IPOの魅力・意欲が低下し、国の関心も起業に向いていない
2009年に国内証券取引所へ新規上場した企業数は19社となり、2008年より30社減少、第2次オイルショック以来31年ぶりの低水準となりました。一方、企業の設立から上場までの平均年数は32.8年と2008年度より9年長期化し、新興3市場体制が整った2000年以降で初めて30年を上回りました。
設立してから32年ということは、30歳で起業した人は上場時に62歳になっているということですから、驚いてしまいます。
新規に上場した企業数の推移を見ると、2000年には157社あった新興市場への上場社数は08年42社、そして09年13社と急激な落ち込みを見せています。6万社が新興市場への上場を目指していると言われている中国とは、対照的な状況になっているのが分かります。
日本も10年くらい前、渋谷ビットバレーなどと言われた時代には、3万社ほどの会社が上場を目指していると言われていました。が、現在ではその面影は全くありません。
・上場にはお金がかかる
・仮に上場しても評価されるか分からない
・機関投資家も興味を示さない
結果として、「上場を目指してもコストが膨らむだけ」ということになってしまい、IPOの魅力そのものが減少し、上場を目指す意欲を持つ会社も減ってしまったという状況です。私に言わせれば「This is ニッポン」という象徴的な出来事だと思います。
これは由々しき問題だと思います。私は起業家養成のプログラム、アタッカーズ・ビジネススクールを主催していますが、国の関心が「起業」に向いておらず、それ故、資金も流れていかないという現在の状況に危機感を感じます。
数百万円の資金があれば起業することは可能ですが、実際のところ1千万円以上の資金がないと素晴らしいアイディアや意欲があっても、思い切った行動を取れないケースが多いと思います。
こうした分野への資金確保は、国道に差し向けている予算を削れば簡単に捻出することができるはずです。しかし、誰もこの点を陳情する人がいないために実現されていないのでしょう。非常に残念でなりません。
●アルゼンチンの円建て国債は7割減
アルゼンチン政府は25日、2001年にデフォルト(債務不履行)に陥った円建て国債などについて、4月12日から新たな国債への交換を受け付けると発表しました。また同日、日本の金融庁に届け出ました。アルゼンチンは2005年、元本の大幅削減などを条件にデフォルト債の交換を実施しましたが、債権者の25%程度はこれに応じていませんでした。
現在の日本経済の状況を見ていると、日本も同じようにデフォルトする可能性があるので、こうした事例はよく目を通しておいて欲しいところです。
今回発行したアルゼンチン国債の概要は以下の通りです。
「元本削減を受け入れる場合」
100円に対して33.7円で発行。2033年まで4.33%の利息が発生。
「元本を維持する場合」
額面100円に対し100円で発行。利息は0.45%から0.94%まで段階的に上昇。
アルゼンチンのGDPに連動して運用して行くというのが基本方針のようですが、要するに「デフォルトしたため7割は返ってこない」ということでしょう。デフォルトが起こってしまったら100%そのまま紙くずになることも十分にあり得ることですから、アルゼンチンの例はそれでもまだマシな方だと言えます。
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