大前研一の株式・資産形成講座メールマガジン   2012/2/8(水)  
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本文タイトル
『2011年貿易収支 2兆4927億円赤字』

●2011年貿易収支 2兆4927億円赤字

 2011年の日本の貿易収支が31年ぶりに赤字になりました。今更という印象ですが、私自身かなり以前から日本が構造的に貿易赤字になることを警告してきました。図のように、所得収支が伸びている反面、貿易収支は近いうちに赤字転落すると警告してきて、今回とうとうタッチダウンしました。


 所得収支における投資収益はプラスではあるものの、欧米諸国に比べて高いリターンを得ているとは言えないのが実情です。この内容について考えてみると、日本はこの黒字があったために、国全体がアメリカのように三つ子の赤字、双子の赤字となって国家の富が外に出て行ってしまうことがなかったのです。

 つまり稼ぐ力があったわけですが、今、実際には日本のメーカーはそうした力がなくなってきているのです。このことは今後の日本にとって心配すべきことです。こうした状況が続くと日本は成長戦略の予算付けを考えることもできなくなってしまうのです。

 一方、日本企業は大量に海外に投資をしています。例えば中国へ行き、アメリカに輸出する場合には、日本を通りません。また、日本企業は自分の製造工場をたたんで中国で展開した場合、日本でも営業はしているので、国内へ輸入します。この仕組みはアメリカと同じになるわけです。

 アメリカの会社は、自社が海外で作ったものをアメリカへ輸入してアメリカ人に売ります。それと同じなのです。そうした動きが日本でも大きくなっていて、これが貿易赤字につながったとも言えます。つまり、輸入したものの中身を調べてみたら、日本の企業の製品がかなり含まれていて、もしかしたら心配するほどのことはないかもしれないのです。

 ところが、それはアメリカもできずに貿易赤字になり、日本に対して、めちゃくちゃな八つ当たりをしていたことは周知の通りです。そのころ、私は日米間に貿易不均衡は存在しない、日本人はアメリカのものをアメリカ人以上に買っていると主張していたわけですが、彼らにはいくら説明しても理解してもらえませんでした。理解してくれたのはライシャワー氏くらいでした。

 いずれにしても、日本は今、貿易赤字という状況になってしまい、ここから先は、持っているお金を大切に使う必要があります。日本は今、約100兆円相当の米ドルを中心とした外貨を持っているわけですが、これを大切にしておかないと、どんどん減っていくことになります。貿易黒字で溜め込んだものが増えてきたわけですから、今後は増やすことはむずかしくなるでしょう。

 プレジデントオンラインに、私の「赤字転落!貿易立国・日本の非常事態」という内容の記事が最近改めて掲載されていますが、これは、私が2009年に書いた内容です。赤字になるのは間近だと言うことは、2009年当時から予想できていたのです。よくそれから2年も持ちこたえたと思います。

 また、今回の赤字転落は東日本大震災の影響で、サプライチェーンが分断されたからではないかとよく言われますが、もともとある構造的な問題が原因です。震災の影響で赤字転落が数年早まった可能性はあるかもしれませんが、今後反転してまた隆々と黒字に戻ることはなく、この傾向は変わらないと思います。

 一方で、国の資産に目を向けると、全体の正味資産が3年連続で減少したと伝えられています。実際の資産と負債の状況を見ると、グラフのように賞味資産が減少し、約3000兆円となりました。私の提唱する資産課税は、この3000兆円に対して課税していくというものです。ただし、生産資産(グラフの緑の部分)、つまり、工場など生産に使うものや、在庫その他にはかけないというものです。ですから、3000兆円には若干欠ける額に税金をかけていくことになります。


 民間の法人(金融機関を除く)、家計、それぞれの部門別に資産状況を見ると、家計の金融資産が1000兆円以上あります。こういうものに対して課税をしていくことになるわけです。これまでいろいろな本にも書いてきましたが、こうした金融資産や土地などが3000兆円あり、それに1%課税するだけで、30兆円の収入になるのです。


 今回の統計で、資産の額が少し減ったと言っても、まだまだ3000兆円を超える潤沢な資産というものがあり、それに対しては課税ができるだろうと思っています。

 財政的に大きな問題を抱える日本は、今後どのような道が残されているのでしょうか。組織や構造を変革するには、一度クラッシュしてしまった方がよいという意見もありますが、これは絶対に防がなくてはなりません。クラッシュすると日本は立ち上がれなくなるからです。

 クラッシュするということは、国民が持っている定期預金や生命保険、信託、郵貯など、全部がぶっ飛んでしまうということです。そうしたものは半分以上が国債で運用しているからです。そうなると皆さんはクラッシュした後、生き残れるでしょうか。例えばアメリカでは国債を外国人に買わせて、国内で買っている人は少ないので、国民は生き残れるでしょう。

 しかし、日本の場合は、国債のほとんどを国民が知らずに持っているわけです。ギリシャでは国債がクラッシュし、ギリシャ人ではなく、ドイツやフランス、イタリアの銀行が救済を求めています。日本の場合は、金融機関が倒産の危機に陥った場合、そこに預けているのは国民なのです。その国民のお金が1400兆円あり、それがすべてひっくり返ることになったら、多くの人は生きていけなくなります。

 戦争が終わった後、戦時国債が全てデフォルトしましたが、ハイパーインフレが起こり、100分の1にデノミをしました。当時のような事態を乗り越えられる準備をしている国民はいません。安心して、郵貯を買ったり、定期預金をしたりしているものがぶっ飛んでしまうわけですから、日本人は生活できなくなるのは分かりきっています。私は20年、「国を信用するな」、「市場が暴力装置だ」と叫んできましたが、まさにそういうことなのです。

 クラッシュした方がいいという議論をする人が識者の中にもいますが、どうかしていると思います。一度そういう事態になればみんな目が覚めるのでは、などと言う、その本人は大丈夫なのかと聞きたいです。

 そういう事態になったときには、アメリカなど諸外国も危機に陥るでしょうが、国債は94%を日本人がもっているわけですから、一番大変なのは日本人だと言えるでしょう。ですから、国債のデフォルトなどは絶対に起こしてはいけないことなのです。



講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学 学長
株式・資産形成講座 総監修


大前 研一


1月29日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
編集後記
 編集後記

【不動産投資入門講座】 受付開始! 低金利が続く今がチャンス! キャッシュフローを生む不動産投資をマスターしよう!

グローバルマネー・ジャーナル第229号、いかがでしたでしょうか。

経済情勢を踏まえ、資産運用・形成していくためにご活用ください。

年金問題、少子高齢化、世界経済の混乱の高まりなど、将来に向けて資産を防衛するためのファイナンシャルリテラシーの必要性は日に日に高まっています。ファイナンシャルリテラシーは生涯に亘り重要であり、これはご自身だけではなく、家族でも共有すべき考え方だと思っています。

世界マーケットが混乱する「今」こそ、生涯重要になるファイナンシャルリテラシーを高めておく時期ではないでしょうか?

それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

株式・資産形成講座
加藤

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