オバマ大統領の金融機関規制案、その多大な影響とは|株式・資産形成講座メルマガ

  2010/2/3(水)  
最新・最強・最高クオリティの
Message
第132回目発行!株式・資産形成講座メルマガです。
メルマガをご覧の皆様、こんにちは!
ビジネス・ブレークスルー 株式・資産形成講座事務局の一戸です。
このメルマガでは、皆さんの資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびにプロとして活躍している 一流講師陣の視点から、毎週リアルタイムにお届けしていきます。
あなたの理想とする資産運用、資産形成を実現するためのとっておき情報を、どうぞご覧ください。

本文タイトル
オバマ大統領の金融機関規制案、その多大な影響とは

オバマ大統領の経済政策に対する逆風は強まるばかり

21日、オバマ米大統領は金融危機の再発防止に向けた新たな金融規制案を正式に発表しました。金融機関の規模や事業内容に一定の制限を設ける内容で、銀行にヘッジファンドの保有・出資などを禁止、大手金融機関の負債の規模に上限を設定するとのことです。

新金融規制案の概要をまとめると以下のようになっています。
・預金を取り扱う商業銀行への規制:ヘッジファンドやプライベート・エクイティファンドの所有・投資を禁止、自己資金勘定での高リスク商品の取引を制限する
・投資銀行を含む金融機関全般への規制:市場からの借入(負債)に上限を設ける、大手金融機関の負債の市場シェアに一定の制限を設ける

ヘッジファンドや未公開株を手がけるファンドの所有、投資を禁止すれば、いま銀行が行っている行動の半分位は出来なくなります。また、銀行に対して市場がまだまだ資金を提供しようとしても、市場からの借入(負債)に上限を設けることでそれを出来なくしてしまうというのも、かなり大きな影響があると思います。

こうしたことが実現できれば、まさに利権の中心になっているウォール街を沈黙させることになりますから、さすがに影響力が強すぎてかなりの抵抗が予想されます。おそらくオバマ大統領そのものを潰しにかかる勢力も出てくると思います。

この規制が金融の安定に寄与するのかどうかという観点でみると、現在の金融システムがファンドを織り込み済みで動いているという点を見逃すわけにはいけません。一般の投資家から集めた資金だけで運用するというのは結果的には正しいのかも知れませんが、ファンドを通じての銀行貸出がなくなると世界経済を動かすための「潤滑油」として機能するものがなくなります。今の金融の実態から見ると、大きな抵抗にあって、オバマ大統領への批判・反感が出てくる可能性が高いものと思われます。

また、オバマ大統領が望んでいるバーナンキ氏のFRB議長への再選についてもTIME誌が批判を表明しています。1月25日号のTIME誌によれば、TIME誌が昨年「マン・オブ・ザ・イヤー」にバーナンキ氏を選出したのは間違いだったとし、バーナンキ氏が不況の原因を作った張本人だとしています。

さらに、1月25日号のBusinessWeek誌ではノーベル経済学賞も受賞した経済学者であるジョセフ・E・スティグリッツ氏が、オバマノミックスやガイトナー氏など、オバマ大統領の経済政策を痛烈に批判しています。オバマ大統領側を支えているのはヴォルカー元FRB議長ですが、少々高齢に過ぎますし、迫力が欠けているように思います。 このようにオバマ大統領としては非常に厳しい状況にあると思います。


●ファニーメイとフレディマックが果たす役割は、米国経済復興に必要だ

米下院金融サービス委員会のフランク委員長は22日の公聴会で、政府支援を受けている米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)と米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)について、「現在の形を廃止して、全く新しい住宅金融システムを作るよう、委員会から案を出す予定」と語りました。

ファニーメイとフレディマックは、いわゆるサブプライムではなく、優良な住宅ローンを買い取っている金融機関です。住宅価格がここまで下がってしまうと、このような健全な金融機関であっても国家による救済が必要となるほど追い込まれてしまいます。

「現在の形を廃止して、全く新しい住宅金融システムを作る」という意向とのことですが、米国主要銀行の総資産残高を見ると両行ともに未だに100兆円ほどの資産を保有しています。一時期よりは縮小したとはいえ、100兆円規模のものをいきなり廃止すると相当大きな影響が出てくると思います。日本で言えば農協系などの政策金融機関を閉鎖するのと同等です。住宅に関してこの2つの金融機関を野放しにしたことは、かなりの問題だったと認識しているのでしょう。



現在の形を廃止すると、「銀行が住宅ローンをファニーメイやフレディマックに売ることで、次の住宅ローンを販売する資金を得る」というサイクルが、ファニーメイやフレディマックがなくなることで止まり、逆に住宅市場を停滞させることになります。

現在も実質的にはこのサイクルは機能していませんが、米国の経済をもう一度伸ばそうと思うなら、こうした「仕掛け」は必要だと私は思います。

実際、米商務省が20日発表した2009年12月の米住宅着工件数は季節調整済みの年率換算で55万7000戸となり、前月に比べて4.0%減少しています。



米国住宅着工件数の推移で見ても、2005年以降減り続けていて、特に2009年の水準が非常に低く、まさに「フリーフォール」に近い状態です。住宅着工件数は乱高下するものですが、この数年の動きは落ち幅が大きすぎると言わざるを得ない状況になっています。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

1月24日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。

編集後記
 編集後記
事務局 一戸
グローバルマネー・ジャーナル第132号、いかがでしたでしょうか。

企業の第3四半期決算が続々発表となっていますね。

そうした節目のタイミングでは、フリー投稿形式で設けられた、投資家同士のインターネット掲示板が特に賑わうので、たまに面白半分で眺めたりしています。

「アナリスト予想よりも業績が良い」とか、「黒字転換で最近の底堅さが証明された」とか、「利益は出ているものの、まだ増資懸念がくすぶっている」とか、実に色々なことが言われるのですが、多くは「もろもろ織り込んで、翌日の株価は何の変化も無い」というパターン。

最終的にふらっと出てきて「ねっ、何も無かったでしょ」とコメントする冷めた投資家さんもしばしば見かけるほどですが、こうした投資家心理の集まりが市場を動かしていると思うと、一方でなかなか興味深くもあります。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

株式・資産形成講座
一戸

| 配信停止 | お問い合わせ | 個人情報保護方針 |

copyright(C)BUSINESS BREAKTHROUGH Inc. All Rights Reserved.

資産形成について少しでも知識を高めたい方はまずは無料講義体験へ。

  • 無料講義体験
  • 講座申込み