大前研一の株式・資産形成講座メールマガジン   2011/11/16(水)  
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第218回目発行!株式・資産形成講座メルマガです。

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ビジネス・ブレークスルー 株式・資産形成講座事務局の加藤です。
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今回は大前研一ライブより講義内容を抜粋してお届けいたします。資産形成を実現するためのとっておき情報を、最後までどうぞご覧ください。


本文タイトル
『ギリシャ問題、欧州問題を考察』

●与野党反対で国民投票撤回 ~パパンドレウ首相~

 パパンドレウ首相の辞任については、大連立の中でG20およびその前のヨーロッパのサミットで決まったことをギリシャは受け入れざるを得ない、つまり、ユーロ脱退のようなことはあり得ず、ギリシャがそうなった時は終わりなのだということを言って辞めるという決意を固めたようです。

 ただ、パパデモス氏が新たに首相に就任しましたが、その政治的手腕は未知数ですし、ギリシャ議会はずっと不安定です。ギリシャは今までにもいわゆるデフォルトのようなことを何度も起こしており、その意味でトラブル続きだったこの国がEUに入り、ユーロという通貨圏に入るために、神妙にシンクロナイズというか、マーストリヒト条約に沿うような形で経済をドレスアップしたということは間違いないのです。その後もとに戻ってしまったわけで、ギリシャというのはそういう国なのでしょう。

 国民の方も、緊縮財政はたまらないということで、結局パパンドレウ首相の引っ張りだした国民投票というものはヨーロッパ中から非難をうけましたが、彼にしてみると、ユーロ連合を脱退するのなら国民に決めてもらえばいいと思ったのではないでしょうか。しかし、EUが支援の見返りに要求する緊縮財政はやりたくないという国民がアンケート調査で6割を超えていたわけで、これではリスクは大きいと言えます。そこで、ヨーロッパ側から強い圧力が入り、大連立、救国内閣という方向に動いているわけです。

 ただ、ギリシャのことですから、これはまだどうなるかわかりません。ギリシャという国はかつて民主主義を産んだ国なのです。ですが、世界で一番最初に衆愚政治に入った国でもあります。ギリシャは、政府が国民に対して甘いことを言い最終的には失業が増えたら公務員にすることによって失業を減らすということをしていて、結局、衆愚政治が治療不能なところまできている国なのです。

 日本も衆愚政治ですから、他国のことは笑えませんが、いずれにしてもギリシャは30%という10年債利回りの水準を見る限りでは事実上デフォルトと見なさざるを得ないでしょう。前回のヨーロッパサミットの時に50%の国債を棒引きすることになりましたが、普通の場合はこれをデフォルトと呼びます。ヨーロッパ人はデフォルトと呼びたくなかったようですが、フィッチ社などはデフォルトであると言っています。


 アルゼンチンがデフォルトして10年後に7割を捨てさせ、3割だけ返したように、デフォルトというのはこの20年にいくつかの国がやっていますが、ギリシャの場合も既にデフォルトで、国債を持っていた人は紙くずにはならなかったものの50%になったということです。ただし、この50%でさえも払えるかどうか分かりません。専門家の中には今のギリシャでは残った50%も払えず、また何年か経った時にさらに何%かが棒引きとなるのではという人もいます。その可能性は十分あると思います。


●欧州危機拡大阻止へ協調 ~G20首脳会議~

 今回のG20は、サルコジ仏大統領が一生懸命盛り上げていましたが、結局何をやったのか全然わからないものでした。イタリアが実質的にIMF管理になりましたが、四半期ごとに厳しい査定をするということで、イタリアがこのままギリシャに引き続きデフォルト状態となれば、たとえ30%の棒引きでもイタリアの場合は大きいので、ギリシャの比ではありません。イタリアではすでに政治の危機でベルルスコーニ首相退陣というところまでいきそうです。


 今回の動きを見ていて、IMFの新しい専務理事、ラガルドさんはいいですね。彼女はベルルスコーニ首相の腕をねじ曲げて、ここまで合意させてしまいました。今回の措置はサルコジ大統領ではなくてラガルド専務理事の力です。しかもCNNのインタビューでは、「私は何もしていない、彼の方から申し出ただけだ」と語っていましたが、1つずつのロジックを聞いてみるとこの人は大したものだと思いました。

 マーケットがはしゃいで、ヘッジファンドなどがイタリアなどのデフォルトに絡んで儲けようとしますが、それは彼らの仕事だからよいのではないかとし、ただ、我々はこれを落ち着かせる責務があるという、立場の違いを明確にしました。また、我々には我々のやり方があって、そのうちの一つがこのIMFによるイタリアの監視であり、しかもこれは厳格にやるというのです。インタビューを聞いていて、スターが一人誕生したというか、IMFの新専務理事はなかなかやり手だという印象で、期待が持てます。

 グラフはヨーロッパの国債の利回りです。イタリアに続いてスペインも火がつくと大変ですが、イタリアのすぐ後にスペインが控えているという状況です。イタリアの場合にはGDPの120%の赤字が積み上がっています。日本は200%ですからこの数字から見るともっと大変なはずですが、今のところ、国債利回りが安定していて騒がれていません。

 またEFSF(欧州金融安定ファシリティー)への出資については、アメリカは基本的に中国などがIMFにのさばってくると困ると思っています。日本は、野田首相は継続してやるとしていて、20%続けて出すということでしょう。日本の場合は出資をすることによって、円高対策への各国の協力を望んでいるようですが、私はEFSFには資金を出して構わないと思います。ヨーロッパが4割、日本が2割と中国よりも出していますが、日本の問題は毎年の赤字と今の累積債務であり、手持ちのキャッシュはあるからです。


 一方、中国政府は検討しますと言っているだけですが、やはり資金を出すとIMFでの権限拡大や、市場経済の国だと認めてもらいたいとか、人権問題などの国内問題は放っておいてほしいとか、ダライラマともう会わないでといった要求につながります。ブラジルも基本的には権限を拡大したいということで、今回はG20でいわゆるBRICSの4つの国々が会談していますが、このようなことを話していたのだと思われます。


講師紹介
内藤眞弓
ビジネス・ブレークスルー大学 株式・資産形成講座
学長


大前 研一


11月6日撮影、大前研一ライブより抜粋してご紹介しております。
編集後記
 編集後記

グローバルマネー・ジャーナル第218号、いかがでしたでしょうか。

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それでは、来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

株式・資産形成講座
加藤

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