元高・国債・財政収入、ファクトから多面的に見る中国の強さ|株式・資産形成講座メルマガ

  2011/2/2(水)  
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元高・国債・財政収入、ファクトから多面的に見る中国の強さ

中国は再び中華思想に戻るのか?

中国の胡錦濤国家主席は米紙インタビューに応じ、ドルを基軸とする現在の国際通貨体制について「過去の産物だ」と指摘しました。また、20日付の英フィナンシャル・タイムズ紙は「他国に『臣従』求める姿勢を強める中国」と題する記事を掲載、引っ込み思案な国としての中国はもう過去のもので「中国は敬意と名声の承認を望む」傾向が強まっていると指摘しました。

このフィナンシャル・タイムズ紙の指摘は非常に面白いと感じました。これから中国が韓国や日本、東南アジア諸国といった近隣諸国に対してどのような態度をとるのかを予測しています。

米国に対しては相変わらず腰が引けている状態が続く一方、近隣諸国に対しては高圧的な態度に出るのではないか、かつての「中華思想」に戻り、朝貢外交のように他国に『臣従』を求めるのではないか、と述べています。

かつて日本が、今の中国と同じ立場にいたときには米国の衣の下に隠れてしまい、中国ほど強い姿勢を示すことはありませんでした。米国にとってこれからの中国の在り方は、全くの新しい経験になると思います。


●人民元は過去最高値を更新

先月18日の上海外国為替市場では、人民元の対米ドル相場が前日終値比0.15%高の1ドル=6.5829元で取引を終え、胡氏訪中前の段階では、2005年7月の元切り上げ以降の終値の最高値を更新しました。

これは、中国の胡錦濤国家主席の訪米記念ゆえの大バーゲンセールといったところでしょうか。中国は長い間、事実上1ドル約8元のドルペッグ制(固定相場制)となっていましたが、2005年7月管理フロート制へ移行して、1ドル約6元まで元高に推移しました。2008年のリーマン・ショックの後、1ドル6.83元で再び固定されていましたが、米国からの圧力が強くなり、またG2としての立場もあり、2010年6月人民元相場の弾力性を高める方針が打ち出されていました。



最終的には1ドル8元から6元まで上昇したということですから、割合で見れば約25%に過ぎません。かつての1ドル360円から80円まで上昇した日本円と同水準で考えれば、1ドル約2元ということになります。これは相当に厳しい道のりです。

日本ほどのイノベーション力がない今の中国には現時点ではそこまでの力はないと思いますが、少しずつ人民元は強くなっていくと思います。そして人民元が強くなりすぎたタイミングを見計らってアビトラージ(さや取り)業者が参入してきて「実は中国はそれほど強くない」などと言って人民元を売り浴びせるでしょう。いわゆる「メキシコ型」になる可能性が高いと私は見ています。


●米国債保有残高にも中国の米国離れが見える

米財務省が先月18日発表した2010年11月末の国別の米国債保有残高によると、首位の中国が8956億ドル(約73兆7000億円)となり、前月に比べて1.2%減少したことが分かりました。

一昨年、中国は米国債を大量に購入し、米国債の保有残高で日本を抜き去り、大きく上回りました。しかし100兆円に届く勢いを見せていたものの、その後はユーロやその他の通貨を買い始め、今ではコンスタントに米国債を購入していた日本とほぼ肩を並べる水準に落ち着いています。



「ドル基軸は過去の産物」と言い放つ中国の米国離れの傾向を反映していると見ることもできるかもしれません。中国のドル離れが早ければ、ドル暴落のトリガーを引くことになるかもしれないと私は思っています。


●中国は財政収入の内訳を公表するべき

中国財政省は先月20日、2010年の国と地方を合わせた全国財政収入が前年比21.3%増の8兆3080億元(約104兆円)になったと発表しました。

ほぼGDPが同じ日本の税収が約35兆円ですから、この104兆円というのがいかに大きな金額か分かると思います。しかもこれだけの収入があるというのに、中国の税率は非常に高いとは一概に言えません。

では一体中国では何が起きているのでしょうか?実はこの104兆円という金額は、全てが税収というわけではありません。統計上の発表でも「中国の中央・地方政府合算歳入」となっています。



正確な数値は発表されていませんが、土地譲渡収入が大きな財源となっています。すなわち、農民から土地を収奪してそれを商用地に転売し差額を稼いだものです。特に昨年中国で起きた不動産インフレはこの影響が大きかったはずです。

税収だけではさすがに100兆円もの金額にはなるはずがありません。仮にGDPに対して付加価値税をかけていると仮定して見ても、500兆円のGDPに対して20%もの税率をかけなければ100兆円にはなりません。

中国政府は豊富な資金を保有しているのは確かですが、その素性を公表すべきです。おそらく、半分以上は農民からの土地収奪によって生み出されたお金ではないかと私は推測しています。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学大学院 学長
大前研一

1月23日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。

編集後記
 編集後記
事務局 一戸
グローバルマネー・ジャーナル第179号、いかがでしたでしょうか。

大前研一の新刊『お金の流れが変わった!』を読まれた皆さんから、「新興国投資をしたいと思って証券会社からパンフレットを取り寄せたのですが、 どの国の商品が比較的安全でしょうか」とのご質問を、何件かいただきました。

その際私が、「投資先を考えることはもちろん大切ですが、そのパンフレットに載っている商品の『最大リスクと、それに比して得られる最大リターン』を、 きちんと把握されていますか」と逆にお伺いすると、かなりの皆さんが「投資国選び」だけに意識が向き、過剰なリスクがないかどうかは見ていなかった」と仰られ、お礼の言葉をいただきました。

決められた期間で目標の運用を達成するために、時にリスクの高い金融商品にも投資をすることは、誤った判断ではありません。

しかし、「最悪の場合どのくらいのリスクを想定しておけば良いのか」と、「そのリスクに見合うリターンが期待できる商品なのか」だけは、後悔しない投資の最低条件として、ぜひチェックしていただきたいと思います。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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