東証から激減する外資系上場企業、日本は見放されてしまったのか?|株式・資産形成講座メルマガ

  2010/3/31(水)  
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東証から激減する外資系上場企業、日本は見放されてしまったのか?

外資系企業が日本に拠点を置く理由はなくなりつつある

景気が回復しても、外資系金融機関は日本での雇用を増やさない情勢です。人材コンサルティング会社エグゼクティブ・サーチ・パートナーズ(ESP)によると2008年初めから2009年8月にかけて、外資系の銀行、証券会社、投資ファンド、資産運用会社の日本拠点で、社員約4500人がリストラされた事が分かりました。また海外の有力企業が日本での生産や販売から相次いで撤退しており、タイヤ大手のフランスのミシュランは7月に日本での生産を止め、韓国のヒュンダイ自動車は乗用車の販売を中止することが分かりました。

現在の日本の低迷した経済状況を考えると、外資系金融機関によるリストラは致し方ないと言えるでしょう。一方で、ミシュランやヒュンダイ自動車の撤退を外資系金融機関と同様に論じるのは間違いです。ミシュランやヒュンダイは過去にも日本に進出して上手くいかず再チャレンジする、ということを繰り返しています。つまり、日本進出そのものが「鬼門」になっているのであって、金融機関の問題とは根本的な原因が異なります。これらの違いを分からずに同じ記事にまとめてしまうのは、記者が歴史的背景を知らないというだけだと思います。

ただし外国企業が日本に拠点を構える必要性が低くなってきているのは事実でしょう。東証に上場している外国企業の数は、かつて華やかな時代には120社ほどありましたが、現在では20社に満たない状況です。世界の市場が一元化し、日本企業の売買はどこでもできるという時代には、東証に上場することの意味がなくなってしまったのだと思います。



●4月以降の商業用不動産の動きには要注意

東京都心の賃貸オフィスビル空室率が過去最高になりました。オフィス仲介大手の三鬼商事が11日まとめた2月末の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は8.66%と前月比0.41ポイント上昇しました。企業が経費削減でオフィスを縮小する動きが続き、賃料を一部免除したり下げたりするビルも増えているとのことです。



これについて私は何度か指摘していますが、特に4月以降の動きには要注意です。銀行も増資を行うなど体力が回復してきて、損金を計上する余力も出てきている状況です。そうなってくると4月以降には商業用ビルの整理を始める可能性があります。空室率10%台などと言う数字はかつて見たことがない数字ですが、4月以降の動きによってはそれが実現してしまうかも知れません。

今後の見通しは非常に厳しいと言わざるを得ません。賃料を下げてテナントを引っ張らなければならない状況にさらに拍車がかかるでしょう。ペンシルビルが値引きすれば、新築ビルも同様に値引きせざるを得なくなるでしょうし、さらに特典をつけて引越し代金などを払いますという業者も出てくると思います。

その上、都心の人数が増える見込みもありません。外資系企業も増えていませんし、大阪などの地方から都心に進出するという話もほとんど耳にしません。

ますます弱気の市場になってきています。商業用不動産の整理が始まると、それが景気の二番底のトリガーになる可能性も高いと私は見ています。4月以降どのような動きを見せるのか要注意です。


●順調に見えるネット銀行が抱える課題とは?

2000年以降に新規参入した銀行が、高めの金利や割安な手数料を武器に個人の預金を急速に集めています。ソニー銀行、セブン銀行など7行の2009年12月末の預金残高は同年3月末に比べて約23%増え、総口座数も2割近く伸びています。



各行は振り込み決済や資産運用といったサービスにも力を入れ始めており、既存の銀行との競争だけでなく、新規銀行の間でも顧客の争奪が激しくなりそうとのことですが、これらは私に言わせれば「ニュースになる程のこと」ではありません。

日本は悲しいくらいに資金の運用先がありません。大銀行は資金を集めても裏で国債を買うくらいの使い途しかない状況です。そのため、意図的に金利を低くして資金が集まらないようにしています。

それに比べて新規参入した銀行は、既存の大銀行に比べると圧倒的な低コスト体質です。社員も若いため人件費も安く抑えられますし、サイバーを利用すればその他のコストも相当低くできるでしょう。その分、余計に金利を支払うことができます。そして金利が高い分だけ既存の大銀行から預金を引っ張ることに成功した、というだけの話なのです。

問題なのはこれから先です。私はここに2つの大きな問題があると思っています。1つ目は将来的に高い金利を払い続けることを可能にするだけの「資産運用のノウハウ」を持っているかどうかという点。今の日本では資金を集めるのは簡単です。金利さえ高くすれば、あの新生銀行でさえ預金を集められるのです。「集めた資金をどう運用して行くのか?」ここに答えられるかどうかがポイントです。

2つ目は、今は低金利に抑えている既存の大銀行が金利を上げてきた場合に対抗できるのかどうかという点。本当の意味で運用の勝負というタイミングになれば、おそらく既存の大銀行も金利を上げることで預金を再び獲得する動きを見せてくるでしょう。

そうなったとき、最終的に同じ金利ならば、昔から利用してきた馴染みのある銀行に消費者は再び戻ってしまうのではないかと思います。現在の状況は、大銀行が金利を意図的に低くしているという、ある種の「スキマ」に成立しています。この「スキマ」を将来的にも継続し続けることができるのかどうか、これは大きな課題でしょう。

またセブン銀行は資金を集めずにATMの手数料だけで稼ぐという仕組みですから、預金を集められるかという問題、資産運用ができるのかという問題はいずれもほとんど関係ありませんが、ここには別の問題があると私は思っています。それはセブン銀行が「決済」機能しか果たしていないということです。「預金」と「貸し出し」という銀行本来の役割を果たしていないセブン銀行を「銀行」と呼ぶべきなのかどうか、私は疑問を感じます。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

3月14日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。

編集後記
 編集後記
事務局 一戸
グローバルマネー・ジャーナル第140号、いかがでしたでしょうか。

先週は、2010年3月の権利確定日(配当や優待を受ける権利が確定する日)でした。

特定企業の成長を応援する長期投資家にとって特に、配当金はその企業の株価上昇と同じく、資産形成や予定通りのライフプランを実現するための重要な金銭的運用益です。

もちろん投資家としては利益確定をどこかでしなければならないので、場合によってはみんなが配当や優待目当てに株を買い、おのずと株価が上がるこの時期に株を手放すことも考えなければなりません。


笑い話で、とあるフルーツを扱う企業の株価が、権利確定前に毎年急上昇するという話を聞いたことがあります。

理由は優待の果物セット目当ての「買い」らしいのですが、「優待をあきらめて持ち株を利益確定したら、その果物セットが幾つも買えてしまうほどの利益が出る」とのこと。

こんなところにも『賢い投資家』の片鱗が見え隠れしているような気がしたのは、私だけでしょうか。。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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