拡大するソブリンリスクの課題とは?|株式・資産形成講座メルマガ

  2011/7/20(水)  
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ビジネス・ブレークスルー 株式・資産形成講座事務局の加藤です。
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今回は先日緊急収録いたしました平山賢一氏「政府債務拡大と国債市場」より抜粋してお届けいたします。マーケット環境を捉える、資産形成を実現するためのとっておき情報を、最後までどうぞご覧ください。


本文タイトル
『拡大するソブリンリスクの課題とは?』


●ヨーロッパで急上昇しているCDS

 今ヨーロッパでは、CDSが大変な勢いでマーケットを揺るがしています。CDSとは、一種の保険です。たとえば、ギリシャの国債を100万円分買っていたとすると、もしギリシャが破綻してしまった場合でもその100万円を戻してくれるという保険に、どのくらい保険料を払えばいいのかというのが、CDSのプレミアム(保証料相当額)です。

 お金を貸したり、債券を買ったりしたときに、その信用リスクに保険をかけるときの額が、CDSのプレミアムというわけです。グラフは2006年12月以降の推移を表していますが、ギリシャの数字は6月末で2000bp、その後7月には2300bpにもなっています。これは23%(100bp=1%)の保険料が必要ということを示しています。

 5年間でギリシャという国が破綻しても保障される保険を100万円買ったときには、保険料を年間23万円払う必要があるということです。5年間23万円払い続けたら、100万円を超えてしまいます。それほどギリシャの信用リスクが高まっているいうのが現状です。

 他には、ポルトガルやアイルランドで8%程度、スペイン、イタリアは2%ほどですが、イタリアは7月に入って3%ほどに急激に上がってきています。ギリシャも6月、7月に急激に上がっているので、金融市場の参加者が皆注目しています。一方で、ユーロの中心の国ドイツは1%以下で安定しています。ユーロのマーケットの中ではドイツなどがユーロの国々を支えなくてはならない状況になっています。

 他の先進国のCDSを見ると、日本、中国、アメリカの保険料は非常に安くなっています。日本国債は大丈夫だと昔から言われていますが、イタリアやポルトガルなどと比べると保険料は安く済んでいます。興味深いのは中国との比較です。中国の方が信用リスクがあって保険料が高かったわけですが、中国が外貨準備で購入した米国債の額が日本を超えたといわれた頃から、中国と日本の位置が近づき、日本の方が高い時も出てきています。

 こうしたことからも分かるように、政府債務問題の震源地はヨーロッパで、今後は大きな火種になってくるような動きが見られています。今年は後半にかけてヨーロッパを中心とした政府債務の問題が大きな影響を与えてくると思われ、注目点として考えていく必要があります。


●債務の歴史から問題を読み解く

 債務サイクルの歴史を知ると、状況がよく理解できます。人類の歴史は貸し借りの歴史で、メソポタミア以前から、余ったものを貸して金利を受け取るということをしていました。メソポタミア時代には銀や穀物の種を貸した時の金利は2割から4割でした。以降も、借りすぎてはひっくり返り、また借りすぎて、ということを繰り返してきました。特に王様が戦争するときには借りすぎてしまうケースがよくありました。

 20世紀に入ってからはどうかというと、アメリカの借金の状況を示したのがグラフです。米政府、個人、企業、それぞれの借金を当時のGDPと比較して何パーセントくらいあったかを示しています。1920年から29年までは、企業、個人の借金が大きく増えました。ところが、大恐慌の29年から急激に落ちていきます。

 借金をたくさんすると消費に回り、経済が活性化します。一方借金が減る時は経済が停滞します。それではまずいということで、その後、政府の借金が増えていきます。経済を回復させるために政府が国債を発行して、ニューディール政策のようにいろいろな公共工事で消費や企業収益の減退を補おうとするわけです。当時、政府の借金は120%くらいに膨らみました。この借金が増えすぎた状況の中で、一つの手段として、戦争に突入していくことになりました。

 戦後は一旦落ち着き、個人も企業も借金を増やしていきます。特に90年代後半はITバブルと言われたように、通信会社やIT企業を中心にどんどん借金をして設備投資をしました。それが行き過ぎて、2000年からひっくり返ります。ここで普通なら政府債務によるてこ入れがすぐ入るのですが、この時政府は個人(家計)の借金を利用しようと考えました。当時増えてきた低所得者層にも家を購入してもらうため、借金ができない人たちでも借金が可能なように基準を緩めたのです。

 ITバブル後、2000年代には不動産への投資をしやすくしたために、個人の借金の規模が急激に上がりました。当時企業は借金を減らし、設備投資も抑えて、キャッシュを溜めていきました。その分、経済を活性化させるために個人が中心になって借金をしたわけですが、今度はこれもひっくり返ります。結局2008年、サブプライムショック、リーマンショックへとつながるのです。

 そうなると政府が出るしかありません。そこで、政府が借金をして、自動車を購入しやすくするなどの経済政策をしました。それと同時に国の借金の増加をなんとかするために、FRB(米国の中央銀行に相当する機関)が政府の債務をどんどん購入することになりました。マネーサプライを増やし、FRBが国債に相当するエージェンシー債の残高を増やしていきます。

 すると、マーケットから政府の債務を吸い上げてしまうので、それまでエージェンシー債に投資していた人たちが余ったお金を投資したので、2009年から株式市場、コモディティー市場が上昇し始めたというわけです。

 このように借金が一番のポイントであり、今後この政府が増やした借金をどうするのかというのが現在のソブリン問題というわけなのです。

講師紹介
平山賢一
ビジネス・ブレークスルー大学 株式・資産形成講座講師
東京海上アセットマネジメント投信株式会社
運用戦略部 チーフファンドマネージャー
平山 賢一

7月13日撮影
「政府債務拡大と国債市場」より抜粋し、一部再構成したものです。



編集後記
 編集後記

グローバルマネー・ジャーナル第201号、いかがでしたでしょうか。

経済情勢を踏まえ、資産運用・形成していくためにご活用ください。

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それでは、来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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加藤

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