、テーマを羅列しているだけではなく、テーマの実現のために「何を」「どうしたいのか」を明確に示すべきだと思います。その実現のために「このような助成をする」「予算を付ける」「規制を緩和する」などが政治であるはずです。このような「国家戦略」をいち早く示すべきだと私は思っています。

管副総理は「今、『第三の道』を模索しているところです」といっているようですが、そのような悠長なことを言っている場合ではないと思います。


講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸
グローバルマネー・ジャーナル第127号、いかがでしたでしょうか。

年末に向けてDVDレコーダーを買おうと決意!

幸い、勤め先と自宅近くの両方に同じ名前の量販店があるので、まずは情報収集がてら会社の昼休みに行ってみたところ、目当ての一台が定価より3万円も安く売られており、今が買い時と判断しました。

持って帰るのが大変そうなので自宅近くの店舗でも在庫があるか調べてもらっていると、「在庫はあるものの、お値段がこちらより2万円高くなります」とのこと。


どうしてそんなに違うのか聞くと、普段は全店舗同じ金額なのだが、12月は年末商戦に加え、年明けの新製品発売も控えているので、各店の裁量で売り切りたい商品の価格を調整するのだそうです。

そういえば最近流行りの家電芸人も「家電は12月が買い時、値切る時は『池袋価格で!』」と言っていました。

家電購入の予定をお持ちの方はこの12月、(私は勇気が足りなくて言えませんでしたが)池袋価格で!を使って値段交渉してみてはいかがでしょうか。


グローバルマネー・ジャーナル、年内はこれで最後となります。 皆さん良い年末年始をお過ごしください。

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