円高は、他の通貨を買うチャンス!
財務省がまとめた統計によると、日本人投資家が7月9日までの9週間で購入した外国債券の総額が7兆6980億円となったことが分かりました。2003年以来の購入ペースとのことです。
個人投資家も含め、日本の投資家は「良い勘」をしていると感じます。これほど円高が進むタイミングにおいて大切なのは、「円高でよかった」と一安心することではなく、別の通貨を買うチャンスと捉えることだと思います。「強い円」で別の通貨を買うタイミングなのです。
今の状況で言えば、ユーロは多少買いづらいかも知れません。反転する可能性も大いにあると私は見ています。また米ドルも、米国の景気が「2番底」と言われているタイミングなので買いにくいでしょう。すると、選択肢に上がるのはカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの「資源国」です。実際、これらの国の国債利回りは日本を遥かに上回っています。
2003年以来、日本人投資家による外国債券の購入ペースが衰えずに継続しているとのことですが、この傾向は「良い動き」だと私は思います。
円高の時には「円を持っていてよかった」と思うのではなく、そのタイミングで反転を見越して強い円で外貨を買い、逆に円安になったら今度は外貨から円に換える時期として捉えていくのが基本的な考え方です。
●東証は昼休みの撤廃どころか、もっと根本から見直すべき
東京証券取引所は株式売買の取引時間を延長する検討に入りました。株式の夜間取引市場の創設や昼休みの撤廃など4つの案を提示し、26日から投資家や証券会社の意見を募集し始めたとのことです。東証は投資家の利便性向上を市場活性化の起爆剤としたい考えのようです。
日本の市場は、未だに世界で数少ない「昼休み」をとっている市場です。かつて韓国の市場も同じように昼休みを採用していましたが、今では撤廃されています。基本的に市場の取引は機械で行っているのですから、昼休みなどを必要としないはずで、ずっと開けておくべきだと思います。
さらに日本の場合には昼休みの後、15時に市場が閉じてしまいます。米国を始め、世界の国は標準的に17時まで市場は開いています。それが世界標準です。日本の市場は非常に特殊な状況にあると言えます。
私設取引システム(PTS)を運営する欧州最大手「チャイエックス」が日本に参入してきます。超高速な取引が可能で取引コストも安いチャイエックスに対し、今の東証では太刀打ちできるはずもありません。
日本の市場にはさらに「特殊なルール」があり、それが世界標準から大きく逸脱していると言わざるを得ません。日本以外の市場では、早く注文されたものから優先的に処理されて約定していきます。しかし日本の場合には、「板寄せ」というシステムがあり、売り注文と買い注文を並べて、その全体バランスを見て売買を成立させることがあります。
この手のやり方はコンピュータ処理にはなじみにくく、処理に非常に時間がかかります。ゆえに、日本では取引所で始値が決定しザラバになるまでに、数分あるいは遅い時には30分くらいかかることもあり、近代的なシステムに全く適合できていません。
私に言わせれば、東証も「昼休みをやめましょう」などと呑気なことを言ってないで、もっと根本的な部分からの見直しを図るべきだと思います。取引時間延長について、証券会社の中にはコスト増などへの懸念から反対する声もあるとのことですが、全くお話になりません。これには東証はもっと強い姿勢を見せるべきだと思います。
日本の証券会社にしても、海外の市場では「普通に」取引を行っているのですから、日本で出来ない理由がありません。世界標準の「普通の」取引に対応できないというなら、グローバルにはやっていけない証券会社だということです。であれば、東証はそうした証券会社の名前を公表しても然るべきだと私は思います。
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