日本の「AA-」格下げは通過点に過ぎない!? 大前研一の成長戦略とは|株式・資産形成講座メルマガ

  2011/2/9(水)  
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日本の「AA-」格下げは通過点に過ぎない!? 大前研一の成長戦略とは

民主党は、大胆な債務削減が必要だと認識するべき

財務省は先月25日、2011年度予算案を基に14年度までの歳出と歳入の見通しを推計しました。それによると政府方針に沿って政策的な経費を毎年70.9兆円以下に抑えても、新規国債発行額にあたる財源不足は13年度に50兆円に迫る見通しが明らかになりました。また菅首相は翌26日、自民党の谷垣総裁が早期の衆院解散・総選挙を求めたことに対し「現時点で解散は全く考えていない」と否定すると共に「消費税率引き上げを実施するときは国民の審判を仰ぐ方針に変更はない」と強調しました。

先日、数人の民主党議員の方と話をする機会があったので、「このタイミングで抜本的な税金の話、消費税・付加価値税の話を国民にするべきだ」と私はアドバイスしました。さらに「おそらく一度は政権を失うことになるが、引き継いだ自民党が政策実行を迫られた結果、結局はまた政権が戻ってくる」と助言しました。民主党にはこのくらいの実行力と気概を見せてもらいたいものだと思います。

一般会計税収と国債新規発行額の推移を見ると、2008年に一般会計税収を国債新規発行額が上回りました。現状で言えば、税収が約40兆円、新規国債の発行額が約50兆円です。1000兆円に及ぶ累積債務を抱えている国が、さらに毎年10兆円ずつ債務を増やし続けるなど許される道理はありません。



この現状がかつての自民党政権時代から引き継がれてきたのは事実です。しかし民主党はもはやそれを理由に言い訳はできないと思います。すでに政権政党として2回の予算を組み、マニフェストの中で提言していたことも数多く予算に組み込んでいるからです。

今、全責任は民主党にあると考えるべきです。その上で大胆な債務の削減が必要だということを認識するべきです。この認識が民主党には欠けているように感じます。政権をとると思わず嬉しくなって大盤振る舞いしているのでしょうが、しっかりと現状・事実を見つめてほしいと思います。


●曖昧な成長戦略に意味はなし、成長戦略は明確に

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先月27日、日本国債の格付けを「ダブルA」から「ダブルAマイナス」に1段階引き下げたことを発表しました。これについて記者に問われた菅首相は「それ、いま初めて聞きまして。そういうことには疎いので、改めさせてほしい」と述べました。

もしかすると「疎いので」という言葉は今年の流行言葉になるかもしれません。首相が何を言っているのかと、本当に呆れるばかりです。



日本と同じダブルAマイナスに格付けされているのは、スロベニア、中国、そして問題視されているスペインなどです。さらにその下のランクには、イタリア、アイルランドなどが格付けされています。

日本の債務規模から考えると、「ダブルBプラス」くらいまで下がる可能性があると見られています。「ダブルBプラス」は今のギリシャと同じ水準です。もしそこまで落ち込んでしまったら資金調達はかなり難しくなるでしょう。そして利回りを高く設定しなければ買い手がつかないでしょうから、雪だるま式に借金が増えるという悪循環に突入します。

日本が本気で歳出削減に取り組まなければ、これが現実になるのです。今の段階からでも「少しでも改善の兆しが見えている」ということを示すべきだと私は思いますが、こうした危機感が民主党には全く見られません。

今の民主党の動きを見ていると、日本国債の暴落を防ぐ方法は歳出削減しかないでしょう。口では「成長戦略」などと述べていますが、民主党の言う成長戦略には全く具体性がなく明確さが欠けています。「観光客をもっと呼び込もう」では成長戦略とは呼べません。

例えば私が成長戦略を描けと言われれば、1兆円の予算をただ単にばら撒き戦略で無駄遣いするのではなく、「起業家を支援する資金」として活用するということを考えます。1000万円の資本金で考えると10万社の企業を支援することができます。あるいは審査の結果、優良な起業・事業プランには1000万円で、次点のものには200万円などとしても良いかもしれません。

そして、この土台造りのために、若者が起業してくれるなら国として応援するということを幼稚園のころから徹底的に教育するのです。若者だけでなく、外国人が日本で起業してくれる場合、あるいは定年退職した人が起業する場合にも適用範囲を拡大させても良いでしょう。

2010年日本のIPO社数はわずか22社です。その上、親子上場の解消などが多かったとはいえ、93社が市場から退出したという散々な結果でした。しかし、もし10万社の企業が新たに誕生すれば、統計的には数千社規模で上場できるはずです。1000社、2000社の上場企業が誕生することになれば、大きなインパクトになります。

こういうものが「成長戦略」だと私は思います。「子ども手当てに使ってみたものの半分は貯金に回ってしまい経済は活性化しませんでした」などと嘆いてもダメなのです。どうせお金を使うなら、明確な成長戦略を持つべきです。1兆円という金額が使い方によってどれほどの価値があるものなのかを理解してもらいたいと思います。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学大学院 学長
大前研一

1月30日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。

編集後記
 編集後記
事務局 一戸
グローバルマネー・ジャーナル第180号、いかがでしたでしょうか。

最近知った相場格言に、「投機家のなれの果てが投資家」というものがあります。

何も分からないまま株を始めた人が、高値掴みや売り逃しをして塩漬け銘柄が出来てしまった途端、『良い企業だからこのまましばらく持っておこうか』などと適当な理由をつけて、「にわか長期投資家」になることを指す言葉だそうですが、言い得て妙とはまさにこのことだと思いました。

とは言え、辞書で「投資」を調べると、「利益を得る目的で資金投下すること」とあり、途中塩漬け期間があったかどうかまでは問われていない様子。。。

私も含め、投資をしたことのある多くの皆さんが、一度や二度くらいそのような経験をお持ちなのではないかと思いますが、そうした教訓を活かしてぜひ、結果の出せる長期投資家を目指していきたいものです。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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