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●株式投信への資金フロー 世界株式 QE2後、1.5ヵ月サイクルで動く
上の表はアメリカ株式投信に毎週どのくらいのお金が入っているかという表です。下はイギリスのグローバル投信にどのくらいのお金が入っているかというものです。世界中では、どちらかというとアメリカの株式投信よりも、イギリスのグローバル投信の方がお金を集めています。
世界的な金融機関の運用チームの多くはロンドンにあり、基本的にロンドンで世界のグローバルアロケーションを決めています。一番優秀なファンドマネージャーはロンドンにいるので、世界中の投資家、特に中東や中国のCICのお金が集まっています。従って、ロンドンのお金がどう動いているか見ることが非常に重要です。
残念ながら、これらは4月いっぱいまで32週間連続で買い越されていましたが、5月から急に売られました。ただし、直近2週間だけは買い越しになっています。ということは今後再び、去年のジャクソンホールミーティングの後に長期間で上がったような相場が戻るのかというと、絶対にそんなことはありません。
買い越しが続いた32週間は、QE2による資金サポートで余ったお金のおかげで世界の株価が上がるだろうという観測により買っていたわけです。既にQE2は終了しているので、今後はそれ以前、去年の7月、8月頃までの相場に戻っていくと思われます。
去年の7月8月頃までの相場は、タクティカルトレーディングといって、1.5ヵ月買ったら1.5ヵ月売るという、1年間に4回も5回も売り買いのサイクルが波状に続く非常に不安定な相場でした。今回の買い越しも続くものではなく、そうしたサイクルで動くと思われます。
そのサイクルでいくと、今回は6月15日から世界のマーケットは陽転しているので、7月末から8月始めくらいまで上がった後、8月半ば頃から下落しそうな雰囲気です。これは去年と全く同じパターンです。去年もスペイン危機でマーケットが下落し、7月半ばまで戻り相場で上がりましたが8月2日に下がり始めました。今回も、理由もなく8月半ばには下がり始める局面がありそうなので、気をつける必要があります。
ただ、ガソリン価格が下がっていることから、アメリカのISM指数が回復し、それを受けて8月は上がり続けたまま終わる可能性もあります。だとしてもやはり9月頃にはエネルギー切れとなりそうです。いずれにしても、寿命としては1.5ヵ月から2ヵ月の相場を想定しておく必要があります。
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●中国外貨準備 日本株買い
日本の小型株が買われていますが、買っているのは中国のファンドだと思われます。今後も中国は長期的に日本株を買ってくると思います。
グラフは外貨準備高が急激に増えている理由を説明するものです。リーマンショックの前までは中国の貿易黒字が増えれば増えるほど、バランスをとるために外貨準備高が増えました。ところが直近の例ではFDIに連動しています。FDIとは、対内固定資産投資で、外国から中国に対して投資されるお金です。
つまり世界中から中国に入ってくるホットマネーの流れと似ているデータということになります。グラフからホットマネーの流入の勢いに合わせて、中国政府が外貨準備高を増やしているのが分かります。
その外貨準備は今後どのくらい増えるでしょうか。人民元が今後上がるのは明らかなので、アメリカでも米債券運用で人民元で受け取るファンドが人気になっています。機関投資家以外にも人民元を買っておこうという動きが増えてきているわけです。そうしたお金が人民元に入ってくる以上、中国政府はバランスをとるために外貨準備を増やし続けるわけです。
私の調査では、今後1年間で25兆円から30兆円くらいは外貨準備を増やさないと、バランスがとれないということです。つまり、今後4年間で100兆円増え、4年後には約300兆円の世界で一番大きな外貨準備となります。それだけ大きなポートフォリオですから、当然分散投資が必要で、中国の外貨準備局は3ヵ月に一度3兆円ずつ中国のソブリンウェルスファンドであるCICに資金を供給しています。
その3兆円のうち、65%は世界の株に行きます。そして、そのうち17%は日本株投資に充てられるのです。普通、世界の機関投資家は日本株は8%ですから、かなり大きな割合です。金額にすると1年に7500億円になりますが、5月末にはすでに5500億円買ってきているので、少し速いピッチで買っているようです。
震災後の日本株が割安なことから、もしかしたら、7500億円以上買う可能性もありそうです。
中身を見ますと、大型株は少なく、小型株がメインになっています。TOPIXの小型株指数採用銘柄の中で時価総額が大きい銘柄、特に製造業が買われています。
方向性を簡単に変えるとは思えないので、少なくとも1年近くはこうした買いが続くと期待してよいと思います。
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