●ギリシャ金利
選択の余地はなく、IMFもヨーロッパ中央銀行もギリシャを支援するしかないと思います。10年債の利回りも、16%という高率ですが、そこで上げ止まっている感じがします。これで一応救済という方向にヨーロッパは行かざるを得ないだろうと思います。
そこでカギになる方が、メルケル首相です。ニューズウィークの紙面にはWonder Womanとありますが、彼女は謎が多いというよりも、最近大変力をつけたという印象です。メルケル首相は東ドイツ出身で、科学者です。ベルリンの非常に有名な科学技術院のフェローみたいなものになり、政治に入ってきたらすぐにコール氏に認められて引き上げられました。
その後コール氏があるスキャンダルに巻き込まれたときにものすごい批判をし、結果としてコール氏を追い落として自分が党首になってしまった。アメリカの大統領に対しても、イラクの時は断固として行かないといいながら、アフガニスタンでは積極的に派兵をするなど、アメリカを手玉に取るような動きをしました。アフガニスタンに対し、必要な支援はすると決め、ドイツ兵が50人以上殺されていますが、やると決めたら最後までやるという人です。
最近では、ギリシャ支援をはじめとして、次々にヨーロッパのトラブルの国を支援していくのがドイツの責任と言っている。原発に関しては、当初クリーンエネルギーが十分利用できるまで延命すると言いながら、実際には厳しいストレステストを実施した上でダメなものは次々に廃炉にし、脱原発を宣言してしまう。それで力をつけていると、ニューズウィークの特集が出ていました。
●世界の株価 下落基調
現在ダウ30種平均を含め、世界の株価は下落基調にあります。グラフは主要市場株価の下落ですが、日経平均も2011年の1月からみて相当下がっています。上海も下がり、ダウもここに来て下がってきています。そこで代表的なオピニオンリーダーに、二番底の心配が出てきているのではないのかという意見が表れてきています。
アメリカオバマ大統領のマンネリズムも言われていますが、アメリカ人がお金をどこにもっていくのかというと、株は嫌だというけれど株しかないという状況があります。フォーチュンの記事におもしろい統計があります。過去20年のS&P500を見ると9.1%でいわゆる時価が上がってきています。ところが実際に株式投資をした人の株式による儲けは3.8%だというのです。
つまり間違ったときに売って、間違ったときに買っている、高値で買って底値で売るなどしているわけです。従って、放っておけば9.1%でいっているのに、焦って売って、焦って買って、実際には3.8%、アメリカ人の投資態度にもノウハウの問題があるのではないかと思われます。
ではどういうのがいいのかというと、70年代から長期的視点で見ると、S&P500に100ドル投資したとしたら40年間ほどで、1500ドル、15倍になっています。また、S&P500を構成する企業のうちで配当を払っている会社、これはやはりいい会社ということで、そこにお金を入れていたら、2500ドルくらいになっていましたということです。逆に、配当を払っていない会社に投資していたら、ほとんど増えていません。つまり、配当のある、S&P500の企業を選べば良いのではないかという話です。
投資マネーが安全資産へシフトしていると言われていますが、安全資産とは何かを考えないといけません。これは今のところ、スイスフランくらいしかないですし、あとは金かな、という状況です。しかしこれではバケツが小さすぎて、世界の巨大な金余りを吸収できないという悩みが出てきています。
金はかつて、60年代に1800ドルをつけましたが、今そこに向かってきています。また為替では、円相場をみると、どちらかというとユーロに対しては弱含みで、ドルに対しては若干強いという状況です。これがスイスフランになるとユーロに対してもドルに対しても最高値をつけ、スイスフランが一人勝ちのように強くなってきています。
安全資産として金かスイスフランという流れになりますが、いずれもバケツが小さいですから、みんなが買いにいったら一気に沸騰してしまうという恐れもあります。
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