新生とあおぞら、合併画策のウラ騒動と巨額損失|株式・資産形成講座メルマガ

  2010/4/28(水)  
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新生とあおぞら、合併画策のウラ騒動と巨額損失

業績も財務体質も、非常に厳しい状況にある新生銀行

新生銀行は2010年3月期に1000億円を超える連結最終赤字を計上する方向で調整に入りました。不動産関連融資などで追加の引当金を計上し、損失が膨らんだ形ですが、同行は八城政基会長兼社長が業績悪化の責任をとって6月末に辞任すると発表しました。

新生銀行は様々な問題を抱えていますが、何よりも08年と09年に1000億円を超える赤字を計上していることが大きな問題でしょう。旧リップルウッドの創業者の一人でもあるJ. クリストファー・フラワーズ氏は、08年の大幅な赤字を受けて大規模な増資によって不良債権の処理にあたりました。



しかし一向に回復の兆しが見えないため、八城氏を招聘して業績回復を託したわけですが、さすがに八城氏も80歳を超える高齢で、一気に業績を回復させるような荒治療を行うのは難しかったというところだと思います。

結局、株価は約100円にまで下落してしまっています。新生銀行の07年9月期中間単独決算での赤字化などの業績悪化を受け、07年後半から08年初頭にかけて、フラワーズ氏は株式公開買い付け及び第三者割当増資で約2000億円の資金を突っ込んでいましたが、現在のこの株価状況ではものすごい額の損失になっていると思います。おそらく新生銀行の上場によって儲けたほとんどの資金を失っているのではないかと私は見ています。

このような状況のため、フラワーズ氏は新生銀行を出ていくこともできず、あれこれと画策し、あおぞら銀行との合併を目論んだのでしょう。ところが、余りにも新生銀行の財務体質が良くないため、あおぞら銀行の腰が引けてしまい、合併話が頓挫しつつあります。フラワーズ氏にとっては非常に厳しい状況だと思います。


●あおぞら銀行も、新生銀行と似たり寄ったり

ところが、あおぞら銀行にしても新生銀行と似たような状況であり、とても褒められたものではありません。あおぞら銀行のブライアン・プリンス社長が退き、後任に足利銀行前頭取の池田憲人氏を充てる人事案が浮上していることが明らかになっています。 池田氏は新生銀行との合併構想で新銀行の社長に就くことが内定しており、合併交渉は暗礁に乗り上げていますが、両行の社長人事が局面を迎える可能性があります。

金融庁の考え方としては、新生銀行とあおぞら銀行の両方に公的資金を注入したいところだと思います。しかしそれをやるとなると、「かつて政府が長銀を救済してリップルウッドとサーベラスに売却したのは間違いだった」と認めることになります。言い訳ができない状況に追い込まれてしまいます。

これは、役人としては最も避けたい状況でしょう。「あなたたち役人の責任はどうなっているのか?」と問われることを役人は最も恐れます。だからこそ、「合併するので、新たに資本が必要になる」というロジックを使い、2つの銀行の合併を画策したのだと思います。

わざわざ池田氏まで呼んできて合併の実現に向けて動いていましたが、あおぞら銀行は新生銀行との合併に後ろ向きになってしまいました。さらには池田氏を新銀行の社長ではなく、あおぞら銀行の社長に迎えたいという展開になりました。

あおぞら銀行は08年に約2400億円の損失を計上しており、今期は赤字になっていません。とはいうものの、株価はこちらも100円台で、新生銀行と似たり寄ったりという状況です。今の民主党政権であれば、「潰れるなら仕方ない」という冷えた考え方をする可能性も高いと私は思います。



私は当初からどちらの銀行も潰した方がいいという意見でした。ここに来て、困り果てている金融庁が、どうやって恥をかかずに乗り切ろうとするのか、非常に興味深い点です。また上場によって莫大な利益を得た外資系金融機関にとっては、その利益のほとんどを吐き出すくらいの損失を被ることになるので、彼らにとっても「いい薬」になると思います。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学大学院 学長
大前研一

4月18日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。

編集後記
 編集後記
事務局 一戸
グローバルマネー・ジャーナル第144号、いかがでしたでしょうか。

2年ぶりに再会した愛煙家の友人が、たばこの増税を嘆いていました。

政府の税収不足や借金肥大は火を見るより明らかですし、たばこだけに止まらず、現在様々な税金の増減見直し(もちろんトータルでは増税)が行われています。


確かにこのまま政府債務が膨らめば、どこかで日本の格付けは低下し、円は大暴落を迎えることになりかねません。

一方で、国民が半ば「仕方無いよね」と受け入れ気味の消費税は、その名の通り消費に直結するもの。過剰な消費控えは企業業績を悪化させ、株価の下落にも繋がります。

財政健全化の施策はいつの時代も収入の増加と無駄遣いの削減。そう思うと、今週第2ラウンドが始まった事業仕分けも、軽い気持ちでは見れなくなってきます。


グローバルマネー・ジャーナル、次号は再来週となります。

皆さん良いゴールデンウィークをお過ごしください!    

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