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●日経225とイタリア国債の連動性
このデータは世界の大手CTA3社の主要アセットクラス別のロング/ショートの状況です。緑がロング(買い増し)、黄色がニュートラル、赤がショート(売り越し)です。マンフィナンシャル、ウィントンキャピタル、ジョンWヘンリー、これらは商品取引業者最大手で、金相場や原油相場に大きな影響を与えます。この3社のポジションは、他社がまねすることも多く、大変参考になります。
11月末の状況を見ると、米国債、ドイツ国債、欧州債はロングです。一方、イタリア国債はショートにしています。これを見ると、4対1ほどの割合でショートにしていると思いがちです。ところが、実際は、残高ではイタリア国債は米国債の10分の1もないにもかかわらず、ポジションの割合では米国債の半分ほどの金額を売り越していたのです。
大人げないほどの売り方をしたために、イタリア国債は大きく下落しました。ただ、12月末にはイタリア国債は一旦ニュートラルに戻りました。これは、やはりECBの資金供給オペで4980億ユーロの応札になったことがインパクトを与えたと言えます。
ただ、4980億ユーロのうち、実際に国債を買える金額は20兆円くらいにすぎないことが徐々に分かってきています。また、各国の中央銀行がそれぞれもっているお金で国債を買うスキームができたらやはり止めておこうなどと、ポジションをどうとるか、今揺れている最中です。各社がこの後どうすべきか、今考えているところなので、現在のような相場になっているのです。
ですから、2月半ばに分かる1月のポジションが重要です。1月に、やはりイタリア国債は攻撃できるとなれば、再びショートに変わります。一方、やはり無理であきらめようとなると、1月にロングに変わり、2月には大相場となり急激に買われるでしょう。
ここで、重要なのは日経225との関係です。現在、日経225はイタリア国債と最高の相関関係があります。イタリア国債が2%上昇すれば、翌日日経225は2%上昇するという、世界で最も相関するほどになっています。世界の投資家の中には、日本のファンダメンタルはイタリアだと言う人までいます。
日銀短観やオリンパスの事件など、日本固有の材料は1?2週間でマーケットに影響を与えなくなりますが、その後も連動するのはイタリア国債だと言うのです。そのイタリア国債が今非常に微妙なところに来ているので、2月半ば、おそらく2週目の月曜日に、世界同時に1月末のポジションが示され、それを見た他のヘッジファンドたちが一斉にポジションを変える可能性があるので、この日の動きには注目しておくべきだと言えます。
そこでもし、イタリア国債のポジションがロングになっていれば、2月の相場はかなり好転すると思われます。ただ、ニュートラルのままの可能性もあります。その場合はマーケットもニュートラルです。一方、ショートに変更された場合には、各国中央銀行勢の弱点を突くことが考えられるので、そこをピークとして一旦売った方がよいと思われます。
では。なぜ日経225とイタリア国債がこれほどまで相関するのか。実際に日本のファンダメンタルとイタリアのファンダメンタルがつながっていることはまずありません。日経225をはじめとする世界のインデックスを扱うファンドに対する調査では、その要因は高い流動性にあると言っています。
日経225という株価指数先物は、アメリカでも、シンガポールでも、日本でも上場しているので、非常に流動性が高く、これほどまでに流動性の高い指数先物は、ヨーロッパにも、アジアにも他に存在しません。イタリア国債が下がり、世界の株をショートしようと思う場合、短絡的に売られるのが日経225だというわけです。
こうした動きをするファンドが、今のマーケットを牛耳っているのです。今、日経225がもう少しで9000を超えようとしていますが、急に上昇し始めたのは、こうしたファンドが買いに回っているからでしょう。ただし、正確には12月末のストラテジーはニュートラルでしたので、少し走り過ぎて上昇してしまっている可能性も大いに考えられます。
今月末頃に、もう一度全体を見直しておく必要があるでしょう。その時にデータが取れる方は、シカゴの日経225ショートが膨らんでいるか減っているか、前週の数字が発表されているので、確認しておくとよいでしょう。膨らんでいるとすれば、大手がもう一度売りにいこうとしていると考えられます。一方、ショートが縮んでいれば、2月の日経225は大相場だということを示します。私はおそらく大相場になる可能性が高いと思っています。
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ビジネス・ブレークスルー大学 株式・資産形成講座 講師
パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ株式会社
代表取締役 兼 チーフストラテジスト
宮島 秀直
1月22日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。 |
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株式・資産形成講座
加藤 |
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