大前研一の株式・資産形成講座メールマガジン   2011/12/7(水)  
最新・最強・最高クオリティの
Message
第221回目発行!株式・資産形成講座メルマガです。

メルマガをご覧の皆様、こんにちは!
ビジネス・ブレークスルー 株式・資産形成講座事務局の加藤です。
このメルマガでは、皆さんの資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびにプロとして活躍している 一流講師陣の視点から、毎週リアルタイムにお届けしていきます。

今回は金融リアルタイムライブより講義内容を抜粋してお届けいたします。資産形成を実現するためのとっておき情報を、最後までどうぞご覧ください。

2012年1月22日、前回満員御礼だった宮島秀直氏 公開収録セミナー開催決定!

1月スタート受講生募集中!大前研一ライブ1ヶ月分プレゼント!


本文タイトル
『利回り格差が拡大するユーロ相場を考察』

●ドイツ国債(10年)との利回り格差とユーロ相場

 マーケットを支配しているユーロ危機が続く中、ユーロ相場は、イタリアやスペインのドイツ債との利回り格差と同じように上下してきましたが、ここ最近は債券が売られている程度と比べるとそれほどユーロは大きく売られていないという印象です。ただ、最近の部分のみグラフにすると細かい動きには反応しています。

 ユーロドル相場の動きは米欧間の金利差による部分も大きく、債務問題のみで動いていないので、債券利回りとの関係は常に一致はしませんが、やはり4月以降の動きを見ると、イタリア債やスペイン債が売られるとユーロも売られています。欧州の債務懸念増大でユーロ安という形になっていると言えます。


 グローバルにもほとんどの投資主体がユーロに対して弱気になっています。しかし、逆に言うと、それだけ弱気の人間がいる中、投機的にユーロ売りをしていたり、あるいは既に欧州債に対するヘッジをかけていたり、あるいはユーロに関して為替のヘッジをかけていたり、ということが考えられるので、逆に下がりにくいという見方もできます。

 また、新興国を中心とした海外の中央銀行や政府が、外貨準備としてややユーロを買う動きもあります。民間部門はほとんどユーロ安ビューでユーロ売りに固まっていますが、買い手は誰かというと、海外の政府ということになります。

 さらに、最近は欧州の状況がこれだけ悪化してくると、欧州の投資家が海外から資産を売却して欧州に戻してくるという、いわゆるリパトリの動きもあるようです。これはネガティブなユーロ買いですが、こうしたことがユーロの下値を抑えていると考えられます。

 ただ、こうした動きが長続きしないとなると、水準的には1ユーロ=1.30ドルにトライ、さらに1.30割れも可能性としてはありえると思います。一方のドルが金利がそれほど高くないので、どんどんとユーロが下がるわけではありませんが、中長期的に見た場合には、1.25くらいがユーロドル相場の適正とも言われていますので、まだユーロは割高で、下落余地はありそうです。


●短期金融市場のストレスとユーロ相場

 現在、問題なのは、欧州のインターバンク、銀行間取引で、資金繰りが厳しくなり、銀行間で資金のやり取りができなくなってきていることです。先物金利での銀行間の上乗せ金利(調達コスト)のグラフを見ると、夏以降、大きく上昇しています。インターバンク市場が混乱し、銀行間の資金繰りがきつくなるにつれて、ユーロドルもユーロ安(青ライン・上方向)に進んでいます。

 より詳しく見るために、ユーロ調達の金利とドル調達の金利、それぞれとユーロドル相場の推移を重ねて見ると、ドルの調達金利の動きとの方がより相関しているのがわかります。目下のところ、問題はドルの調達にあるようです。


 リーマンショックの時もそうでしたが、結局、資金繰りで問題になってくるのは欧州でもやはりドル資金なのです。グローバルに資産を持っているところも、ドルで資金調達していることが多いからです。欧州の金融機関にしても、例えばアジア向けの信用供与の大元は何の資金かというとやはりドルなのです。

 ですから、ただでさえドル資金の調達が必要な部分が結構大きいのです。また、ユーロならある程度ECBがコントロールしてくれますが、グローバルにドルを銀行間で調達しようとすると、欧州の銀行がFRBから借りることは、なかなか難しく、そうしたことからも、ドル資金の調達が厳しくなっているのです。

 そこでどうしてもアセットを落としてドル資金の調達も少なくすることになります。つまり、ドル調達の困難さから、いろいろなアセットが売られ、欧州の銀行はドルを返済するという動きになってくるのです。ドルの資金需要が増すことから、対ユーロのみならず、いろいろな通貨に対してドル需要が高まることにつながると考えられます。

 さらに問題として、金融株の下落があります。日本でもそうでしたが、銀行株が下がり、個別の銀行株が下がっている事自体が、その銀行に対する不安を煽り、インターバンクで資金を調達できなくなり、ますます苦しくなるという悪循環が起こります。

 ユーロの上乗せ金利と欧州の銀行株指数を比較すると、調達コストが上がると同時に金融株が下がって(上方向)います。逆に、金融株が下がっているので、上乗せ金利が上昇しているとも取れます。いずれにしても、金融株指数は安値をさらに抜けようとしている水準です。

 こうなると、先般、欧州の自己資本不足が1065億ユーロだと明らかになりましたが、その後のイタリア、フランスなどの債券の下落もあり、おそらく要調達額はもっと膨らんでいる可能性もあります。ですから、債券相場の下落が金融機関に直接ダメージを与え、さらに調達コストを上げる形になっているわけです。

 それが銀行間の信用機能を停止させ、足元は悪い方向に来てしまっているという状況です。ECBが流動性をマーケットに供給しても銀行間でそのお金をやりとりしないので、実際には縦のラインしかないというのが現状です。

 こうした流れを止めるには、とりあえずECBが資金供給をして銀行を持ちこたえさせながら、債券市場を混乱させている財政問題自体の改善に向けたシナリオを描いていく以外ないでしょう。また、景気の先行き見通しが改善していくこともプラスにはなるので、今のところ経済指標は良くないですから、大胆な利下げなど、ECBの金融政策で支えていくしかないと思います。


講師紹介
深谷幸司
ビジネス・ブレークスルー大学 株式・資産形成講座 講師

クレディ・スイス証券
債券本部 外国為替調査部長
チーフ通貨ストラテジスト

深谷 幸司


11月24日撮影、金融リアルタイムライブより抜粋してご紹介しております。
編集後記
 編集後記

グローバルマネー・ジャーナル第221号、いかがでしたでしょうか。

経済情勢を踏まえ、資産運用・形成していくためにご活用ください。

年金問題、少子高齢化、世界経済の混乱の高まりなど、将来に向けて資産を防衛するためのファイナンシャルリテラシーの必要性は日に日に高まっています。ファイナンシャルリテラシーは生涯に亘り重要であり、これはご自身だけではなく、家族でも共有すべき考え方だと思っています。

世界マーケットが混乱する「今」こそ、生涯重要になるファイナンシャルリテラシーを高めておく時期ではないでしょうか?

⇒ 詳細、申込はこちらから!(株式・資産形成講座トップページ)

それでは、来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

株式・資産形成講座
加藤

| 配信先変更・配信停止 | お問い合わせ | 個人情報保護方針 |

copyright(C)BUSINESS BREAKTHROUGH Inc. All Rights Reserved.

資産形成について少しでも知識を高めたい方はまずは無料講義体験へ。

  • 無料講義体験
  • 講座申込み