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FRBが6000億ドル金融緩和策を発表、その効果は如何に |
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日米量的緩和は果たして奏効するのか
米連邦準備理事会(FRB)は3日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加金融緩和策を決定しました。2011年6月末までに6000億ドル(約49兆円)の米長期国債を購入し、市場に資金を供給する方針とのことです。
このFRBの動きは明らかに「ドル安」「金融緩和」を狙ったものです。これにより、もっと大きく円高に振れる影響が出ると予想していましたが、現在のところそれほど大きな動きは見られません。
リーマン・ショック以降、日本銀行・FRB共に一貫して量的緩和施策を講じてきました。日銀は25.6兆円分の長期国債・CPの買い入れ、FRBは1.7兆ドル分の米国債・住宅ローン担保証券・政府系金融機関債の買い入れなどを実行しました。今年の8月にも日銀は30兆円規模の新型オペを拡充し、FRBは長期国債の購入を行っています。この動きは秋以降も継続される見通しです。
日銀に対して、FRBと比べて量的緩和が不十分だと主張している人もいる様ですが、現時点で日本は米国よりも中央銀行総資産の対GDP比が高いので、そこから考えると、この点については日銀の言い分が正しいと言えるでしょう。問題は市場に供給された資金が使われないということです。資金供給をしても日本ではそれを利用するニーズがないというのが現状です。
米国経済に目を向けると、2009年初頭に底に沈んでいた「ダウ工業株30種平均」がここに来て大きく回復してきているのが分かります。先日の米中間選挙でオバマ大統領が歴史的な大敗を喫した直後にマーケットが回復してきたというのは、何とも皮肉な結果です。
ただし対前日比騰落率を見ると、マーケットはまだ神経質な動きを見せていると感じます。このような不安定な状況がこの2年半ほどずっと続いてきています。
●日本国債の利回りが急騰したときには、すでに手遅れ
ポルトガル国債の利回りが3日、急上昇しました。欧州連合(EU)首脳は先週、将来的に資金調達が困難な国を救済する際は国債保有者により大きな責任分担を求めることで合意しましたが、今回の利回り急騰はそれに対する市場の最初の反応と見られています。
依然として堅調なドイツだけは国債利回りも下降してきていますが、ポルトガル・アイルランドは国債の利回りが急騰しています。中国の胡錦濤国家主席は、先日訪問先のギリシャでギリシャ国債を購入する意向を表明していたため、ポルトガルでも期待が高まっていたようです。
私としては、ポルトガルでもアイルランドでも、中国にはそれぞれの国債購入の意向を示してもらいたいところです。今後日本国債も利回りが急騰する可能性がありますが、日本の場合、国債の利回りが上昇してきたときには「すでに手遅れ」だと私は思っています。
●世界経済の新勢力図を反映したIMF拠出金分担率の変更
国際通貨基金(IMF)は5日の理事会で、新興国の出資比率を大幅に拡大する組織改革案を正式に承認しました。焦点だった国別の出資比率で日本は2位を維持しますが、6位の中国が3位に浮上。インド、ブラジル、ロシアも上位10カ国に顔をそろえることになったとのことです。
IMFの拠出金分担上位10カ国に、ついに「BRICs」の国が名を連ねる時代になりました。1位:米国(17.41%)、2位:日本(6.46%)、3位:中国(6.39%)が上位3カ国。そして、ドイツ、フランス、英国、イタリアと続き、8位:インド(2.75%)、9位:ロシア(2.71%)、10位:ブラジル(2.32%)となっています。G20参加国の半分でIMFの拠出金の半分以上を分担しているという構図です。
最近のIMFによる救援状況を見ると、様々な国の危機予防に機能していることに気づきます。
例えば、2008年11月のハンガリーには155億ドル、2010年5月のギリシャでも400億ドルの支援が実施されています。金融危機発生後、途上国だけでなく欧州諸国もIMFからの支援を受けた状況なのでIMFの資金基盤の強化は重要なことです。金融危機発生後日本などもIMFへの資金支援をしましたが、危機を未然に防ぐという点では、IMFは「有効な安全弁」として機能しているということが分かります。
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ビジネス・ブレークスルー大学大学院 学長
大前研一
11月7日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。 |
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グローバルマネー・ジャーナル第170号、いかがでしたでしょうか。
先週、私の地元横浜で開催されたAPEC。
尖閣問題はその後も日中平行線のままですが、一方で参加各国との経済連携については、日本にとって大変有意義な機会になったのではないでしょうか。
個人的に感じたことですが、APEC開催期間の前後、にわかに新興国の成長やそこに根付く企業と日本企業との提携を追ったテレビ番組が多くなったように思います。
高度な技術やノウハウの提供と引き換えに、現地の市場開拓を持ちかける日本。
投資家としてますます興味を引かれる新興国ではありますが、同時に「そのノウハウが渡ってしまった後のこと」まで考えると、この先数十年の日本経済に大きな不安を覚えます。
来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに! |
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