欧州各国、アメリカ経済の現状を探る|株式・資産形成講座メルマガ

  2011/9/21(水)  
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本文タイトル
『欧州各国、アメリカ経済の現状を探る』

●欧州各国の本質的問題を探る

  欧州危機は、本質的には、ヨーロッパにおいて非常に大きな不均衡が存在していることが最大の問題だと思います。欧州各国のGDPに対する経常収支の比率を見ると、ドイツは2000年初頭、欧州通貨統合が実現した時点では、あまり黒字はありませんでしたが、その黒字が増え、いまやGDPの5%にあたる大幅な黒字を計上するに至っています。


 このようにドイツが大きく黒字を増やしたこととは裏腹に、南ヨーロッパ諸国の赤字がどんどん増えました。つまり、この欧州通貨統合の10年間に、ドイツが貿易において一人勝ちし、ほかの国々がドイツから借金をして経済を運営するという、ある意味かなりいびつな構造が定着したわけです。

 南の諸国はドイツからの借金によって経済が営まれるという状態なのです。従ってドイツは余計な貯蓄があり、それ以外はむしろ貯蓄不足で、ドイツが余った貯蓄を南に融資することによってヨーロッパ全体は安定して成長できたということです。

 ところが、今回のように金融危機が起き、南が、貸したお金を返せなくなるかもしれない不安がでてくると、このドイツに溜まった多くの貯蓄が南に流れなくなります。南は借金ができないので、成長もできなくなり、その結果として、ドイツは余ったお金の行き場がなくなります。あるいは南への輸出ができなくなることで、供給力の過剰が起こります。

 それと同時に、実はこのドイツが余ったお金を南に融資している間で働いていたのがフランスやドイツの大銀行で、南の諸国が借金が返せなくなると、結局大幅な不良債権を抱え、場合によっては破綻してしまうかもしれません。

 つまり、このドイツの貯蓄を南に回していくというメカニズムが機能しなくなると、南が財政破綻や景気の大幅な落ち込みという困難に陥るだけでなく、かたやドイツは大幅な不良債権、大幅な過剰貯蓄、そして大幅な設備過剰に陥るわけです。そう考えると、この不均衡は直ちに止めてしまうわけにはいかず、ドイツは余ったお金を南に融資し続けざるをえないというのが、現在の情勢だと言えます。


●アメリカ経済と日本経済との比較から問題を探る

 アメリカ経済については、多くの人々が日本のような長期デフレに陥ってしまうのではないかと不安に思っています。確かにアメリカは長期的に見て日本と同じようなバブルを作り、それが破裂してリセッションに陥り、金融不良債権がたくさん溜まり、その処理でしばらく経済が停滞するという過程を歩んでいます。日本と非常によく似ているので、アメリカは日本のようになるはずだというやや性急な議論がよく聞かれますが、日本とアメリカには非常に大きな相違点があり、アメリカは日本のようにはならないと思います。

 まず、アメリカと日本の相違点の一つは、バブルのスケールです。日本の不動産バブルは1980年位を起点としてとっても、10年間で4倍近いところまで急増しました。そしてバブルが潰れて底入れをするまで15年かかっています。


 それに対してアメリカのバブルは2000年からせいぜい5年少しで1.8倍から1.9倍というレベルで、日本と比べるとかなり小さいのです。つまり、バブルが潰れたという問題は同じでも、結局負担しなければいけないバブルの規模、残される不良債権の大きさはかなり違っているのです。この点で、日本ほど深刻にはならないと考えられます。

 また、さらに重要な相違点は企業収益です。日本とアメリカの、金利と物価の推移を見ると、日本は1990年代以降金利がどんどん下がり、その局面で、97年頃から事実上デフレに陥っていきました。金利が3%をきった時、日本の国債はバブルだという議論が盛り上がり、多くの投資家は日本の国債を売りました。しかし、その後長期金利は1%割れまでいき、むしろこの時点では積極的に買うべき局面でした。

 これと非常に良く似た状況が今のアメリカです。アメリカの長期金利はどんどん低下し、1%台まで落ち始めています。同様にアメリカの国債はバブルだと言われ、きっと物価も同じようになるに違いないという見方があるのですが、決定的に違うのが企業収益なのです。

 それぞれのROEを比較したグラフを見ると、日本では企業収益が悪化する場面で金利が低下しているのがわかります。当時は企業も本当の意味でのリストラに手がついていませんでしたし、銀行の不良債権の問題もまだ水面下でした。これからもっと企業が悪くなり、不良債権の処理もかさむという入り口で金利低下が起こっていたのです。


 一方アメリカの場合は、ROEがV字型に回復していますし、企業利益自体は過去のピークを超える水準になっています。金利が低下している、バブルが潰れて手詰まりになって不安が高まっている、という点ではよく似ているものの、企業収益が決定的に違っているのです。

 企業収益が潤沢であることによって、アメリカはこれから投資やリスクテイクをする原資を企業が十分に持っていると言えます。資本主義経済において、企業収益はエンジンで 家計の需要やGDPは車体と例えることができます。今アメリカはエンジンはピカピカで車体はぼろぼろという状況なので、見た目はよくありませんが、エンジンがしっかりしているということは、いずれ、景気が良くなっていく条件があると言えると思います。


講師紹介
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ビジネス・ブレークスルー大学 株式・資産形成講座講師
武者リサーチ代表
ドイツ銀行グループアドバイザー
埼玉大学大学院客員教授


武者 陵司


編集後記
 編集後記

グローバルマネー・ジャーナル第210号、いかがでしたでしょうか。

経済情勢を踏まえ、資産運用・形成していくためにご活用ください。

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それでは、来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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加藤

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