大前研一の株式・資産形成講座メールマガジン   2011/12/27(火)  
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本文タイトル
『金価格が上昇する可能性を考察』

●金価格が上昇する可能性を考察

 2011年の商品価格を振り返ってみると、2001年1月4日を100とした指数で、12月23日は、NY金が116.5、NY原油が115.6、シカゴコーンが101.81と100を上回っている。一番悪かったのはNY砂糖で76.1である。 これに対し、DOW平均株価は103.6であるが、日経平均株価は80.7(12月22日)と株価は低迷した年であった。



 新興諸国の株価は、フィリピン103.6とジャカルタ101.0は水面上であるが、タイSETI99.5、シンガポール96.3、マレイシア96.4、英国FTSE92.5韓国指数88.6、豪州86.4、ブラジルボベスパ81.6、フランスCAC79.2、台湾加権79.0、ロシアロイター78.8、香港ハンセン78.7、インドセンセックス76.8、イツDAX74.1ベトナムVNI73. 3上海B株70.4、と軒並み年初の価格を下回っている。


 『商品投資』は分散投資として有効であり、株価の低迷を補う効果があったと思われる。商品だけを買うのではなく、証券投資を行うなら一部の資金で金や原油、穀物を買っておくのは、今後共リスクヘッジの王道ではないだろうか。日本では、商品先物投資が日陰の存在になっているが、いまや中国の三市場(上海、大連、鄭州)はシカゴやニューヨークの向こうを張る出来高となっており、インドムンバイのMulti Commodity Exchange of India Ltdの出来高も世界のトップテンにリストアップされている。

 ちなみに、東京商品取引所の出来高は漸減傾向にあり、昨年は世界11位であったが、その地位は今年も更に韓国や台湾などに押されていると思われる。またロンドン証券取引所の商品ETF(上場有価証券)は150種類以上ある。日本でも商品のETFの数が増え、数千円から投資できる仕様になっている。

 1976年オンス当たり100ドルだったNY金価格は、30年後の2008年3月、10倍の1000ドルを超え、今年の9月には1923.7ドルと史上最高値を付けた。1年6ヵ月で2倍近くに上昇したNY金価格は、9月27日と12月25日に二度大きな暴落を招き、3日間で150~200ドル、約9%の下落であった。これは、ファンドの買い建て玉が多くなると手仕舞い売りによって価格が下がる現象が起きたものと思われる。二度とも、金だけでなく、また商品価格だけでなく、株価や債券市場からもリスク資産からの撤退という現象が見られた。

 今後の金価格を予想するに、その背景にある需給の引き締まりを見逃すことはできない。即ち、金の供給は鉱山生産が頭打ちであり、世界一の金生産国中国の生産量は、統計上は供給量に入れられるが、中国はインドと共に世界一、ニを争う金の輸入国であり、中国国内で生産された金地金は1トンも国際市場には供給されないノミナルな供給量である。

 また、過去大きな供給源であった、ドイツやフランス等金保有国からの金売却は止まっており、逆にロシアなど外貨準備の一部として恒常的に金を購入する国が増えている。金は供給量に限りがあると言える。一方で、需要は、投資需要を中心に増加しているが、全体では宝飾品需要が減少しているので横ばいである。

 しかし、宝飾品需要は、金価格が高いために減少しているのであり、いずれ金価格が安定すると復興する性格の需要である。金価格の背景にはこうした根強い金需要に対する、金地金の供給不足という前提がある。

 金価格は、こうした供給不足という背景以外に二つの理由によって上昇する可能性がある。

 一つは、金融機関の倒産リスクを含む金融不安である。欧州の債務危機は去ってしまったわけではなく、ギリシャやイタリア、スペイン国債のデフォルトリスクは、常にその危機を内在している。ギリシャ国債を保有する金融機関は50%のヘアカットを余儀なくされたが、今後も3ヵ月ごとに、残りの50%の損失も覚悟せねばならない事態とならないとも限らない。

 イタリアやスペイン国債の利回りが上がる(価格が下がる)ごとに、これらの国の国債を保有する金融機関は何もしないでいても評価損失が膨らむ。こうした金融機関の倒産リスクの増大は、資産の預け替えを産み、その際に信用リスクを含まない実物安全資産としての金に、資金の一部が回ることが連想される。2012年6月までには、欧州の金融機関は自己資本比率を9%以上にする必要があるが、それには1164億ユーロ(約11兆円)という巨額の資金が必要となる。

そのため欧州金融機関は資産を売却する動き、つまり、貸し渋りや貸しはがしが行われる可能性が高く、それが欧州の企業ばかりでなく、欧州金融機関から融資を受けているアジアの企業の運転資金不足にも影響し、企業投資活動が不活発になり世界的な不況への連鎖となりえる状況である。これは金価格には直接の影響は無いと思われるが、原油やプラチナ、銅、アルミ、ゴム等の工業用素材価格に下向きの影響を及ぼすであろう。

 二つ目の金価格上昇要因は、リーマンショック後の世界の景気後退時期に景気浮揚策として世界各国で取られた金融緩和の動きにより、世界的に通貨発行量が急増している。米国では財政赤字に対する共和党の小さな政府への要求から、オバマ政権は財政投資を行う余裕が無いため、失業率を改善するには、たとえその効果の程はわからなくとも、FRB(連邦準備理事会)は来年初めQE3(金融緩和第三弾)を発動せざるを得ない状況になりかねない。

 また、ECB(欧州中央銀行)はドラギ総栽が債券の無制限の購入は拒絶しているが、銀行に対する無制限の貸し付けは承認しており、これはユーロ通貨のばら撒きに他ならない。こうした各国通貨の発行量増加は、いずれ景気が回復傾向を示し始めると、その国の通貨価値は下落し、商品価格が上がるというインフレの素地を形成しつつある。

 欧州発のデフレが世界を覆い、その霧が晴れるのはかなり先のことではあろうが、米国は、住宅投資の不振という重荷を背負いつつ、緩やかな景気の回復に向かっており、日本は、復興資金が2012年1~3月に16兆円規模で支出されるので、景気の回復が始まる可能性がある。

 いずれ世界の景気回復が本格化すれば、急激なインフレの足音が聞こえ始めるだろう。インフレの気配が生じれば投資家の通貨を商品に換える動きが加速し、ますますインフレになるというスパイラル現象が起きると思われ金価格はその先鋒となって上昇するだろう。

 以上が中長期的に金は買いだと思う理由である。


講師紹介
近藤雅世
ビジネス・ブレークスルー大学 株式・資産形成講座 講師

株式会社コモディティーインテリジェンス
代表取締役社長
近藤 雅世


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編集後記
 編集後記

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加藤

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