投機筋ポジション動向から見た各国通貨の今後|株式・資産形成講座メルマガ

  2011/3/9(水)  
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投機筋ポジション動向から見た各国通貨の今後

各国通貨別の投機筋ポジション動向からみた市場の相場観

ここ数ヶ月の米国の経済指標をみると、回復基調を続ける米国景気はそう簡単には腰折れしそうにありません。すでに米国の長期金利は昨年11月から大きく上昇していますが、おそらく今後も高止まりし、あるいは一段高となる可能性があります。となれば、ドルは基本的に堅調に推移すると思います。ただし、為替相場はあくまで相対感で決まってくるものですので、相手方の通貨、国の経済状況にも左右されることになります。

まず、ドルに対する見方が、そのような経済・金利状況を踏まえて変化してきているのかどうか、ドル高見通しが根付きつつあるのかどうか、投機勢の動きをチェックしてみましょう。シカゴ通貨先物におけるドルの投機ポジションは、前述の話とは逆に、このところドル売りが増えています。現時点においては、米国の長期金利上昇はドル買い、またはドルを売らないという方向には投機筋は動いていません。次に、通貨別のポジションを見てみましょう。


円ポジション、ユーロポジション、豪ドルポジションはいずれも買い持ちとなっており、全体としてドルは売り持ちとなっています。特に豪ドルは景気が堅調で金利も高いので、上下動はあるものの安定的な買い持ちが続いています。これに対して円とユーロはポジションがブレており、円は昨年前半円売りに振れていましたが、後半はずっとドル安基調だったため、「ドル売り円買い」という形で円のポジションも買い持ちが続いてきました。

その一方、ユーロについては、買い持ちと売り持ちが入れ替わるなど、投機ポジションに激しい動きがみられます。理由は、欧州の債務問題や財政問題に関する材料、イベントをうけて、不透明感と安心感が混在し、市場参加者の相場観が右往左往しているためです。ユーロのポジションでみる限り、一番大きな変動は昨年のギリシャ危機の時です。今は「欧州金融安定ファシリティ」により、各国で保証の枠を持ち寄り、そこで発行した債券を問題国の支援に使うという枠組みができています。しかしギリシャ危機当時は、明確な解決の枠組みがなく、相当にユーロが売り込まれてしまいました。その後、ギリシャ問題の解決策が決まりましたが、昨年末から本年初にかけて、アイルランドの金融・財政問題に端を発して、ポルトガルやスペインに対する不安感が台頭。ユーロは売られました。しかし、直近では一転、ユーロは買い戻されています。

こうした様々なポジション推移を経ながらも、結局、円、豪ドル、更にユーロも買い持ちとなってるわけです。すなわち、「トータルで見るとドル売りポジションが膨らんだ」状態となっているのは確かだと思います。


●為替マーケット最大の関心事は、ユーロの今年3~4月の動向

こうした状況を受けて、まだドルが売り持ちになっている今、まだ混乱が続いているユーロの動向がマーケットの関心事になりそうです。私は、おそらくヤマ場は3月末から4月初頭だと見ています。欧州の財政問題では、「ドイツ国債と周辺国の国債との利回り格差」がよく指標として使われますが、それは周辺国の国債が売られると金利が上昇するため格差が広がるという理屈です。アイルランド、ギリシャなどが周辺国として上げられますが、ポルトガルやスペインが一番のポイントになってくるのではないでしょうか。10年物「ドイツ国債と周辺国の国債との利回り格差」と「ユーロ相場の対ドル相場」の動きを重ねるとほとんど連動しており、問題国の債券が売られて金利差が広がるにつれてユーロが売られるという方向で動いているようです。


全体の流れを整理してみましょう。グラフの上昇は「売り」を意味します。

問題国の抱える問題に対する懸念が大きくなって債券が売り込まれる

ユーロが売られる

それが一服して金利差が縮小する

ユーロが買い戻される

こうした動きになっています。金利差の動きを見ると、スペインは相当に金利差が広がり、不安感が高まっています。ではここまで金利が上がったことにより、「スペインは本当に破綻してしまう」のでしょうか?そうした見立てがある一方で、実際上その確率はそれほど高くないという意見もあります。万一、持っている債券の償還が一部カットされるなどということがあったとしても、まったくゼロになるわけではないでしょうし、さらに金利差が「2.5」、そして上乗せ金利となれば、今後の債券利回り5、6%程度を視野に入れた「買い」も入ることでしょう。

「欧州金融安定ファシリティ」が発行した債券の人気も高かったですし、問題国には確かに懸念材料はあるものの「ユーロ全体に対する信任は崩れていない」と見るべきかもしれません。更にはもう一つの大きなイベントリスク、スペインの国債借り換えが控えており、金融の再調達が果たしてうまくいくのかに注目したいところです。


●最悪期を脱したかに見えるユーロの今後

一方でポルトガル支援や、スペインの住宅バブルがはじけていることなどから、「欧州金融安定ファシリティ」の資金が足りるのかという懸念もあり、事実、増額しようという話し合いもなされていますが、これについてドイツは慎重に考える姿勢を示しています。その決着の目処とされているのが3月下旬なので、逆にいえばそれまでは一筋縄ではいかないでしょう。ユーロの最悪期をいったん脱した感はあるものの、ここから手放しで順調に行くかということについては、引き続き様子見が必要です。

もう一つ、実際に欧州中銀が「利上げ出来るのか否か」を考えてみると、これまでお話してきたような財政問題や各国ごとの景気格差がありますから、ドイツやフランスなど中心国は利上げOKでも、スペインやポルトガルなど財政緊縮が必要な国はなかなか難しいでしょう。そのあたりの舵取りが非常に難しいのですが、欧州中銀サイド首脳の発言からすると、「金融正常化、超低金利の改善」というニュアンスも出てきています。それに応じて、米国とともに欧州でも金利の上昇基調が見て取れます。このところの「米欧金利差とユーロドル相場」の関係をみてみると、金利差自体はいま安定しています。米国の長期金利が上がっている割には、米国優位の方向には行っているわけではなく、ほとんど横ばい状態になっています。


米国の利上げは、今年ではなく来年ではないでしょうか。量的緩和は今年ストップする可能性が高くなっています。一方で欧州は、今年末くらいの利上げを織り込んでいるのが現状です。利上げのタイミングには差はありそうですが、10年債ぐらい長い金利の動向となると、米欧双方ともに利上げをすでに織り込んでいるのではないかと私は見ています。


講師紹介
大前研一
クレディ・スイス証券
債券本部 外国為替調査部長
チーフ通貨ストラテジスト
深谷 幸司

2月18日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
編集後記
 編集後記
グローバルマネー・ジャーナル第184号、いかがでしたでしょうか。

今月より一戸に代わって担当させていただきます加藤です。今後も有意義な情報をお届けして参りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、先進国の量的緩和が継続していますが、金利は経済情勢を見ながら変化する指標です。現在は世界的に政治・経済が不安定な状況が続く中、世界の情報をキャッチ、分析し、ご自身の投資活動に活かしていくことが重要になっています。

そういう意味では、現在は如何に資産を防衛していくのか、といった観点が重要になっているように感じます。このメルマガでも収録から3週間以内でのコンテンツ配信を行い、みなさまの資産運用(防衛)に役立てていきたいと思っております。

今後ともお楽しみいただければと思います!

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

株式・資産形成講座
加藤

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