これでもまだ半分!米金融危機で使った公的資金2,000億ドル返済とその内訳|株式・資産形成講座メルマガ

  2010/6/23(水)  
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これでもまだ半分!米金融危機で使った公的資金2000億ドル返済とその内訳

日本も米国の公的資金運用に見習うべき

米連邦準備理事会(FRB)が9日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は、総括判断で「全12地区で経済活動は引き続き改善。ただし、多くの地区で回復のペースは緩やか」と指摘したことが分かりました。また、米財務省は11日、金融危機の際に大手金融機関の救済などに使った公的資金の元本返済額が、5月末時点で1940億ドル(約17兆8千億円)に達し、注入公的資金の残高を初めて上回ったと発表しました。

こうした米国の景気回復基調を下支えしたのは、おそらく「今年、米国では相続税が0%に設定されている」ことだと私は見ています。州にもよりますが、米国の相続税の負担率は日本よりも重く、来年からは相続税が復活しますが、今年だけ相続税は0%です(贈与税は0%ではありません)。これはブッシュ前大統領が仕込んでいた政策です。

オバマノミクスでも無駄遣いと言えるほど相当の資金を費やしていますから、その効果は出ているとは思いますが、相続税0%政策もかなり「効いている」と私は思います。

また、今回の発表によるといかにも公的資金が全て返済されたように聞こえますが、TARPによる支援額と返済額の主な内訳を見てみると、実際には注入された総額の「半分」だと分かります。返済されたのは、主に銀行で、完済済のゴールマンサックスをはじめ、バンク・オブ・アメリカ、シティバンクなどへの貸付の一部です。一方で、自動車業界のゼネラル・モーターズについては未だに政府がおおよそ半分の株式を保有している状態です。



政府の資金が無駄にならず、融資として機能している教科書のような事例だと言えるでしょう。同じようなことは日本でも可能です。さすがに、新生銀行やあおぞら銀行のときのように常識を疑うほどの資金を無計画に突っ込んでしまうと、全く回収することはできません。

しかし融資をする上で、「きちんと金利をとる」「回収する」「優先株で資本を入れる」「おかしな条件をつけない」などの基本事項を守っていれば、政府の資金をしっかりと運用することは十分可能です。今回の米国の発表は見事にこれを実現した事例だと思います。


●厳しい財政状況のハンガリー・スペイン/先行して歳出削減を実行するドイツ

ハンガリー、オルバン首相の報道官は4日、「ハンガリーでは前政権が(財政の)数字に不正に手を加えていた。ギリシャもそうだった。ギリシャでは、真実のときが訪れた。ハンガリーはまだだ」との見解を示しました。一方、ハンガリー政府は8日、財政政策の骨子をまとめ、公務員給与の15%カットや銀行への新規課税、及び為替変動リスクが大きい外貨建て融資の規制措置を打ち出しました。

日本も「事業仕分け」などをやっている場合ではなく、同じように公務員の半減などを進めるべきで、ハンガリーの姿勢は参考にするべきだと私は思います。

対主要通貨でのハンガリーフォリント相場の推移を見ると、フォリントは見事に下落しています。



また欧州主要国の財政収支の対GDP比でも、ハンガリーの数値は「-7.5%」くらいまで大幅に悪化することが予想されています。「真実の時」が迫っているというところでしょう。



ハンガリー以外に目を向けると、アイルランド、スペイン、ギリシャなどは財政収支の対GDP比で「-8%」を超える数値になっていて、同様に危険な状況だと言えると思います。

こうした状況の中、スペインで8日、政府の財政緊縮策に抗議する初めての大規模ストがありました。異例の給与カットに反対して公務員らが主要都市でデモを展開。政府は企業が労働者を解雇しやすくする仕組みの導入も検討しており、労組側は今月中にもゼネストを実施する方向で準備を始めているとのことです。

これに対してスペイン政府は、海外に隠し持っている資産があったとしても「国債を購入してくれるならば」罪には問わないという驚きの見解を示しています。もう一つ、スペインとユーロ圏平均の直近失業率を調べると、ユーロ圏の失業率が10%に満たないのに対し、スペインのそれは20%に届く勢いを見せています。平均で20%であり、若者だけを見れば失業率は40%近くになるでしょう。これは社会が騒然としてしまう由々しき問題だと思います。

一方、ドイツ政府は早々に歳出削減に乗り出しています。ドイツのメルケル首相は7日、11年から4年間で、総額816億ユーロ(8兆9000億円)の歳出を削減する財政再建策を発表しています。

財政状態がそれほど悪化していないドイツがさらに歳出削減を実施する姿勢に対して、サルコジ仏大統領は「緊縮ばかりでは景気後退に陥るだろう」などと独政府を批判しています。

しかし、この姿勢こそ「ドイツらしい」と私は感じます。日本も見習うべきところがあるでしょう。ドイツの場合には自国のことだけでなく、欧州全体を助ける役割・任務もあるので、このくらいの厳しい姿勢になるのだと思います。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学大学院 学長
大前研一

6月13日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。

編集後記
 編集後記
事務局 一戸
グローバルマネー・ジャーナル第151号、いかがでしたでしょうか。

日曜は父親の誕生日&父の日だったので、プレゼントを持って実家に帰省しました。

家に入ると証券会社のチラシが何種類かあったのでどうしたのかと聞くと、最近株式投資を始めたという知り合いから貰ったとの事。

よくよく話を聞けば、その知人の方が「にわか投資家」になったのは、例の第一生命上場で株を受け取ったことがキッカケだったようです。

第一生命の株主は2010年4月の上場開始時点で、国内最多の150万人と報道され、市場や経済の活性化が期待されています。

残念ながら我が家は第一生命にはお世話になっておらず、株分配の恩恵にはあずかれませんでしたが、新規上場企業数が減少の一途にある中、規模拡大にまい進する日本企業は応援したいですし、時に投資家としての下支えも、と思っています。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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